将来お金で失敗しない子になる 「家族マネー会議」のススメ

お金を持つ子ども

5女1男をもつ大人気ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんの家庭では、月に一度「家族マネー会議」を開き、家計について貯蓄額まですべてオープンにしているそうです。それにはどんな狙いがあり、どんな効果が生まれているのでしょうか?

家計はお金について学ぶ最適な教材

日本では、なぜか昔から「子どもにお金の心配をさせたくないから」というような理由で、家の収入や支出について教えないことが当たり前とされてきました。

私を含め、同世代の親御さんたちのほとんどが、親の年収がいくらで、毎月どのようなことにお金がかかって、ローンがいくら残っているかなど、子どものころにはまったく知らなかったはずです。

しかし、このようなスタンスは子どもの金銭感覚の成長を妨げてしまいます。子どものころにお金についてどう考え、どう向き合ったかという経験は、大人になってからのお金の扱い方にも必ず生きてくるからです。

家計は、子どもたちがお金について学ぶための最適な教材なのです。

とはいえ、家のお金が実際どうなっているのか、話しにくいところもあるでしょう。じつを言えば、私自身も子どもにお金の話をすることに抵抗感を抱いている1人でした。

自分の子ども時代を思い返しても、親と家計のこと、お金のことを話し合ったことがなかったので、なんとなく触れない方がいいものだと思っていたのです。

ところが、長女が小学校2、3年生のころでした。妻とリビングで生命保険料などについて話していたら、「保険料ってなんで払ってるの?」と会話に加わってきたのです。隠す必然性はないのですが、一瞬戸惑いました。なんとなく、夫婦の秘密を見られてしまった、という感じでしょうか。

しかし、冷静に考えてみると、話して困ることも、おかしなこともないと思い返しました。そこで、生命保険の仕組みなどを説明しながら保険料について話しているうち、「お金の話は子どもとのいいコミュニケーションにもなる」と気づいたのです。

以来、定期的に子どもたちも含め家族全員に家計について話すようになっていき、家族全員で家計について全員で話し合う「家族マネー会議」を月に一度のペースで開いています。

「家族マネー会議」の具体的なやり方

横山家の「家族マネー会議」の開催日は、給料が出た週の金曜日。社会人になった上の子から小学生の末っ子まで家族8人、全員参加です。

最初に「今月の収入」を公開。私や妻の給料、書籍の印税なども包み隠さず、すべて見せます。幸い今ではそんなことはありませんが、独立して日が浅く収入が安定していなかったころは、「今月、少ないね」と子どもたちがざわつくこともありました。

次に家計簿をつけている妻が「今月の支出」を発表。住居費、水道光熱費、通信費などの固定費、食費、交際費、医療費などの変動費、前月との比較もしつつ、出ていったお金について報告します。

ここで「無駄じゃない?」と感じる支出に対して、子どもたちからチェックが入ることもあります。私は以前、1日2箱吸う愛煙家でした。でも、当時はおこづかいが月1000円未満だった娘たちからすると、1箱280円のタバコを2箱。1日当たり560円、1カ月で1万7000円もの支出は多すぎると感じたのでしょう。

「お父さんはなぜタバコを吸うの?」と聞かれ、「息抜きで」と説明したものの、「これだけのお金があれば本やノートやおいしいおやつも買えるのに……」と言われて、反論できませんでした。

こちらは必需品のつもりでも、子どもから見ればただの贅沢品であり、無駄なものだというとらえ方だったのです。結果的には、この会議をきっかけにタバコをやめる決心ができたので、娘たちに心から感謝しています。

続いて貯蓄の推移を公開。貯金はもちろん、株式投資の損益、投資信託の評価額など、投資の内容についても伝えています。下の子たちは、未就学児だったころはもちろん、小学生になった今も私や妻が何を言っているのかよくわかっていないと思います。

それでも、その場に一緒にいて、会議に参加し続けることで彼らなりに理解し、疑問を持ち、お金や投資に興味・関心を抱いてくれるようになります。

家族マネー会議

お金の使い方をプレゼンさせる

ここまでが「家族マネー会議」の前半だとすると、盛り上がるのはここから先、後半のプレゼン大会です。

収入から支出と投資を含めた貯蓄を引いたあとに残ったお金。これを使って何か購入したいものはありますか?と話し合います。

あるときは中学生だった娘が「塾に行きたい」と手を挙げました。

それに対して「塾代が高すぎるんじゃない?」「続けられるの?」と質問が出ます。すると、娘は「お姉ちゃんは私立に通っているけど、私は公立中学だし、高校も公立に行くつもり。学費がかからない分、塾に行ってもいいはず」と返し、家族を納得させ、塾に通えるようになりました。

