答えが合っているのにバツ!? 大人も混乱する今どき算数のルール

小学校の算数は「以前より格段に難しくなった」と噂されています。教科書もどんどん厚くなってきていて、ここ10年で1.7倍とかなりのボリュームアップ。計算のやり方なども大きく変わってきています。子どもの大変さを知るためにも、今の常識がどんなものか知っておきましょう。

10のまとまりをつくる「さくらんぼ計算」

最近の算数の教科書を見た人は、「今の小学生は大変だな。自分たちのころはもっと薄くて簡単だったけど……」と感じるかもしれません。
たとえば、小学1年生で習う「さくらんぼ計算」を知っていますか?
これは「7+5」のように、答えが「10」を超えて桁が繰り上がるたし算などに使われるもので、図式がさくらんぼの房に似ていることからその名がついたといいます。

この計算法を習うのは、通例だと1年生の2学期。1学期は10までのたし算を覚えますが、そのあと10に繰り上がるたし算でつまずく子どもが多いため、このさくらんぼ計算が導入されたのです。

やり方をひと言でいうと、「10のまとまりをつくってから計算する方法」です。
具体的な計算のやり方を「7+5」で考えてみましょう。

まず「5」の下に2本線を引いてさくらんぼの絵を描きます。そして「7にいくつをたすと10になる?」と考え、その数字である「3」をさくらんぼの左側に書きます。次に、「5は3といくつに分けられる?」と考え、さくらんぼの右側に「2」と書きます。

次に「3と7」を足した「10」と、「2」を足して「12」という答えを出せばOK。テキストには、あらかじめさくらんぼの絵が描かれていて、そこに二つの数字を書き込んで答えを出していきます。

同じように、「9+7」なら、「9にいくつ足せば10になる?」を考え、「1」が必要なので、7の下に「1」と「6」を書き、10と6をたして「16」となるわけです。

さくらんぼは、式の左右どちらの数につくってもかまいませんが、一般に小さい方の数の方が計算しやすいといわれます。

「頭で計算すれば早いのに」と思うかもしれませんが、さくらんぼ計算が身につくと、数の全体や量を把握しやすくなり、計算も速くなるのだとか。この方法は引き算でも使います。

「なんでわざわざこんなに面倒なことをするの?」などの批判もありますが、小1の勉強につき合うお母さん、お父さんには必修だといえそうです。

大人には理不尽に見える「たし算の順番ルール」

もうひとつ、「今の小学校はこんな変なこと教えているの!?」と感じるかもしれない算数の新常識があります。
それが、たし算やかけ算の「順番のルール」。

たとえば、「鉛筆が3本あります。あと2本増えたら何本になるでしょう?」
この問いの正解は、もちろん「5本」。ただし、同じ「5本」でも、式が「3+2」ではなく「2+3」だと先生のチェックが入るのだとか。

なぜなら「+の記号の前には、初めからあったものの数、後ろには増えたものの数を書く」という順番のルールがあるからです。

「どっちが先でも答えが合っていれば問題ないでしょう」と言いたくなるかもしれませんが、たし算には「増えるといくつ=増加算」と「合わせるといくつ=合加算」の二通りがあり、特に増加算では順番を重視する必要があるのです。

「合わせる加算」の事例として、「3人の男の子と、2人の女の子が一緒に遊んでいました。みんなで何人?」という加算なら「2+3」でもよいのだとか。

ただ、この手の問題でも、数字が書かれた順番に「3+2」にしないと答案が不正解になったケースもあるようで、悩ましいところ。
習ったことのない大人にしてみれば、やはり世にも不思議なルールだと言えそうです。

かけ算も設問をしっかり見ないと不正解に

たし算と同じように、2年生でやるかけ算にも順番ルールがあります。それは「1つ分の数×いくつ分=全部の数」となるように式を書くというもの。
いきなりそういわれても、大人は「意味不明」と感じるかもしれません。

たとえば、「鉛筆を1人5本ずつ、4人に配ります。全部で何本必要ですか?」の問いに、「4×5=20」はバツで、「5×4=20」が正解。「×」の記号の前には、あくまで「1人分の数」を書かないとダメなのです。

「4」が先だと、「4本ずつ5人に配る」ことになってしまうからで、「かける数」と「かけられる数」を頭でとらえながらかけ算をする必要があるわけです。
同じように「1台の車に2人ずつ4台に乗ると、ぜんぶで何人?」なら「2×4=8」が正解で、「4×2=8」だとバツです。
この順番ルール、計算記号の前後の意味をきちっととらえるために国語力(つまり読解力)も必要でしょう。習ったことのない大人にしてみれば、やはり世にも不思議なルールだと言えそうです。

 

 

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現代教育調査班

教育にまつわるさまざまな疑問、不思議について、綿密なリサーチをかけて調査するライター集団。学年や教科を問わず、情報を日々更新している。