「若いうちに使うお金は財産」林修先生が言う本当の意味

※本記事は、林修先生唯一のビジネス書である『林修の仕事原論』(青春出版社)より、抜粋してご紹介します。 

お金とは目的ではなく手段であり、稼ぐこと以上にその使い方に目的や品格が求められる――。テレビでも活躍する人気予備校講師の林修先生に、本当に自分を向上させてくれるお金の使い方ついて教えてもらいました。

お金は稼ぎ方より使い方のほうが難しい

まさにこの見出しの通りです。僕は生徒に同じことをよく言っています。

天才的な稼ぎ方をする人は世の中にたくさんいますよね。動物的とも言える勘で商機を逃さず、大金を手にして成功者ともてはやされる人は枚挙にいとまがない。お金を引きつける磁力のようなものがあるんでしょう。

でも、そういう人がお金を使うほうも上手かというと、そうでもない場合があります。

たとえば、テレビ番組のお宅訪問のコーナーで紹介されるお金持ちの邸宅を見ると、呆れてしまうことがあります。すごく広いリビングをつくりました。大理石のテーブルを入れました。ヒョウの毛皮を敷きました。甲冑を飾りました。有名画家の絵を飾りました……。

そう、あまりにもワンパターンで、個性のかけらも感じられないケースがほとんどです。いったい、なぜこんなことが起きるのでしょうか?

どこかで見たお金持ちのイメージを、忠実に再現(というより模倣)しているからです。厳しい言い方をすれば、自分らしいお金の使い方をするだけの真の「教養」がないのです。

お金は、その使い方で人を試す実に恐ろしい「物差し」です。もちろんなければ困りますが、あったらあったで我々の知恵が試される。お金はうまく稼ぐのも難しいが、うまく使うのはそれ以上に難しいのです。

では、どんな人が素敵なお金の使い方をしているのか。やはり、そのためには先にも述べたように教養が必要なのです。教養のある人は、お金を手にしてもはしたない使い方をしないもの。

みんなが喜んでくれるようなイベントを開催して、さりげなく費用を全額払ってしまう――。

そんなふうに、自分の努力の成果を見せびらかすことなく、一瞬にして多くの人を笑顔に変えてしまう演出を見ると、僕も学ばなければと思うことがしばしばあります。

お金とは、自分の知恵が、教養が、さらには品格が試される、恐ろしい「物差し」であるという自覚が必要です。

意識してお金の使い方を覚える

では、どうやってその知恵と教養と品格を身につければよいのでしょうか?

はたで見ていて、「はしたないなあ」というお金の使い方をする人(そんな人には「成金」という称号が与えられる場合も少なくないのですが)を見ていると、ある程度の年齢を重ねてから急に大金を得たというケースが多いのです。

若いころは思うようにお金を使うことができなかった人が、あるときから急に自由にできるお金が手に入ったという場合でしょうか。一方で、若いころからしっかりお金を使ってきた人にはそういうケースが少ないようです。

私が通っているてんぷら屋さんのご主人は、その著書で「使った分が自分の財産だ」という旨のことを書かれています。若いころに骨董屋で見つけた逸品がどうしてもほしくて、もらったばかりの給料を封も切らずに持って行って手に入れたという話も書かれていました。

こういう方が、結局は大成するんですよ。だから僕は、特に若い人にはお金を使うという意識をしっかり持ってもらいたいのです。

将来が不安だからお金を貯めなきゃ、という価値観が大勢を占める今の時代。そういう意識ももちろん大切ですが、ここまで述べてきたように、お金を上手に使うには知恵と訓練が必要です。

頑張った末にある程度のお金を手にしたとき、情けない使い方をしないようにするためには、若いころからの練習が必要なのも事実なのです。

何を買ったらいいかわからないから、周りのお金持ちと同じような豪邸を建て、似たようなモノをそろえて内装を飾るというのでは、少し寂しい気がします。

使ったお金は「財産」だと考える

僕もずっと貯金もないような生活をしてきましたが、それでも世の中で「一流」と言われる店で飲食することを心がけていました。

すると、同じ店内には優雅に食事している「お金持ち」の方々が多数いて、僕がギリギリで(ときには青ざめながら)支払っている額を、余裕で払っているように見えたものです。

いつも敗北感がありましたね。こういう店に来なければ味わわなくてもすむ敗北感です。ならば来なければよいのか? それはもっと大きな敗北のように思えたので、僕は無理を続けたのです。

振り返ってみると、あのときに無理をしたからこそ、今になって助かっていることが多々あることに気づきます。てんぷら屋さんのご主人がおっしゃるように、やはり使ったお金は財産なんですよ。

若いうちであれば、法外な買い物をしてしまったと頭を抱える日があっていいんです。いつか何百倍になって返ってくるかもしれません。

3万円もするオペラのチケットを衝動的に買ってしまい、十分に堪能したあとでふと我に返り、「どうしよう……」と明日が不安になるようなことは、若いからこそ味わえる素晴らしい経験です。

あえて繰り返します。若いときに無駄遣いはありません。生きた財産を増やしているだけなのです。バカなことをやったなというのも勉強。

もし価値のないものにお金を使ってしまったと思っても、それは授業料を払っただけであり、そうやって手に入れた経験はかけがえのない財産です。

 

 

seishun.jp

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PROFILE
林修

1965年愛知県生まれ。東進ハイスクール、東進衛星予備校現代文講師。東京大学法学部卒業後、日本長期信用銀行に入行。その後5カ月で退社し、予備校講師となる。現在、東大特進コースなど難関大学向けの講義を中心に担当。テレビ番組のMCや講演など、予備校講師の枠を超えた活躍を続けている。

林修の仕事原論 (青春新書インテリジェンス)

林修の仕事原論 (青春新書インテリジェンス)

  • 作者:林 修
  • 発売日: 2016/11/02
  • メディア: 新書