[勘違い1]運動の前にストレッチをしないとケガをしやすい
筋トレを含む運動の前には、入念にストレッチをして筋肉を伸ばさなければならない。そう思っている人は少なくないでしょう。
ただし、実はこのことに科学的な証拠はなく、負荷設定さえ間違えなければ、ストレッチをせずにすぐ筋トレを始めても、まったく問題はありません。
ストレッチの目的は筋肉を引き伸ばして柔軟性を高めることですが、筋トレは普通の柔軟性があれば十分に対応できる運動可動域なので、あえてストレッチをする必要はないのです。
筋トレの前はストレッチではなく、軽い負荷でウォームアップする方がオススメ。スクワットであれば可動域を狭く(=浅く)して何度か行い、腕立て伏せであればヒザをついた状態で行ったり、腹筋だったら範囲を狭くしたりします。
[勘違い2]筋トレは毎日しないと意味がない
「筋トレを毎日するのはちょっと……」と思った方、ご安心ください。
多くの方が「筋トレは毎日やらないと効果が出づらい」と考えているようですが、そんなことはありません。筋肉は、十分な休憩をとった方が効率よく鍛えられます。
では、筋肉を強くする理想的な筋トレの頻度とは?
同じ部位をターゲットにしたトレーニングは、「週2回」がベストです。
たとえば、胸の筋肉を鍛える腕立て伏せをする場合、がんばって毎日やるより中2、3日あけて、週2回のペースでトレーニングした方が効果が表れやすくなります。
「同じ部位は週2回のペースで刺激するのが最も効果的」。これは研究でも実証されています。
被験者を4グループに分けた実験では、週に2回筋トレをしたグループの効果を100%とすると、週1回のグループの効果は約35%。週3回のグループは約70%、2週に1回では約5%だったという報告があります。
また、週1回と週3回のトレーニングを比べた場合、筋力に与える効果は同じで、統計的に変わらないという結果でした。
「根性が身体を強くする」
「一度休んだら、その3倍はトレーニングしないと追いつけない」
といった考えは、もはや古い常識。休息も立派なトレーニングなのです。
つけ加えると、今の筋肉量を維持することが目的なら週1ペースでもOK。ただし、これから筋トレを始めようという意気込みのある方は、やはり「現状維持」より「増やす」方向で筋肉とおつき合いいただくのがいいでしょう。
[勘違い3]筋トレは回数をこなさないと効果がない
たくさん回数をこなせばそのぶん効きそうに思えますが、その考えも誤りです。「1セットの回数」についてはかなり個人差がありますが、1セットの回数が多いほど効くわけではありません。
では、どうすればその人にとってベストな回数を見極められるか。
答えは、「ラスト1回のキツさ」。これが新常識です。筋トレは、ギリギリの限界に挑戦するほど効く運動だと言えます。
同じ「1セット10回」でも、「ラクラク10回」やるのと「最後の1回がギリギリできる10回」をやるのとでは、効き目がまったく異なってきます。効果的なのは、もちろん後者です。
特に重要なのはラスト1回で、「これ以上はもう無理」というギリギリまで負荷をかけて追い込むことが、効かせるための絶対条件なのです。
あえて言うと、「10回目のために、それまでの9回がある」のです。
「も〜無理」「も〜ダメ」「めちゃくちゃキツい」「気が遠くなる」「ツラい」「しんどい」……といった言葉が思わず口から出るほど追い込むことができたら、そのトレーニングは間違いなく効いています。
[基本の腹筋]足の上げ下げで 腹筋のベースをつくる
では、自重筋トレの「BIG3(スクワット、腕立て伏せ、腹筋)のうち、おなじみの腹筋を紹介していきましょう。
基礎からコツコツ鍛えていくと、おなかに凹凸が出て、脂肪に埋もれていた腹筋が目立ってきます。成果を楽しみにチャレンジ してみましょう!
「腹筋ゼロ」というほど自信のない人も、この種目から始めれば大丈夫。脚の上げ下げ運動だけですが、脚全体の重みがおなかの下部を効果的に刺激します。腹筋の土台づくりに最適な種目です。
・効く筋肉 腹直筋、腸腰筋
・回数 12回 → 10回 → 8回と減らしながら3セット
(1)仰向けになって手は体側に置き、手のひらを下にして床にしっかりつける。
(2)そのまま足を上げていく。
(3)股関節が90度くらいになるところまで足を上げ、今度は床ギリギリのところまでゆっくり下ろす。 足を床につけないことがポイント。この動作を繰り返す。
ポイント
・股関節が90度になるくらいまで足を上げる
・床ギリギリまで足を下ろす
・腹直筋下部に効くことをイメージ
腹筋についてのQ&A
Q. 自分で呆れるほど起き上がれません。1日5分でも上達しますか?
A. がんばって続けていると次第に筋力がついて、少しずつ起き上がれるようになります。1ミリでも2ミリでも高いところを目指して、コツコツ継続しましょう。
Q. 足先を抑えてもらう方法もありますが?
A. 腹筋は昔からあるトレーニングで、腕の前で手をクロスしたり、後頭部に手をセットしたりして起き上がるのが基本的なやり方です。その場合、足先を抑えてもらうとラクにできますが、効きは弱くなります。自力で起き上がる訓練をして、確実に筋力をつけていきましょう。
CALADA LAB.代表取締役。1983年、福岡県生まれ。早稲田大学スポーツ科学部卒業後、東京大学大学院に進学(現在博士課程)。石井直方研究室にて筋生理学を学ぶ。「研究」と「現場」のハイブリッドトレーナーとして活動。科学的エビデンスを基にした「えびすメソッド」で多くのクライアントをダイエットの成功に導いた。夢は世の中から10トンの脂肪を消滅させること。ミッションは世の中のボディメイクの考えをシンプルにしていくこと。月間200本以上のパーソナルセッションをこなしながら、さまざまな執筆活動やセミナー活動を行う。