「味が決まらない……」という料理の9割は“塩”が足りない!

ほとんどの料理の味は塩で決まります。でも、「塩――適量」としか書いていないレシピも多いので、本当に「テキトーな量」の塩で味つけをしていると、ボンヤリした味の料理になりかねません。「適切な塩の分量」を見つける方法を、シェフで料理科学研究家の水島弘史先生に教えてもらいましょう。

塩加減が「おいしい!」の第一歩

ネットを少し探せばひとつの料理についてさまざまなレシピが発見できますが、塩加減についての表記が実にあいまい。

たとえば「塩ひとつまみ」「塩少々」「塩適量」「塩コショウで味をととのえる」「全体に塩をふって」「薄く塩をふる」……。これ、何グラムの塩のことだかわかりますか? 僕にはさっぱりわかりません!!

料理の味つけの基本は「塩加減」にあります。人間が生理的に「おいしい」と感じる塩分濃度が0.8%。これは人間の体液の塩分濃度と同じであり、生理食塩水の濃度ということです。

塩加減が料理の味を決めるといっても過言ではないだけに、塩をちゃんとはかることが「おいしい」の第一歩。逆に、料理の味が「イマイチ」「決まらない」という場合、そのほとんどは塩加減の失敗です。

塩がきちんと決まっていれば、それだけで素材はおいしく食べられます。コショウや各種のハーブは「つけ足し」だと考えてください。

フレンチは「複雑なソース」で味をつけなければならないと思うかもしれませんが、基本はやっぱり塩です。塩がきちんと決まっているという前提で、味わいを深くリッチにするためにソースを少量使っています。

チキンソテーが見違える!

ここでご紹介するチキンソテーは、焼いた鶏肉を塩味でいただくこれ以上ないシンプルなメニュー。素材の重さの0.8%を基本として、塩は0.1gまで正確に計量しましょう(できれば0・1gまで測れるキッチンスケールを用意してください)。

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チキンソテーで準備する材料は鶏肉と塩だけ。肉の重さの0・8%を正確にはかり、肉の裏表全体に塩をまんべんなくふっておきます。塩味がついた肉を、テフロン加工の冷たいフライパンに皮を下にしてのせて「弱火〜弱めの中火」で焼いてください。

「パチパチ」という音がして水分がはじけ飛ぶようだったら、火が強すぎ。なにも音がしないようなら弱すぎです。だんだん水分や油が出てくるので、たたんだキッチンペーパーを菜箸やトングではさみ、ていねいに吸いとります。

皮のコラーゲンがゼラチン化し、それがさらに薄くクラスト状になったのがいわゆる「皮パリ」。皮目の下に水分がたまらないよう、ときどき肉を持ち上げて、皮の下の油や水分をふいてください。

「皮の面を10〜15分、裏返して2〜3分」焼くのが目安だと考えてください。このとき、肉の重さが焼く前の約8割になっていれば完成です。

「強火で短時間の調理」は水分もうま味も失われるので、「遅い!」と思ってもぜったい強火にしないでください。「弱火で長時間の調理」が、もうひとつのおいしさのルールです

 

[レシピ]チキンソテー

材料
鶏モモ肉(またはムネ肉)
1枚
肉の重さの0.8%
サラダオイル

 

つくり方

① 焼く直前、裏表に塩をふり、全体にサラダオイルを薄く塗ったら、冷たいフライパンに皮目を下にしてのせ、弱めの中火にかける

② フライパンの油がパチパチとはね始めたら弱火に落とし、最初に出てきたよぶんな油と水分をキッチンペーパーで吸いとる

③ 肉の厚みの6〜7割の高さまで色が白く変わってくるころには、皮がパリパリになっている。ここで裏返す

④ 裏返してから1分〜1分30秒ほどそのまま焼けば完成。肉の重さは焼く前の80%程度になっているはず

 

 

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PROFILE
水島弘史

フランス料理シェフ、料理科学研究家。1967年、福岡県に生まれる。大阪あべの辻調理師専門学校および同校フランス校卒業後、フランスの三つ星レストラン「ジョルジュ・ブラン」で研修。帰国後、渋谷区恵比寿のフレンチレストラン「ラブレー」に勤務、1994年より3年間シェフを務める。2000年7月に恵比寿にフレンチレストラン「サントゥール」を開店。後に「エムズキッチンサントゥール」と改め、2009年4月まで営業。現在は、麻布十番にて水島弘史の調理・料理研究所を主宰し、すべての料理に通じるプロのルールを伝えている

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