切り身なのにどうして「刺身」? 人に教えたくなる語源の話

「刺身」は明らかに魚の「切り身」なのになぜ「刺身」というの? 日常、何気なく使っている言葉も、よくよく考えてみると謎に満ちた言葉が多数潜んでいます。こんな疑問を解決するには言葉の語源をたどるのが一番。知れば納得! 思わず人に話したくなること間違いなし!

いざ聞かれると説明できない言葉たち

以下の言葉の語源を知っていますか?

(それぞれの単語をクリックすると解説が表示されます)

刺身 「切り身」なのになぜ「刺身」?
解説
「切り身」ではなく「刺身」と呼ばれる由来は、武家社会の忌言葉とされる「切る」の文字を嫌ったためというのが有力な説。使用される食材は生魚だけでなく、茹でダコや馬刺し、タケノコなど薄く切って調理するもの全般に用いられる言葉である。

切り身なのに「刺身」の理由

あたりめ スルメではなくなぜ「あたりめ」?
解説
スルメイカを干したものなので「スルメ」がオリジナルだが、「する」は「すり減る」を連想させ縁起が悪いことから、反対の意味の「当たり」に置き換えた、というのが語源だ。結婚式で「別れる」が禁句なのと同じイメージである。

あたりめの由来とは

焼売 蒸して売るのになぜ「焼売」?
解説
もともとは余った肉や野菜をまとめて団子にしたものを焼いて売っていた料理で、のちに量をつくるため「焼き」の工程が「蒸し」の工程に変化した。昔の日本でグリーンピースが乗っていたのは学校給食の影響で、見た目のよさ以外に数えやすさもあった。

もともと焼いていた焼売

おはぎ・ぼたもち 季節によって名前が変わるのはなぜか?
解説
「小豆の粒に包まれている、そんな姿が萩の花に似ているということから「萩の餅」となり、「おはぎ」へと変化していった。また「ぼたもち」のもとになっているは牡丹。だから春は「ぼたもち」、秋は「おはぎ」と使い分けるのだ。

おはぎとぼたもちの使い分けとは?

ヤブ医者  「ヤブ」とは何か?
解説
「ヤブ」を漢字で書くと「野巫」となる。つまり田舎の巫女のように知識もない人間が、まじないのような治療を行うことを批判して「ヤブ医者」という言葉が生まれたという説がもっとも有力である。善良な巫女にはただただ迷惑な話だが。

ヤブ医者の語源は田舎の巫女

匙を投げる  どうして「匙」を投げたのか?
解説
「匙」とはスプーンのことだ。かつて医者は薬を調合する際にスプーンを用いた。そんな大切なスプーンを投げ出すということは治療をあきらめたも同然。もうどうにもならないときの対応を意味する言葉へと広く派生していった。

匙を投げたのは医者だった

ヤマが当たる  ヤマは「山」でもどんな山?
解説
「ヤマ」とは「山」のことだが、もっと具体的には「鉱山」を意味している。今とちがって土の中のことはわからない。鉱山を掘り当てることは非常に大きな賭けだった。それが転じて現在のような意味で用いられるようになった。

ヤマとは「鉱山」のこと

火中の栗を拾う  火に飛び込んでまで栗を拾ったのは誰か?
解説
フランスの詩人ラ・フォンテーヌの作品『猿と猫』から。猿におだてられた猫が火の中で焼ける栗を拾おうとしてひどい火傷を負ったという話。ここから他人のために危険を冒す行為のことを「火中の栗を拾う」とよぶようになった。

火に飛び込んだのは猫だった

おはよう  実は昼でも夜でも使えた万能言葉
解説
語源をたどると「お早く」に行きつく。これが転じて「おはよう」となった。よって、朝とは一切関係がなく、一部の業界の人たちのように夜に使うことも本来は不自然ではないのだ。

朝とは一切関係のない言葉

ひやかす  冷やしたかったのは何?
解説
もとになっているのは江戸時代の紙すき職人。彼らは原料を水につけている間に遊郭へ出かけた。しかし、遊ぶのではなくただ時間つぶしに眺めるだけ。そこから現在のような意味へと転じていった。

由来は江戸時代にあった

おてんば  「おてんば」とはどんな姿?
解説
漢字で書くと「御転婆」。「転んだ婆さんは手に負えない」との意味が転じたという説もあるが、オランダ語の「手に負えない」にあたる「ontembear(オンテンバール)」が語源であるという説のほうが有力とされている。

語源はオランダ語

ろくでなし  「ろく」がないってどういうこと?
解説
「ろく」は、漢字で書くと「陸」になる。陸とは土地などが広く平らな様子を表す。平らに整地されていない土地には使い道がない。そんなところから「ろくでなし」という言葉が生まれた。

「ろく」とは平らな土地のこと

たわけ  どうして「馬鹿者」の意味を持つ?
解説
語源を漢字で書くと「戯ける」となり、「ふざける、馬鹿なことをする」という意味になる。他方、「田分け」とする説も存在し、先祖代々受け継いできた田畑を分割するのは愚か者のすることだ、という意味があるといわれている。

「田分け」するのは愚か者

お払い箱  どんな箱なのか?
解説
もとは「お祓い箱」と書いて、伊勢地方で配った厄よけのお札が納められた非常にありがたい箱のことを意味していた。しかし、毎年新しい箱が配られるので古い箱はいらなくなる。そこから現在のような意味に転じていったものとされている。

じつはありがたい箱のことだった

 

PROFILE
語源の謎研究会

古くから伝わる語源に詳しい者、最新ワードや流行語に詳しい者、外来語に詳しい者が集まり、語源の研究、発表を行っている「語源のプロフェッショナル集団」。イラストで語源を表現することにも長けており、既存の枠にとらわれないユニークな表現活動を行うことを信条にしている。