勉強より大切! 子どもを幸せにするには「お金の価値観」を育てなさい

子どもにお金

5女1男をもつ大人気ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんの家庭では、月に一度「家族マネー会議」を開き、家計について貯蓄額まですべてオープンにしているそうです。それによって子どもには「お金の価値観」が育ち、他にも思わぬ効果が生まれていたそうです。東日本大震災をきっかけにわかった、その効果とは?

同じ教育をしても子どもの金銭感覚はそれぞれ

横山家は6人の子どもと妻、私の8人家族です。今どき6人きょうだいというとビックリされますが、社会人の長女を筆頭に、大学4年生で就活を終えたばかりの次女、大学1年生になった三女、高校1年生の四女、小学5年生の五女、小学2年生の長男という構成です。

自分で給料を稼ぐようになった子から、毎月数百円のおこづかいでやりくりをしている子まで、そのお金事情はさまざまです。

そして、妻も私もファイナンシャルプランナーで、家計再生コンサルタントとして2万3000人以上の方の家計の相談に乗ってきました。

そのような環境もあって、わが家では子どもたちともオープンにお金の話をしています。その一例が、毎月行っている「家族マネー会議」。子どもたちは家の収入、支出、貯蓄額から投資額までお金に関するすべての数字を知っていて、家族のお金の使い方についていつも議論しています。

そうした取り組みを続けてきた甲斐あってか、長女は節約家で計画的にお金が使える人になっています。一方、三女、四女はのんびりマイペースですが、お金の使い方にははっきりした目的意識が感じられます。

同じ家庭で育っても、金銭感覚には個性が反映されるのが面白いところです。

子どもには“時間”という武器がある

そして、子どもには早いうちから「投資」について教えることもしています。ただし、これはどんどんお金儲けをしましょう、ということではありません。

投資というと株式の短期売買やFX、仮想通貨などをイメージされるかもしれませんが、私でおすすめするのは、「長く、少しずつ運用を続けることで成果を出す投資」です。商品としては、おもに投資信託を利用します。

ここで言う〝長く〟とは、最低でも10年、通常は20年以上を想定しています。というのも、子どもたちには、大人にはない「時間」という強力な武器があるからです。積立投資では、期間が長くなればなるほど運用益が大きくなっていきます。

金融庁のデータでは、投資信託を5年間保有している場合は元本割れする可能性もあるのに対して、20年間保有している場合はすべて年率2〜8%の運用益を手にしています。

長期の積立投資では、やり方を間違えなければ着実にお金を増やすことができるのです。実際、長女は20歳になってすぐ「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を始めて毎月2万3000円ずつ積み立てていますが、資産は順調に成長しているようです。

「老後2000万円問題」がニュースになったときも、「30年後でしょ? このペースなら、全然大丈夫だよ」と笑っていました。

「生きたお金の使い方」とは?

思い返してみると、私は親から「お金の教育」を受けた記憶がありません。ただ、一つだけ強く印象に残っている言葉があります。それは、ことあるごとに母親が投げかけてきた、「生きたお金の使い方をしなさい」という言葉です。

子どものころは何を意味するのかよくわかっていませんでしたが、社会人になり、人並み以上にお金の失敗を経験して、人様の家計の相談に乗り、子どもたちを育てるようになってから、母親の言っていた「生きたお金の使い方をしろ」という言葉の意味がわかってきたような気がしています。

「生きたお金の使い方」ができるかどうかは、その人の生き方が影響します。

たとえば、私たちの目の前にある商品やサービスにはすべて価格があります。ホテルのラウンジで飲むコーヒーは1200円で、コンビニで買う挽きたてコーヒーは100円。

数字だけを見て「高い・安い」を判断すると、ホテルのコーヒーは高くて無駄づかい、コンビニのコーヒーは安いからおトク、となってしまいがちです。

でも、あなたにとってのものの価値は、高いか安いかだけで決まるものでしょうか?「少々高くても、やってみたいこと」もあれば、「安くても、すごく価値のあるもの」もあります。

私の母親が言っていた「生きたお金の使い方をしろ」とは、使うお金、使ったお金を「生き金」にするために、ちゃんと自分の価値観で判断して決めなさい、ということだったのだと思い当たります。

