「中華料理」と「中国料理」は違う!? 一目置かれる言葉の使いわけ

いつもなんとなく使っているけど、いざ違いを聞かれると「?」となってしまう言葉たち。それぞれの意味を調べると、「へぇ~」「なるほど!」と驚くことがたくさんあります。正しく覚えて、ぜひ実際の会話で使ってみてください!

違いがわかりますか?

以下の言葉について、あなたは正しく使い分けできるでしょうか?
(それぞれの単語をクリックすると、解説が表示されます)

「暫時」と「漸次」
解説

この二つの言葉は、ビジネスでもよく使われる。

会議中に「暫時休憩します」と言ったり、「販売地域を漸次拡大しましょう」と営業戦略をたてることもあるだろう。問題は、両方の文字の印象が似ているのと、漢字だけ見ると解読しづらく、読み方や意味を混同しやすいこと。正しい解釈は、

「暫時」は「ざんじ」と読み、しばらくの間という意味。

「漸次」は「ぜんじ」と読み、しだいに、だんだんとという意味。

はっきり違うのに、「暫」と「漸」の漢字の一部が「斬」で、その音読みが「ザン」。なので、「漸次拡大」を「ザンジカクダイ」と堂々と言ってしまったりすると恥ずかしいわけだ。

「暫時休憩(ざんじきゅうけい)」は「しばらくの間休憩」、「漸次拡大(ぜんじかくだい)」は「だんだん拡大する」こと。今こそ違いを明確にしておこう。

「姑息」と「卑怯」
解説

「あいつは姑息なヤツだ」「姑息な手段だ」と言うときの心中は?

「卑怯でズルい奴」という思いがあるなら、その使い方は誤り。「姑息」は誤用がとても多い言葉で、以前、文化庁が行った調査でも、7割以上の人が本来とは違う意味で使っていることがわかった。

「姑息=卑怯」という使い方は×で、正しくは「姑息=その場しのぎ、一時のがれで物事をすること」

つまり、「姑息な手段」といえば、あくまでその場をしのぐための手段にすぎない。それがなぜ「卑怯=正々堂々としてない、卑劣でずるい」と同じ意味で使われがちなのか?

理由として、「こそく」が「こそこそ」「こっそり」といった音に似ていること、また、場当たり的な対応が、いいかげんだったり無責任なイメージと重なって悪い印象が強まり、相手を責めるとき使われるようになった可能性もある。

「お気遣い」と「お心遣い」
解説

訪問先で親切に接していただいたり、心のこもったお土産をいただいたりしたので、お礼を言いたい。そんなとき、相手の配慮に対して感謝を伝える言葉が、「お気遣いありがとうございます」や「お心遣いに感謝申し上げます」。ほぼ同じ意味だが、

あれこれそつなく気を使っていただいたことに対してなら「気遣い」。

特別なやさしさ、思いやりを感じているなら「心遣い」。

のような使い分けができる。また、「気遣い」には「気掛かり、心配」、「心遣い」には「祝儀、心付け」といった意味も含まれるので、一方の言葉だと違和感が出る場面もある。たとえば、自分を心配して声をかけてくれた相手に対しては「お気遣い」が、贈り物や金品へのお礼なら「お心遣い」がふさわしい。

また、配慮を断ったり遠慮するとき「お気遣いなく」とは言うが、「お心遣いなく」とは言わず、これは明らかな誤用。「気」と「心」のうっかり一字違いに注意。

「中華料理」と「中国料理」
解説

「いつものラーメンと焼き餃子のセットね。ビールもお願いします!」

これは、中国人が知らない日本人特有の中華料理の食べ方。

日本には、〝2タイプの中国の料理〟が存在し、

本場中国の味をそのまま再現したのが「中国料理」。

本場の味を日本人好みにアレンジしたのが「中華料理」。

のように区分けできる。はっきりした定義はなく同義的に捉えることもあるが、街中には確かに二通りの看板がある。傾向として、「中国料理〇〇」のような看板を掲げる店では、フカヒレ、北京ダック、飲茶など、生粋の中国料理を提供し、価格はやや高め。「中華料理」を看板にしている店はどちらかといえば庶民派で、人気メニューは〝日本式〟のチャーハンや麻婆豆腐という店も多い。両方味わえるのが日本ならではの楽しみだ。

「関東地方」と「首都圏」
解説

「関東地方」とは、「8地域区分」と呼ばれる日本の一般的な地域区分の一つ。

では、ここに含まれる県名は?

