「セキュリティソフトを二重にかければ安心」が絶対NGなワケ

セキュリティソフト

インターネットの世界には危険がたくさん。だからといって、過剰な対処をしていると逆にそれが安全を損なっている可能性もある。正しい対処法を知っておこう。

アンチウイルスソフトが普及するきっかけ

1990年代末から2000年代には、コンピューターウイルスが爆発的な感染力を見せつけ、その存在感を示した。しかし、当時、パソコンへの危機意識が低かったことによるところが大きく、あからさまに怪しいメールでも普通に開かれていた。

2000年ごろに大流行したワーム「I LOVE YOU」は、「I LOVE YOU」というタイトルのメールで届き、「LOVE-LETTER-FOR- YOU.TXT.VBS」という名前の添付ファイルをクリックすることで感染する。

感染すると、アドレス帳に登録されたアドレスに、自らのコピーを送り付け、JPEGやMP3などのファイルを破壊した。この大流行でパソコンのセキュリティ意識が一気に高まり、アンチウイルスソフトが普及するきっかけとなった。

このときのことを覚えているユーザーは、パソコンの脅威といえばウイルスしかなかったようなイメージだが、1990年代末には大規模なサイバー攻撃が始まり、2000年には省庁のウェブサイト改ざんが大きな問題となって、不正アクセス禁止法が施行された。2000年代前半にはすでにフィッシング詐欺の被害がみられ、アノニマスのようなクラッカー集団も話題となった。

「パソコンが重い、遅い」の原因になることも

そして現在も、パソコンはさまざまな危険に取り囲まれている。ウイルスやワームだけではない。外部からパソコンを意のままに操る「ボットネット」に、パソコンの情報を盗み出す「スパイウェア」、外部から自由に侵入できるように作られる「バックドア」、パソコンそのものを人質に金品を要求する「ランサムウェア」……。

被害にあったときのことを考えると、パソコンをインターネットに接続するのをためらうほど不安だ。

だからといって、セキュリティソフトを2つも3つも入れてはいけない。絶対に! セキュリティソフトは、パソコンのセキュリティを担うため、パソコンの基本的な動作を制御するWindowsやMac OSといったOSと連携して稼働する。

パソコンのバックグラウンドで起動して、常に不正な侵入者がいないか監視しているのだ。そのため、複数のセキュリティソフトがインストールされていると、互いに競合してOS(WindowsやMac OS)に悪い影響を与えてしまう。

その結果、パソコンの動作が遅くなったり、動かなくなったりする可能性がある。パソコンにインストールするセキュリティソフトは、必ずひとつだけにしよう。

セキュリティはWindows Defenderでは不十分?

なお、Windows10には、「Windows Defender」というセキュリティソフトがあらかじめインストールされている。基本的にアンインストールはできず、他のセキュリティソフトをインストールすると、自動的に無効になる。

Windows Defenderは、市販のセキュリティソフトと同じく、ウイルス侵入防止機能や既存のファイルをスキャンする機能、ファイルの改ざん防止機能など、基本的なセキュリティ機能は搭載されている。

しかし、おすすめのセキュリティソフトのランキングにはなかなか入ってこない。AV-Comparativesというオーストリアのセキュリティソフトの動作を評価する団体によると、Windows Defenderは、ウイルスなどの不正アクセスのほとんどをブロックし、他のセキュリティソフトと遜色ない結果を出している。

ただ、他のセキュリティソフトと比べて、「ネットバンキング」(インターネットを介した銀行の取引サービス)情報の保護や「システムチューニング機能」(パフォーマンスを最適化する機能)など、細やかな機能が不足している。また、電話やメールによるサポートなどがない。

無料のセキュリティソフトと思えば充実した機能を備えているが、機能とサポートの不足はユーザーを不安にさせる。

そういう意味で、機能が充実した有料のセキュリティソフトを導入するのが、やはり一番心理的な面での安心を得られるだろう。

 

PROFILE
吉岡豊

パソコン書籍やアウトドア雑誌の出版社の経験を経て2010年に独立。これまでiPhoneやiPadからWindows、Macintosh、Office関連までと幅広いパソコン関連書籍100冊以上の執筆実績がある。