「売りモノ」ではなく「売れるモノ」を見つけよう!
副業は誰にでもできます。
ですが、できるだけあなたの「持ち味副業」を選ぶことが成功への近道です。まず、あなたの「売れるモノ」を見つけましょう。売りモノではなく売れるモノ。この考えが重要です。
では、自分の売れるモノを見つけ出す、より具体的な2つのノウハウをお教えします。それが「プロセス分類法」と「コード分類法」です。それぞれ、次のような方に向いています。
- 「プロセス分類法」→昔取った杵柄がある方
- 「コード分類法」→杵柄を持っていないと思っている方
自分にふさわしい副業が見つかる①「プロセスアプローチ」
まずはプロセス分類法についてご説明しましょう。この方法は、以前手がけていた仕事や、自分の経験・体験を生かして起業したい! という方に向いています。
- STEP1:自分が過去に経験したことのプロセス=手順を書き出す
- STEP2:プロセス=手順の中から、得意な部分を選び出す
- STEP3:選び出した部分をつなげる
「え、たったこれだけ?」と感じましたか? そう、これだけです。でもこの方法は実に深くて、そして効果的です。私自身も、そして私の教え子や仲間たちの多くがこの方法で勢いよく羽ばたくためのエンジンを手にしました。実に頼りになるやり方なんです。
そして先述した通り、華々しい実績や話題性がなくても、最高の強みを見つけられる手法でもあります。安心して頼ってみてください。
ここで、例をひとつ挙げてシミュレーションしてみましょう。ブログやネットニュースの記事を書くのを得意にしているあるライターの女性がいます。私は彼女に、過去にやっていたライティング仕事の流れを、できるだけ細かく書き出すよう指示しました。
ライティングの依頼が来てから納品までのすべての標準的なプロセス(=手順)を書き出してもらったのです。
STEP1:自分が過去に経験したことのプロセス=手順を書き出す
実際のプロセスは以下の通りでした。
インタビューで書く記事のタイトルを考える→インタビューする相手を調べる→インタビュー項目を考える→実際にインタビューをする→インタビューした音声とメモを合体し書き起こす→インタビュー記事を読み返す→インタビューから得たキーワードを抜き出す→記事の構成を考える→記事のタイトルを考える→実際に記事を書く→見直し・推敲する
次に、そのプロセスの中から、自分で自信があると思える部分を選んでもらいました。ポイントは、自分で自信があるだけでなく、周囲の人にも評価されているということ。自分と他者の双方の評価で考えるのです。
STEP2:プロセス=手順の中から、得意な部分を選び出す
彼女が熟考のうえ選んだのは、「インタビューで書く記事のタイトルを考える」というプロセスと、「実際にインタビューをする」という2つのプロセスでした。
つまり、彼女は自分の書いた文章にチカラのある、読ませるタイトルをつけることと、相手の良さを引き出すインタビューをするという部分に自信を持っているわけです。
ここまでできたら最後のステップです。
STEP3:選び出した部分をつなげる
自信のある部分を強引にでもつなげてみたらどうなるか? そんな発想をしてみます。すると、こんな言葉が導かれます。
『読ませるタイトル力が評判の、引き出すインタビュー名人』
どうですか? 見事に強みが言葉になりました。これがプロセスアプローチです。
このフレーズがあれば、優秀なライターを探している出版社の編集者の目に高確率で留まります。いくら良い記事を書けても、タイトルが魅力的で面白くなければ決して読まれません。読まれなければ書かなかったのと同じ。無駄です。
ですから誰もがタイトルに力を注ぐわけで、いいタイトルをつける能力の持ち主は引く手あまたなわけです。
こうして彼女は見事に自分を売り込むことに成功し、売れっ子ライターに成長していきました。『読ませるタイトル力が評判の、引き出すインタビュー名人』という一行が彼女の人生を変えたんです。
これ、副業を始める際にも取り入れられる手法です。
自分にふさわしい副業が見つかる②「コードアプローチ」
昔取った杵柄なんてないよ! とおっしゃるあなたには、code(コード)アプローチがベストです。
- STEP1:まずは、何でもいいから自分の経験したことを書き出す
- STEP2:その中から、自信のあるコードを選び出す