お金は、何かを成し遂げようとするときに使います。言い換えれば、お金は使い方によってその価値が変化するのです。生きたお金になるのか、単なる消費や浪費になるのか――。お金の価値は、お金を使う人によって決まります。

つまり、日ごろからのお金との向き合い方、使い方、生活習慣、環境など、いろいろなものが影響して形づくられたその人なりのお金の価値観こそ、何より重要なのです。

だからこそ、私は子どもたちに「生きたお金の使い方」ができるお金の価値観を身につけてもらいたいと願い、そのための働きかけを続けてきました。

震災のときにわかった子どもたちの成長

わが家では子どもたちに資産を残さない方針です。でも、自分で調べる力やお金を増やす力は伝えていきたいと思い、「ドル建ておこづかい制」や「おこづかい帳」、「家族マネー会議」などの仕組みをとり入れ、親子でお金に関するコミュニケーションの時間が増えるよう心がけています。

こうした働きかけの成果か、6人の子どもたちはそれぞれの個性に応じたお金の価値観を身につけつつあるのを感じています。特に社会人、大学生となった上の子たちは、私の10代、20代のころと比べると、あきらかにきちんとしたお金の優等生になってくれました。

ただ、心配していることもあります。それは「消費」「浪費」「投資」を意識して大切にお金を使おうとするあまり、ケチケチ節約ばかりする子になってしまうのではないか……という懸念です。

ところが、東日本大震災のあと、私の心配は杞憂だったことがあきらかになりました。

震災のあった月末の「家族マネー会議」で、東日本大震災への寄付が大きなテーマになったのです。

私は日ごろから、子どもたちに寄付することをすすめてきました。というのも、お金と社会のつながりを考えるうえで、そもそも日本に生まれ育ったことがいかに恵まれているかを伝えたいからです。海外にはまだまだ生活のためのインフラが整わず、毎日の食事に困るような暮らしをしている人たちもたくさんいます。

人間は大人も子どもも自分をとり巻く日常が「普通だ」と思いがちです。しかし、しっかりした教育を受け、おこづかいをもらいながら育ち、学生のころから投資をするという選択肢のある環境は、世界的に見ると必ずしも「普通」ではないのです。

その豊かさ、得られているメリットを知ってもらうためにも、たとえ少額でも、寄付という形で他者を思いやる気持ちを示すよう話してきました。

そんな背景があったためか、震災後の「家族マネー会議」では当然のように、「家族みんなで寄付をしよう」という話になったのです。

各自のおこづかいから出すだけでなく、家計からも捻出することになり、議論が白熱したのが寄付の金額をいくらにするかでした。

私は「寄付をしよう」とまでは決めていたものの、具体的な金額については考えていませんでした。すると、長女を中心とした子どもたちが、「まさか数万円くらいで終わらそうと思ってないよね?」と詰め寄ってきたのです。

結果的に子どもたちの気持ちに押される形で、私からすると想定以上の多額の寄付をすることになりました。

あの日の「家族マネー会議」は、とてもうれしい出来事として記憶に残っています。使うべきときには惜しまず使えるメリハリのある金銭感覚を育んでほしい。私は子どもたちとお金の話をしながら、いつもそんなふうに願ってきました。その思いが十分に伝わっていることがわかったからです。

子どもたちは、「いま必要な人のところへ、少しでも多くの寄付を送りたい」と考え、実行してくれました。まさに「生きたお金の使い方」です。

お金は自分の描きたい人生を実現するためのツールで、その使い方にはあなた自身、お子さん自身が投影されます。

どんな姿をお子さんたちに見せたいか。どんな姿をお子さんたちに見せてもらいたいか。金銭教育には、何がいいという唯一無二の正解はありません。

まずは親御さんが心を開いて、お金について、投資について語りかけてみてください。コミュニケーションを重ねるうち、あなたとお子さんにとってしっくりくる着地点が見えてくるはずです。

 

 

PROFILE
横山光昭

家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の問題の抜本的解決、確実な再生を目指し、これまでの相談者数は2万3千人を突破。各種メディアへの執筆・講演も多数。個人のお金の悩みを解決したいと奔走するファイナンシャルプランナー。

子どもが10歳になったら投資をさせなさい

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