再雇用でも年収を減らしたくない人の「リファラル採用」戦略とは

“コネ”や“縁故”とは異なる採用手法

「リファラル採用」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ないという方はぜひ検索してみてほしいのですが、ひと言でいうと「社員の紹介による採用手法」です。「コネ採用」「縁故採用」に近いニュアンスがあります。

入社が決まると、紹介をした社員に10万円が支給されたり、入社するのが管理職ならそれ以上のインセンティブを支払ったりする企業も少なくありません。

「リファラル採用」は国内の外資系企業などでは昔からやっていた採用手法で、近年では日本企業にも広がりつつあります。仕事のスキルや技術だけでなく、性格や人間性、人となりまで紹介者によって担保されているので、ミスマッチが少ないだけでなく、採用コストが大幅に削減できるというメリットもあります。

50代の再就職や転職においては、このリファラル採用を含め、縁故や何らかの「ツテ」による転職が、年収を激減させないための有力な方法です。

あるメーカーの販社の部長を60歳で定年になったI田さんは、定年後の準備はしておらず、あまり深く考えないまま再雇用を申請していました。ところが、I田さんの定年を聞きつけたかつての取引先から、「営業系の顧問」としてのオファーがあったのです。定年予定日の2、3カ月前の話です。

まさに瓢箪から駒。年収も再雇用よりずっといい条件でしたし、仕事もかつて営業管理職として扱ったことのあるサービスだったので、何の迷いもありませんでした。

I田さん以外にも数えきれないくらい同じような事例を知っていますが、再就職でも現役時代に近い収入を得ている人は、「ツテ」や「リファラル採用」がもっとも多かったという感触を持っています。

ヘッドハンターから声がかかる人や、転職エージェントに登録さえしておけばオファーが来るような人はともかく、そうではない場合、とくに50代以降となるとエージェントに登録してもタイミングが合わなかったり、希望に合う求人がなかったり、前に進まないケースも少なくありません。

そうしたリスクを避けるには、「ツテ」を利用した再就職活動の道があるということを、選択肢に必ず入れておいてください。

これといった「売り」もないし、転職エージェントも本気になってくれないような「非転職強者」にとっては、「ツテ」や「リファラル採用」が主要なキャリア戦略になるに違いありません。

採用につながる3つのケース

「ツテ」や「リファラル採用」は、どんな所からもたらされるのでしょうか? よくあるケースは次のようなものです。

・かつての取引先、かつての顧客
・かつての上司、先輩、同僚、部下、後輩
・友人、知人、親戚の会社、関係先

では、どうすればそうした「ツテ」による再就職や「リファラル採用」が実現するのでしょう? これには唯一絶対の方法があるわけではなく、いくつかのパターンがあります。ここでは3つのパターンを紹介します。

①「まわりが放っておかない」ケース

まず、もっとも理想的なケースです。これは先述したI田さんもそうでしたが、まわりが放っておかないのです。

かつて一緒に仕事をして、その仕事ぶりやスキル、技術力を目の当たりにした中小企業や大学関係者から声がかかることが多いです。

声をかけてもらうには、「自分が定年になること」と「再雇用を考えていること」をそれとなくアナウンスしておく必要があります。それがダイレクトであっても人づてであっても、相手の耳に届けばニーズに応じてオファーが受けられるはずです。

②「人脈メンテナンス」が生きるケース

次はもっとも一般的なパターンです。この方法をとるには、50歳になったら〝全方位での〟社内外の人脈の構築とメンテナンスをしておく必要があります。年上、年下、仕事関係、学生時代や趣味の人間関係も含め、時間をかけて人脈を見直し、アップデートしておくのです。

いったん疎遠になった関係でも、かつての年賀状、携帯のアドレス、SNSでの知り合いを通じてなど、なんらかの手段で再コンタクトできるはずです。そして、ひとかどの人物になっているかどうかにかかわらず、まずは直に会って旧交を温めます。

その席でも次のタイミングでもかまわないので、定年後の再就職の話題を出してみます。その場で、相手が「あなたのような人材」を探していることがわかれば、どんな会社なのか、前に進めるのか、その場の話で終えるのかを考えながら話すことになるでしょう。

実はこの、なんの変哲もない、なにげないやり取りで、再就職先がバンバン決まっているのが今の日本です。

③「ハブ的な有力者」を介するケース

最後は、人脈のハブ的な信頼のおける人物へ再就職を率直に相談する方法です。その人物がじかに再就職先を紹介してくれる場合もあるでしょうし、誰かを介した間接的な紹介になるケースもあります。

私の大学時代のクラスメートのJ島氏は、1年の間にこのパターンで2回も転職して、結局3年前に早期退職した会社に出戻りしました。

最初の会社の部長職を早期定年の割り増し退職金をもらって辞め、50代前半でオーナー企業に転職するも、オーナーと合わず別の会社に転職。1年もたたないうちに古巣に復帰したのです。

最初の転職こそエージェントを通してでしたが、次の転職は最初の会社の後輩への相談、その次の転職は最初の会社の先輩への相談で決まっています。

最終的に割り増し退職金をもらった会社に戻れるのですから、力のある人への相談は威力絶大ということです。

このように、50代以上の人の再就職や転職においては、自分から戦略的に動いて採用を勝ちとる必要があります。その縁は意外なところからつながるものなので、人脈を大切にメンテナンスしておきましょう。 

 

PROFILE
大塚寿

1962年群馬県生まれ。株式会社リクルートを経て、サンダーバード国際経営大学院でMBA取得。現在、オーダーメイド型企業研修を展開するエマメイコーポレーション代表取締役。オンライン研修「営業サプリ」を運営する株式会社サプリCKO。高校・大学・就職いずれも第1志望に入れず悶々と過ごす。リクルート入社後、上司、先輩、社外の大手・中小企業経営者、管理職に片っ端からアドバイスを求め、挫折、失敗、後悔、さらに「後悔しない方法」を聞き実践した結果、人生が好転する。インタビューは今も継続中で、人数は1万人を超える。歴史上の成功者や偉人よりも身近な人の成功、失敗から学ぶ合理性を痛感している。著書にシリーズ28万部のベストセラー『40代を後悔しない50のリスト』(ダイヤモンド社)など20数冊がある。

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