そうかと思えば、私が「自分用のドライヤーが欲しい」と提案したときは、家族全員から「今ある女性向けのドライヤーでも髪は乾きます」と言われ、却下。このように「家族マネー会議」では、稼ぎ手かどうか、年齢が上かどうかは関係なく、平等に意見をぶつけ合っていきます。

ルール化しているのは、会議のあとには文句を言わないこと。言いたいことは会議の席上で言い、不満も会議の間でおしまいにします。そして、子どもからの意見だから……と甘く受けとらないこと。あくまで大人からの意見と同様に受けとり、真摯に検討するようにしています。

大切なのは、そのお金の使い方が家族にとって有効かどうかです。少しでも疑問があると、会議を通ることはありません。

「家族マネー会議」思わぬメリット

「家族マネー会議」は、家計と子どもたちのお金の使い方にさまざまな効果を発揮してくれます。

・家計の流れを共有することで、お金の使い方に計画性が出始める
たとえば、今月は支出が増えているから欲しいものは我慢しよう。前回はお父さんの希望のものを買ったから、来月は自分の欲しいものを提案してみよう。そんなふうに計画的にお金を使う視点が育っていきます。

・家計管理が楽になる
収入と支出を家族全員が共有するので、節約したいときも協力を得やすく、家計管理が楽になります。また、家計の状態がわかっているので、親にねだるのではなく、自分のおこづかいを貯めて欲しいものを買おうとするなど、子どもたちのお金のやりくりもうまくなります。

実際、家計の相談にやってきたお客様で「家族マネー会議」を始めてみたという人に話を聞くと、こんな変化があったと教えてくれました。

「住宅購入の頭金を貯めていることを子どもたちが知ったことで、家計に興味を持ってくれるようになった。新しい家に住むことを実現したいと楽しみにしてくれるようになり、モデルハウスの広告を見ながら貯金の進み具合を気にしてくれたり、欲しいものを我慢してくれたりするようになった。自分のおこづかいも貯めているようだ」

 

「勉強が不安だと複数の塾に通っていたが、家計の実情を知り、節約のために塾を減らすことを考えてくれた。どの塾を残そうかと優先順位を考えているようだ」

 

「家計のやりくりについて話すようになったら、社会人の子どもが家にお金を入れてくれるようになった。アルバイトをしている子どもも少しずつお金を入れてくれるようになり、ありがたい」

家族は「家計を共にするメンバー」

あなたが「うちも家族マネー会議をやってみようかな」と思ったとき、いきなり収入や貯蓄額のすべてを公開するのは難しいかもしれません。そんなときはまず、家族が集まったとき、子どもやパートナーに「最近、みんなで使うために欲しいものはある?」と聞くことから始めてみましょう。

そして、それが金額的に購入可能かどうか、家族に必要なものかどうかを話し合います。欲しいもの、あったらいいなというものをきっかけに、家族みんなに意見を聞いてみる形でコミュニケーションを深めていくのです。

また、家計のやりくりがきつい状態なら、子どもたちも交えて素直に「今月大ピンチ!」と打ち明け、議題にしてしまうのも手です。かしこまらず、話に巻き込んでいくことで自然と会議が成り立ちます。

その後は、「今月もお金の使い方の相談に乗って!」と家族全員を集め、家計の支出を公開しながら全員の意見を聞きます。もちろん子どもの声にも真摯に耳を傾けましょう。

小さいときからお金の話をすることに賛否両論があるのは、私も理解しています。しかし、心配と裏腹に、多くのメリットがあることも事実です。子どもを大切な会議のメンバーととらえることで、その子にいい影響も出ますし、みんなで目標を共有することで、家族の絆も深まります。

ちなみに、「子どもが外で世帯年収や貯蓄額を話しちゃうかも」という心配については、こんなふうに話して聞かせています。

「キミたちは横山家の社員だ。キミたち一人ひとりが社員だから実情を知っていてほしいし、だからこそ大事な話をよそで話さないでね」と。守秘義務とまでは言いませんが、「大事なルールだよ」と伝えると、子どもたちも守ってくれます。

 

PROFILE
横山光昭

家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の問題の抜本的解決、確実な再生を目指し、これまでの相談者数は2万3千人を突破。各種メディアへの執筆・講演も多数。個人のお金の悩みを解決したいと奔走するファイナンシャルプランナー。

seishun.jp

seishun.jp

子どもが10歳になったら投資をさせなさい

子どもが10歳になったら投資をさせなさい

  • 作者:横山 光昭
  • 発売日: 2019/11/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)