男性部下と女性部下でこんなに違う! やる気を引き出す接し方

デキる上司は男性部下と女性部下の違いを知っていて、接し方を変えることで成果を上げています。さらに女性の社会進出が進むこれからの時代、どんな工夫が必要になるのか。「異性の部下」とのかかわり方に詳しい佐藤律子さんに教えてもらいましょう。

[トリセツ①]仕事に対するモチベーション

脳科学的に考えると男性の脳は女性に比べて攻撃的です。

ですから、男性が気持ちを重視して行動するようになると、表れる感情の多くが攻撃的なものや性衝動的なものになってしまうといわれています。自然界では、オスは自分の遺伝子を残すために、他のオスとメスを取り合います。だから、これは自分の遺伝子を残すためのプログラムともいえるかもしれません。

しかし、現代社会では本能のままに行動することはできません。そのため男性は、女性から見ると徹底的に組織や社会、法律などのルールを重んじて理性を保つようにしているのです。縦社会に従順なのもそのため。

男性は同性に向けるのと同じ目線を、女性にも向けてしまう人がいます。特に「できる女性」がいると、それだけで「負けないぞ!」と闘志を燃やしてしまう。 一方、女性は男性をライバル視することはあまりありません。

多くの女性にとって「勝つこと」は、さほど重要なことではないからです。

女性の多くは「相手を蹴落として自分が出世する」といった意識はありません。逆に「目立ちすぎたら嫌われるかも……」というような心配を抱えています。

目立つことを避けたいという気持ちが働くため、自分の仕事の成果を声高に言うことを遠慮するのです。「自慢にならないか?」「空気を読めないと思われないか?」と。男性は、仕事をがんばる女性がそんな不安を抱えているのだ、ということをまずは理解してあげましょう。「自分はあなたのがんばりをわかっている」と女性の仕事の成果を認めてあげることができたらかなり信頼度が増しますよ。

【仕事に対するモチベーション】
男性部下→「手柄を立てたい」と思っている
女性部下→「職場で平穏にすごしたい」と思っている

仕事に対するモチベーションの違い

[トリセツ②]仕事を辞めたくなるとき

男性の人間関係は縦社会。

年齢、地位、肩書きによって上下関係を決め、それに従うのは男性にとっては当たり前のこと。特に上下関係が「見える化」する肩書きを与えられると、男性は当たり前のように、組織の中で闘い、序列を確定していきます。

「勝ち」「負け」によって仕事のモチベーションが上がるのもそのためです。

男性は、組織やグループ内での序列に非常にこだわります。たとえば、Aさんは部長、同期のBさんは同じ役職。Cさんは年下だけど役職が上。このような情報がないと、安心してふるまうことができません。序列がわかって初めて安心して能力を発揮できるのが男性です。

さらに男性は、縦社会の序列をはっきりさせるために、年齢を非常に重視します。自分より年下だと思ってタメ口で話していた相手が年上だとわかったとたん、急に敬語に変わる……。このようなことが多々あります。

経歴が自分よりも下、年齢が自分よりも下、自分より下だと思っている女性。つまり「自分より格下」の人間に追い抜かれたとき、男性は仕事への意欲をなくします。

一方、女性にとっての仕事の目標は、人生の豊かさを得る「やりがい」が重視されます。自分の好きな仕事、得意な仕事、誰かの役に立つ仕事という「ステージ」で、キラキラ輝きたいと思っています。

組織より自分の「やりたい仕事」が優先なので、転勤を命じられたり、違う部署(やりたくない仕事)に異動させられると、あっさり転職したり、辞めたりします。

このように、男性と女性は組織に対する考え方が違うので、温度差を感じることがあるかもしれません。

女性は仕事のやりがいと同じくらいに、「つながり」を断ち切られることに対しても拒否感を感じます。

ですから転勤によって家族、恋人、友人とのつながりが断ち切られそうになると、あっさり会社を辞めて、自分の今いる環境を選ぶのです。優秀な女性社員を手放さないためには、細かいケアが必要なのです。

【仕事を辞めたくなるとき】
男性部下→「負けた」と思ったとき
女性部下→「つながりを断たれた」と感じるとき

仕事を辞めたくなる時の違い

[トリセツ③]上司はどういう存在?

男性の仕事の目標は、地位、名誉、お金を得ることによって、社会的に出世することです。そんな男性にとって、組織の命令は絶対ですから、たとえ急な転勤や部署移動にも素直に従います。

なぜなら、「いずれ自分も組織内で権力をつかみ取りたい!」と思っているからです。権力をつかむために、今は権力者(上司)に従う。こうして、男性のわかりやすい上下関係ができあがります。特に、上昇志向の強い男性ほど権力者に気に入られようとふるまいます。

男性は上司の仕事の範囲を「仕事の効率が上がるチームづくり」と考えています。部下に的確な指示を出し、やる気を引き出す。これが上司の仕事です。

男性部下は上司を「師匠」として尊敬しながら、仕事の結果を出すことにやりがいを見出しています。

一方、女性部下は心のどこかで、上司に「お父さん」や「お兄さん」を求めています。ですから仕事の範囲にプラスして「職場での雰囲気づくりや、部下である私のメンタルケア」までを求めているのです。これはもしかすると、男性上司には思いもよらないことかもしれません。

上司に身内的な感覚を持つので、仕事や組織に問題が見つかると、上司と「共有したい」と思います。問題解決のためではなく「共有」だけが目的で上司に〝報連相〟していることが多いのです。女性部下とのコミュニケーションは、「わかっているよ」の共有意識が大事なのです。

男性上司の皆さんは、女性が何かを相談してきたとき、「それはムリだろう」と思ったとしても、すぐに口に出してはいけません。

まずは「そうか、そうか」と優しく聞いてあげることです。解決できなくても、聞いてもらっただけで女性の不満のほとんどは解消されます。たとえ、ダメだとわかっている場合でも、話をよく聞いて「検討して後ほど報告する」と伝えるだけでよい関係を築くことができます。

他に具体的に何をすればいいのかといえば、体調を気遣ったり、出張に行ったらおみやげを買って来たり。そんなことと思うかもしれませんが、実際にやっている人は少ないでしょう。〝そんなこと〟でも十分効果があるのです。

【上司はどういう存在?】
男性部下→上司を「師匠」と仰ぐ
女性部下→上司に「お父さん」を求める

男女差がある「上司」の存在

女性部下との会話は「セクハラ」にならないように気をつけて、男性部下にも不公平感を与えないようにあえて女性にも男性と同じ厳しさを出している方がいるかもしれません。

しかし、その気遣いが部下の生産性を下げているかもしれないとしたら……。それほどもったいないことはありません。

男性部下と女性部下の違いを知って、成果を上げていきましょう。

 

PROFILE
佐藤律子

一般社団法人異性間コミュニケーション協会代表理事。株式会社アートセレモニー代表取締役社長。 ブライダル業界で1000組以上の男女を結婚に導いた経験と生物学、環境学、社会学、心理学など、男女間におけるありとあらゆる学問を通じて、男女の違いを体系化した「異性間コミュニケーション」を考案。年間100回を超えるセミナーや講演、研修、企業でのコンサルティングを行っている。異性間コミュニケーション講座の受講者は、全国でのべ3万人を超える。著書に『理屈で動く男と感情で動く女のもっとわかり合える会話術』(かんき出版)、『7日間で運命の人に出会う! 頭脳派女子の婚活力』(小社刊)がある。