種のこぼれないトマトの切り方
とれたてのトマトをくし形切りにしたところ、ゼリー状の果肉と種があふれ出してしまい、食べても妙にスカスカで物足りない……。このよくある失敗は、包丁を入れるときにちょっと気をつければ防ぐことができる。
切る前にトマトに目を近づけて、ヘタのある上側をよく見てみよう。わずかな窪みと盛り上がった部分が交互に並んでいるはずだ。じつはこの窪みに沿った部分が、種のない仕切りになっている。
ゼリー状の果肉と種をこぼしたくなければ、窪みに沿っておしりの先まで包丁を入れ、くし形にひとつひとつ切っていけばいい。こうすると、ゼリー状の果肉と種の見えないくし形切りができあがる。ただし、窪みは均等に並んでいるわけではないので、切り分けたものの大きさは、揃わないことを理解しておこう。
スイカはまず縦ではなく横に切る
夏の果物の王様、スイカは種が多いのが残念なところだ。いちいちスプーンの先でほじくるのは面倒だし、口に含んでから吐き出すのはちょっと下品……。しかし、大好きだからいっぱい食べたい。
こういった人は、スイカを1/2玉や1/4玉ではなく、豪快にひと玉買いをしよう。そして、種を簡単に取り除きやすい切り方をすればいい。
ひと玉のスイカを切るときは、まずヘタの部分を上にして立て、ふたつ割りにする場合が多いのではないだろうか。しかし、種を取り除きにくくなるのは、この縦に半分にしてから切り分ける方法だ。
スイカは最初に縦割りではなく、スイカのヘタが横になるように置いて、上から真っ二つに切ってみよう。1/2玉の状態にして注目するのは、切り口に点在する種の位置。中央部分から、その種をめがけて切り分けていくのだ。
一見、スイカの種はばらばらに散らばっているようだが、じつは中心部分から放射状に、ほぼ同じラインに沿って並んでいる。横にふたつ割りにすれば、見えている種の下に、ほかの種もほぼ並んでいるというわけだ。こうして切り分ければ、切り口に種がいくつも見えるので、簡単に取り除くことができる。
また、スイカで最も糖度が高いのは中央部分。この切り方をすれば、そのおいしいところが食べる全員にいきわたるというメリットもある。
キュウリは木べらを押し当てて割る
キュウリを叩いて、ゴマ和えなどにして食べるたたきキュウリ。夏に食べたいさっぱりした料理で、汗で失われた水分やミネラルも補給できる。このたたきキュウリは、破片が飛び散らないようにキュウリをビニール袋などに入れて、めん棒などで叩いて作るのが基本だ。
ただ、キュウリの中には種が大きくて、口当たりの良くないものもある。こうした種の食感が嫌いなら、別の叩き方をしたほうがいいだろう。やり方は、めん棒で叩く方法よりも簡単。キュウリをまな板にのせて、その上に木べらをかぶせて手を当て、ぐっと一気に体重をかけて押しつぶすのだ。
こうするだけで、キュウリ全体にヒビが入る。これを適当な大きさにちぎり、口当たりの悪そうな種を落として和え物にしよう。
ナスは揚げてから煮る
ナスの皮の濃い紫色は、高い抗酸化作用を持つアントシアニン系の色素。効果的に摂取したいものだが、調理の仕方によっては、そのつややかな紫色が流れ出し、美しさも栄養も失ってしまうことになる。
とくに注意が必要なのは煮物にする場合。アントシアニンは水溶性なので、煮ると煮汁に溶け出していくのだ。しかも、80℃以上で調理しないと、色落ちして茶色になり、見た目の仕上がりも随分悪くなってしまう。
そこでナスの煮物を作るときには、第一段階として、煮る前に揚げるか炒めておこう。アントシアニンは高温で調理すると、性質が安定して紫色をキープできる。加えて、表面が油でコーティングされることから、煮汁への流出も防げるのだ。ナスはただの煮物ではなく、揚げ煮、炒め煮にするのが正解だ。
トウモロコシの粒は親指で押して取る
ゆでたトウモロコシをそのまま食べるなら、手に持ってかぶりつけばいい。一方、コーンとしてスープやサラダなどに使いたい場合は、いちいち粒を取らなければいけない。けれども、これがなかなか面倒……。
包丁でごっそりこそげ落としてもいいが、このやり方では、どうしても根元の部分が少々残ってしまう。ちょっともったいないので、何とかきれいに、しかも簡単に取る方法はないものか。
では、トウモロコシの粒の手軽な取り方を紹介しよう。用意するのは1本の割り箸。持ち手側の端が四角や丸のものではなく、斜めになっているタイプの割り箸が向いている。
まず、この割り箸の斜めになっているほうを上にして、ゆでたトウモロコシのいちばん根側の粒の下に差し込む。そして、ぐっと押し込むように前に動かしていくと、1列分の1粒1粒をきれいにはがすことができる。
1列がすべて空けば、あとはもう割り箸はいらない。隣の列の粒に親指の腹を当て、はがれた列のほうに横に押していけば粒が倒れていく。こうして1列ずつ順番にはがしていけばいい。
トウモロコシ1本分をはがすと、かなりの量の粒を取ることができる。一度で使い切れない場合は、小分けにしてラップなどで包み、冷凍保存するといいだろう。必要なときに、いつでも使えてとても便利だ。
オクラはコップに立てて保存
ネバネバ野菜のオクラは夏が旬。ゆでたり焼いたりはもちろん、生を細かく刻んで和え物にしてもおいしい。ただ、ひとつ気になるのが、野菜室で保存していると、数日たたないうちに黒ずんだ斑点や筋が出てくることだ。
オクラはアフリカやインドなどの熱帯が原産なので、寒さには非常に弱い。6℃〜7℃の野菜室はオクラには冷えすぎていて、低温障害を起こしてしまうのだ。また、オクラに豊富に含まれている鉄分も変色につながる。栽培中や収穫時、オクラの表面に何かが触れてキズがついてしまうと、そこから鉄分が空気に触れて酸化し、だんだん黒くなっていく。
こうして黒い斑点が出た場合、色が変わっているのは表面だけで、中身はそれほど劣化していないことも多い。とはいえ、やはり見た目が悪く、食欲がわかなくなるのは確かだ。できるだけ美しい緑色をキープしたまま保存したい。
オクラの上手な保存の仕方は、まずヘタを下にしてコップの中に入れる。逆さまのように思うかもしれないが、じつはこれがオクラが畑でなっている状態。オクラの実は先端を空に向けて伸びるのだ。
コップには水を深さ1㎝ほど入れて、ヘタの部分がつかることを確認する。置き場所は常温の室内。夏場は水が傷みやすいので、必ず毎日、取り換えるようにしよう。
こうして低温を避けて水分を補給すると、黒ずむのをかなり抑えることができる。
「暮らしをもっと楽しく! もっと便利に!」をモットーに、日々取材を重ねているエキスパート集団。取材の対象は、料理、そうじ、片づけ、防犯など多岐にわたる。その取材力、情報網の広さには定評があり、インターネットではわからない、独自に集めたテクニックや話題を発信し続けている。