- STEP3:選んだ部分をつなげる
STEP1:まずは、何でもいいから自分の経験したことを書き出す
例えば、あなたが何の資格も持っていない経理部員だったとします。まずは何でもいいから、自分の経験してきたことを書き出します。仮にほんのわずかな経験しかなくてもいいので、あなた自身が手掛けたことのある仕事のコード分類を書き出してみましょう。
コード分類とは、たとえば日誌や日報を書く場合に、やった仕事のカテゴリ(=code)ごとに費やした時間を計算して、申告したりしたあれです。あの分類で分けてみるんです。
たとえば次の図のような感じです。
STEP2:その中から、自信のあるコードを選び出す
ここでも、ポイントは自分で勝手に自信があると決めつけるのではなく、周囲の人からの評価を加味して考えること。つまりは客観性です。客観的であるということは、つまり、お客さんの目線ということです。強みはお客さんの目線で考えるべきなのです。
上司に褒められた、同僚にいいねと言われた、など何でもいいですが、周囲からの客観的な評価を基準に考えてください。経理部で働く知人女性にやってもらうと、彼女は「関数計算」「電卓」「売上管理」「請求書発行」「給与計算」「決算」という6つのコードを選びました。
STEP3:選んだ部分をつなげる
では選んだコードをつなげてみましょう。項目は6個ありますから組み合わせも実にたくさんです。ここではこんな並べ方、つなげ方をしてみました。
『電卓一台で、売上管理から関数計算、給与計算、決算までができ、請求書まで作れる方法をお教えします』
素敵な仕事を呼び込んでくれる、実に魅力的なフレーズができました。ここで表現された人物像は、中小零細企業の経営者には実に魅力的です。小さな会社の経営者は、常に人手不足・人材不足に悩み、苦しんでいます。特に、お金の面を任せられるスタッフを渇望しているんです。
そうした人材がなかなか見つからない小さな会社のオーナーにとって、
『電卓一台で、売上管理から関数計算、給与計算、決算までができ、請求書まで作れる』
という人はとても心強い味方で、「当社のスタッフに、ぜひそのやり方を教えてほしい!」と考える人は多いはずです。ですから、この1行があるだけで、圧倒的な引き寄せ力が生まれます。コード分類法の威力、ご理解いただけたでしょうか?
副業で収入を得ることを考えたとき、私たちの売りモノになるのは「困っている誰かを助ける武器」です。それが言葉になった瞬間に、売れるモノになります。
マーケティング会社で働きながらなんとなく取った中小企業診断士の資格を使い、マーケティングの知識とかけ合わせたコンサルタントとして成功した方。
和食レストランで料理をつくりながら、酒蔵と顔が利く酒屋や飲食店をつなぐことで月15~20万円の利益を得られるようになった方。
売れっ子営業マンにインタビューをして事例を集め、冊子にして販売したり、セミナーを開いたりして営業コンサルタントとして成功している食品メーカーの営業マン(本業の成績は中くらいだとか)。
保険のセールスマンをやりながら営業アドバイザーをやっている方――。
いずれも毎月5万円以上の副収入を得ています。
○○を解決する能力や商品、それを言葉にしたモノのことを、売りモノ(=売れるモノ)と言います。こんな観点で、あなたの売れるモノを考え、副業にしてみてください。
フリーランス成功実現アドバイザー兼コピープロデューサー。言葉のチカラを駆使し、ライティングサポート、集客サポート、販売力増強サポートなどを次々と手がける。2001年の独立起業以来、1000人以上の起業、副業を支援。中小企業、個人事業主の“独自化ブランディング”に絶大な手腕を発揮し、言葉のチカラを駆使した集客の仕組み作りに定評がある。近年はサラリーマンが会社にいながら「副業」で成功する手ほどきも教えていて好評を博す。著書に『「バカ売れ」キャッチコピーが面白いほど書ける本』『「バカ売れ」キラーコピーが面白いほど書ける本』(以上、KADOKAWA)などがある。特に2012年5月に刊行した『フリーで働く!と決めたら読む本』(日本経済聞出版社)は発売直後から増刷を重ねて「フリーで働くブーム」を牽引した。

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