起動時、ハードディスクには大きな負荷がかかっている
シャットダウンとは、すべてのアプリを終了し、パソコンの電源が完全に切れた状態にすることだ。パソコンをシャットダウンするメリットは、停電になってもデータが守られることと、データが漏洩しにくいこと、電気をほぼ消費しないことだ。逆にデメリットは、パソコンの起動に時間がかかることと、起動時にハードディスクに負荷をかけて劣化を早めてしまうことだ。
スリープとは、アプリやファイルを開いたまま、電源を完全に切らずにパソコンの機能を停止した状態のことだ。スリープ前までの状態がメモリに保存されているので、マウスやキーボードのキーを押すことですばやく復帰できる。一定時間パソコンを無操作でいると自動的にスリープに切り替わる。
Windows10の場合、初期設定でハイブリッドスリープが有効になっていて、スリープ前の状態がメモリとハードディスクにも保存されるために、スリープ中に電源が落ちてもスリープ前の状態に戻すことができる。
なお、ハイブリッドスリープの有効/無効を切り替えたい場合は、まず、[スタート]ボタンを右クリックし、[電源オプション]を選択すると表示される[電源とスリープ]画面で[電源の追加設定]をクリックして、[電源オプション]画面を表示する。
[お気に入りのプラン]にある[プラン設定の変更]をクリックし、[詳細な電源設定の変更]をクリックすると表示される[電源オプション]ダイアログボックスで、[スリープ]→[ハイブリッドスリープを許可する]の[+]をクリックしてメニューを展開し、[設定]で[オン]または[オフ]を選択する。
毎日シャットダウンしないほうがお得な理由
電気を無駄に消費するだけだし、スリープ中に不正アクセスされそうだし……なんていう理由で、パソコンの電源を毎日落としている人がかなりいる。パソコンをシャットダウンしないと一日が終わった気がしない、という人もいるだろう。
しかし、思い出してもらいたい。毎朝、パソコンの電源を入れて、実際に作業できるようになるまでの時間を。朝、オフィスに到着して、席に着くなりパソコンの電源ボタンを押し、朝礼が終わって、コーヒーを淹れ終わった頃にようやくパソコンが作業可能な状態になっている……。一見効率的に思えるが、パソコンの起動に時間がかかりすぎて、その時間に朝礼とコーヒータイムをあてているだけだ。
その点、パソコンをシャットダウンせずにスリープ状態にしておくと、翌朝、パソコンをすばやく起動できる上、スリープ直前までの作業内容がメモリに保存されているため、手際よく作業に復帰できるのだ。
また、夜間にWindows Updateやアプリのアップデート、セキュリティスキャンなどを実行してくれるなど一石二鳥だ。電気代にしても、パソコンの起動には最も電力を消費するため、毎日パソコンの電源を切るケースと、電源を切らないケースではさほど差はない。
ただし、長期間パソコンを使用しない場合は、やはり電源を切っておいた方がよい。スリープ時には、メモリから暗号化のためのキーを盗み取り、ハードディスクの暗号化を無効にしてデータ抜き取る「コールドブート攻撃」といった不正アクセスを受ける可能性もある。
パソコン書籍やアウトドア雑誌の出版社の経験を経て2010年に独立。これまでiPhoneやiPadからWindows、Macintosh、Office関連までと幅広いパソコン関連書籍100冊以上の執筆実績がある。