仕事も子供も老後もあきらめない! 女性が知っておきたい稼ぎ方

女性の場合、結婚、出産・育児、介護などのライフイベントが仕事に与える影響は大きいもの。収入が安定しないと、「人生100年」といわれる時代に老後不安が残ります。働き方の自由度が高まっている今、女性はどうすれば人生を充実させるような仕事へとシフトできるのでしょうか? 女性のための働き方を提案している中小企業診断士の滝岡幸子さんが教えてくれました。

「生涯現役」が当たり前だった昭和の生き方

自由な働き方が認められる時代になりました。特に女性のライフスタイルは多様化していて、2つ以上の仕事をかけもちする人も珍しくありません。「会社員+起業を見すえた副業」「収入源のアルバイト+一番やりたいこと」「主婦業+趣味の延長の副業」「派遣社員+貯金のための副業」など、かけもちのパターンも様々です。

つい十年ほど前までは、「会社の仕事以外で収入を得ている」なんて言ったら、就業規則に反するケースがほとんどでした。でも今では副業解禁の会社も増えていて、人によっては「副業」を個人プロフィールに書くこともできるのです。

女性の場合、結婚、出産・育児、介護などのライフイベントが仕事に与える影響は大きく、さらに、婦人病・更年期障害といったホルモンバランスに左右される部分もあります。 その点、働き方の自由度が高まり、人生の選択肢が増えたことは、より女性にとって喜ばしいことではないでしょうか。

一方で、「人生100年」と言われるようになり、老後の時間が増えるにつれ必要なお金も増えていきます。だとすれば、不安になるのも当然でしょう。「老後には2000万円以上の自己資金が必要」という報告書が物議を醸したことも、記憶に新しいと思います。

しかし、生涯現役を成し遂げている人たちがいます。「自営業」として生きている人です。「自由業」とも言いますが、「自宅の1階で美容院や理髪店を営む人」「小さなパン屋のオーナー」「喫茶店をひとりで開業し、運営している人」「書道教室で子どもに筆の使い方を教える先生」「着物を着付ける人」「サスペンス小説を書き続ける人」など、80歳を過ぎても働いている人が、案外あなたの近所にもいると思います。

私自身、住宅街の医院で、80歳近い先生に診てもらったことがあるのですが、医師や税理士などの専門職には「定年」がありません。自営業もそれと同じで、定年という概念がないのです。70歳を超えてレシピを開発し続ける料理研究家を、テレビや雑誌などで見かけることも多いと思います。

ミュージシャンや歌手、俳優といった華やかな職業も広義の自由業でしょう。活躍の場は地域のイベント会場や個人経営のバー、自分で営む小さなお店というケースもあると思いますが、好きでやっている人が多いせいか、何歳であっても生き生きとしている方ばかりという印象です。

こうして書き出してみると、定年など関係なく働いている先輩方にこれまで多く会ってきたことに気づかされます。そういえば、私の祖母も90歳近くまで自宅併設のタバコや日用品を売る店の店頭に座っていました。

農業をしたり、自宅を起点に魚屋さんをしたり、自宅でタバコや日用雑貨を売ったり、床屋さんをしたり。高度経済成長が始まる昭和中期頃までは、個人経営の自営業が多数派だったのです。

スマホやパソコンで「副業」はより気軽にはじめられる

私は現在、経済産業省認定の中小企業診断士という国家資格を持つ経営コンサルタントとして、中小企業のコンサルティングを行っています。これまで多くの起業家さんを取材させていただきましたが、最近特に感じるのは、副業や起業を行う物理的・心理的ハードルが年々低くなっているということです。

たとえば、「コミュニティサロン(オンラインサロン)」を使った副業があります。毎週決まった曜日の夕方に「〇〇勉強会」を開き、メンバーの中で毎回違う人に、それぞれが 詳しい分野について30分程度講義してもらう、というようなスタイルの副業です。

私も、「〇〇の勉強会があるから参加してみない?」なんて誘われて参加したことがあります。いろいろな業種の企業に勤める人が集まっていて、知り合いを増やすいいチャンスにもなります。

このような勉強会が、インターネット上で「コミュニティサロン」としてサークル化しているわけです。参加者から月に数千円程度の会費を徴収し、それが主催者の収入になります。どこかの場所に集合する昔ながらの勉強会の場合、参加できる数に限りがありますが、ネット上ならば世界中から制限なく集められます。

会社に勤めながら、平日の夕方や週末を利用して、コミュニティサロンを主宰する会社員の方もいます。ひとり2000円の月会費でも、100人集めれば、売上は毎月20万円です。 また、新型コロナ禍で、「オンライン飲み会」や「オンライン居酒屋」なんていう新しいコミュニケーションの仕方もはじまりました。

