どんなに食べても太りにくい時間帯がある!
私たちのカラダの中には、「体内時計」と呼ばれるカラダのリズムを刻む時計があります。生活習慣病の予防や健康維持のために、この体内時計のリズムを利用して、食事をとる時間やどう食事をとるかなどを研究する学問として生まれたのが「時間栄養学」です。
その時間栄養学の最近の研究成果によって、食べても太りにくい時間帯があることがわかってきました。
体内時計は、1日24.5時間のサイクルを刻み、体内へ脂肪をため込んだり、たまりにくくしたりしています。また、睡眠、血圧、体温、ホルモン分泌などのカラダの重要な生理機能もコントロールしています。
この体内時計のリズムが乱れると、代謝機能が低下し、肥満の原因を作るのではないかと考えられています。
体内時計のサイクルを考えると、どんなに食べても太らない時間帯は起床後12時間以内。そして体内時計は1日ごとにリセット可能なため、毎日やり直しがききます。
ただし、この効果的な時間を利用して成果を出すには、約束事が2つあります。
まず1つ目は、起床後、朝食を食べること。
朝食を食べることで体内時計が1日のリズムを刻みはじめます。朝食を食べないとカラダがリセットされないため、脂肪をため込みやすくなります。
朝、時間がなくて朝食を食べられなかったり、前日の夕食が遅いためにお腹がすいていないという理由で、昼食までお菓子をつまんで空腹感をしのいでいる方は、生活スタイルを見直しましょう。朝食を食べることで体温も上がり、代謝もアップします。
2つ目は、起床後12時間以内に朝食、昼食、夕食をすませることです。
起床後12時間が経過すると、体内時計の働きで食事したものが脂肪としてカラダに蓄えられやすくなります。
起床後12時間以内という限られた時間帯に、3食の食事を終えられるように生活をしましょう。1日3食、大体同じ時間に食事ができるようなリズム作りが大切です。
この2つの約束事を守って生活をすれば、多少食べすぎても体内時計の刻むリズムのおかげで太りにくいカラダになっていきます。
帰宅が遅い人は夕食を2回に分ける
でも、「起床後12時間以内に朝食、昼食、夕食の3食をすませるなんて絶対に無理」という人もいるでしょう。朝7時に朝食を食べていたら、夕食は夜7時に食べ終えなければならないのですから、働いている人にとっては難しいことかもしれません。
そんな人には、夕食を2回に分けることを提案します。
まず主食に当たる炭水化物を12時間以内に食べて、おかずは仕事が終わってからゆっくりと食べるのです。
先に炭水化物を食べる理由は、食事の中で、もっとも脂肪に変わりやすいから。
これを太りにくい起床後12時間以内に食べてしまいます。
そして仕事を終えてからおかずに当たるものを食べますが、そのときにおかずの種類や量に気を配りましょう。
低カロリーで消化のよいものを選び、食事量は腹七分目ぐらいに抑えます。主食を先に食べているため、食べすぎないよう自己コントロールが可能なはずです。
1回目の夕食でのおすすめメニューは、おにぎり、サンドイッチ、肉まん、食パン、フランスパンなど。会社で仕出し弁当を昼食に食べている方は、ごはんの一部でおにぎりを作っておくのも簡便な方法です。
2回目の夕食は、ノンオイルのツナ缶やささみ缶、煮魚、豚しゃぶ、豆腐料理、野菜の煮物、温野菜サラダ、茶わん蒸し、野菜スープ、牛乳、豆乳など。調理法は、煮たり、焼いたり、蒸したりと、油を使わないものがベターです。
これからは、1日4食、夕食を2回に分けて食べるのが、できるビジネスパーソンのライフスタイルになるかもしれません。
管理栄養士。日本抗加齢医学会指導士。東京農業大学農学部栄養学科卒業。2005年より、東京・千代田区のクリニックにて、入院・外来患者の血液検査値の改善にともなう栄養指導、食事記録の栄養分析、ダイエット指導などに従事している。また、フランス料理の三國清三シェフとともに、病院食や院内レストラン「ミクニマンスール」のメニュー開発、料理本の制作などを行う。抗加齢指導士の立場からは、〈食事からのアンチエイジング〉を提唱している。 。