あるいは平日、帰宅してから「商品」作りに勤しむハンドメイド作家さんがいます。髪飾りやネックレスなどのアクセサリー、バッグや洋服、動物やお花の小物をコツコツ手作りし、週末イベントやハンドメイドの総合サイト「minne(ミンネ)」「Creema(クリーマ)」などに出展するのです。ものによっては高く売れるケースもあるでしょう。

ほかにも、ユーチューバーやインスタグラマーなどが挙げられます。たとえば、40歳でユーチューバーになったという「あいりチャンネル」のあいりさんは、旅行やメイクアップの方法など、アラフォーならではの暮らしを動画にしています。

ユーチューバーといえば、20代が多いイメージですが、40〜50代で「日々の暮らしとお掃除」「食事の作り方」「メイクアップ法」「ライフスタイルに合ったファッション」など、生活まわりの工夫を動画に撮ってYouTubeにアップする女性も増えつつあります。自分が面白いと思うことを動画にして、ファンが増えるなんて楽しいですよね。

そんな風に、スマホやパソコンがあれば、すぐにいろいろなことをはじめられます。ひと昔前と比べたら、格段に「副業」や「自営業」への参入ハードルが低くなっているのです。

81歳でアプリ開発。その秘訣は……

私はコンサルタント業の一環として、「ひとり起業塾セミナー」を主催しているのですが、その参加者の中には、40〜50代からキャリアチェンジの準備をはじめ、スクールに通って新しい分野を学んだり、資格を取得してステップアップされる方が増えています。

女性活躍の進んだ北欧・スウェーデンでは、就労と学び直しを繰り返して、何歳になっても新たに起業や転職ができる「ライフ・ロング・ラーニング(リカレント教育、LLL)」という考え方が浸透しています。40〜50代で以前から関心のあった分野を学び、それを生かして新しい分野で起業や転職をする女性も多いそうです。

日本でも、40代後半くらいから「学び直し」の動きも出ていて、多くのアラフィフ女性が大学や専門学校で、自分の専門を深め、好きな分野について学んで起業をされています。 ある女性は50歳のときに通信教育で調理師免許を取得し、自宅で小さなレストランを開業しました。20代の頃に飲食店の厨房に立って働いていたのですが、その後は20年近く専業主婦をされていたそうです。

また、幼児教育の研究や講師をしていて、50代になってから専門学校でカラダの仕組みを学んで、新しい事業を立ち上げた女性もいらっしゃいます。

ある会社で管理職になって、部下の教育や関係性で悩んだ経験から、カウンセリングについて学び、週末に「キャリアカウンセラー」の名刺を持って副業をしている女性もいます。

話題になった方としては、80代でプログラミングを学び、2017年にスマートフォン向けのゲームアプリを開発した若宮正子さんのことをご存じの方も多いかもしれません。定年まで銀行に勤めた若宮さんは、58歳のときにパソコンを購入したそうです。パソコンは「おもちゃ箱」のようだとワクワクしたのだとか。

それから独学でプログラミングを習得し、ゲームアプリ「hinadan」を開発したのは81 歳のとき。開発するまでに、パソコンに触れた時間は58歳から20年間もあることに脱帽します。

60歳で新しいことにチャレンジして、80代まで続けるなんて素敵だと思いますし、「人生100年時代」といわれる私たちが目指すのはそのような道なのかもしれません。

生涯現役でいたいなら、いくつになっても新しいことにチャレンジしてみること! そんな姿勢の大切さが、身に沁みました。

ただひとつ、ポイントがあります。「楽しそう!」と思ったことにチャレンジしたら自然と長く続けられていて、その結果、皆に驚かれるようなことができた、というところです。「ワクワクすること」であれば、何歳からはじめてもOKなのだと思います。

人生の前半は一般企業や団体などに属してスキルを身に付け、後半はひとり起業家、自営業として「生業」を楽しみながら生きていく。

これからの人生100年時代には、そんな生き方を選ぶことで、より充実した人生を送ることができるのではないでしょうか。

 

PROFILE
滝岡幸子
中小企業診断士・経営コンサルタント、「ひとり起業塾」主宰、ポテンシャル経営研究所代表。 外資系コンサルティング会社・プライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)にて企業の戦略立案、業務改善に従事。2002年に有限会社ポテンシャルを設立。大企業とは異なる、身の丈に合った経営戦略や働き方を研究し、世の中に提案している。起業家の生き方、中小企業が勝ち抜く戦略を考えることをライフワークとし、中小企業のコンサルティング、企業研修、講演・ワークショップ・セミナー、各種メディアでの執筆など多方面で活躍。 著書に『ど素人がはじめる起業の本』『図解 ひとりではじめる起業・独立』(翔泳社)、『マイペースで働く! 女子のひとり起業』『マイペースで働く! 自宅でひとり起業 仕事図鑑』(同文舘出版)などがある。
女子の副業 夢もお金もあきらめない。

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  • 作者:滝岡 幸子
  • 発売日: 2020/08/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)