関東地方とは東京都の他、神奈川、埼玉、千葉、群馬、栃木、茨城の「1都6県」。この地域は「首都圏」とも呼ばれるが、関東地方との違いが一つだけある。

1957年に制定された首都圏整備法施行令によると、首都圏とは「東京都と埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県及び山梨県の区域とする」と定義されている。つまり、山梨県を含まないのが関東地方、含むのが首都圏だ。

ところで、天気予報を見ると、「関東・甲信地方」のくくりで気象情報を発信しているが、こちらは関東地方に山梨県と長野県を加えた「1都8県」。1県ずつ増えたり減ったりするのでややこしいが、ここで頭を整理しておこう。

「関西」と「近畿」
解説

大阪、京都を中心としたエリアは「関西」や「近畿」と呼ばれているが、この二つは同じ地域を指すのか、それとも、何か違いがあるのか?

実は、それぞれに含まれる府県について法律上の定義はなく、諸説ある中で、今、いちばん一般的なくくりは、

「関西」は大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県の「2府4県」。

「近畿」は大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県、三重県の「2府5県」。

違いはたった1点、鍵を握る三重県を含むか含まないかだ。他に関西を2府8県としたり、福井県を加えて近畿とする場合もあるが、シンプルに覚えることが先。

呼び方で優勢なのは圧倒的に「関西」で、「関西人」「関西弁」などの言葉は親しまれていても「近畿人」や「近畿弁」とは言わない。ただし「近畿」の分類は主に公的機関や教科書などでは優勢で、学校では2府5県で習った人がほとんどだろう。

「御社」と「貴社」
解説

商談中に「おたくの会社は」のような表現を使えば、社会人失格。「相手の会社」を敬称でさっと言えることは、最低限のマナーだ。

とても簡単なことで、相手の会社を敬った表現はたったの二通り。

話し言葉なら「御社」。

書き言葉なら「貴社」。

これでOK。つまり、会って直接コミュニケーションをとるなら「御社」が、履歴書に記載したりメールの文書を作るなら「貴社」がふさわしい。

どちらを使っても誤りではないが、口語と文語で使い分けられるようになったのは、「貴社」は「記者」や「帰社」など同音の言葉が多く、話すとき使うとまぎらわしいからだ。「きしゃを志望します」と面接で言ったら、「記者志望ね……」そんな勘違いが起こりうるわけで、その点「御社」ならさっと伝わりやすい。

「弊社」と「当社」
解説

「自分が勤めている会社」の呼び方は複数あるが、まずはシンプルに、

社外では、会話も文書も「弊社」。

社内では、会話も文書も「当社」。

この二通りを使い分けることが大切。「弊社」は自社をへりくだった表現なので、商談や取引先とのやり取りに適しているし、「当社」は自分の会社の丁寧な言い回しなので、会議でもレポートでも〝身内用〟なら問題なく使える。

他に「小社」は、「弊社」と同じ社外向きの呼び方だが、「小さな会社」という意味もあるし、「商社」と聞き間違いしやすいので、一般的ではない。

また、「当社」以外の社内向けの呼び方には「自社」と「わが社」もあり、「自社」は、社内で自社製品を示すときなどに使うのに対し、「わが社」が使えるのは社長や役員など役職のある目上の人に限られる。トップが社員に向けて「わが社の業績は」と語るのはよくても、若手社員が使えば赤恥をかくことになりかねない。

「寿司」と「鮨」と「鮓」
解説

「すし」と書くとき、どの漢字を使っているだろうか?

三つの表記は、「すしの歴史」と共に生まれ、古い順に「鮓→鮨→寿司」の流れがある。意味も少しずつ違い、

発酵させて作るすしの元祖「なれ(熟れ)ずし」などを指すのが「鮓」。

主に江戸前系の「握りずし」を指すのが「鮨」。

「寿を司る」の文字通り、おめでたい意味の当て字が「寿司」。

三つめの「寿司」は、江戸末期に縁起かつぎから生まれ、「散らしずし」、「五目ずし」、「いなりずし」などに広く使われ、オールマイティな表記として定着したという。そこで、表記に迷ったら「寿司」と書けばいい。

店の看板は「寿司」と「鮨」の両方あるが、「鮨」の表記があれば「握りがウリ」と思ってほぼ間違いない。

「ヴィンテージ」と「アンティーク」
解説

「これはヴィンテージもので」とか「家具はアンティークがいい」など、日常でもよく使う言葉だが、違いをひと言でいうと? どちらも骨董品や古着など「古くて価値あるもの」を指すが、明らかに違うのはその年数だ。

「アンティーク」とは製造から100年以上が経過したもの。

「ヴィンテージ」とは製造から100年未満のもの。

つまり、ヴィンテージも古いが、アンティークはもっと古いのだ。

アンティークの年数はアメリカの関税法で定義されているのに対し、ヴィンテージの方はそこまで明確な決まりはないが、20〜30年以上を経て名品になったもの。もともとワインの価値をあらわす言葉が転じ「年代もの」の意味で使われている。

 

 

 

 

PROFILE
話題の達人倶楽部

カジュアルな話題から高尚なジャンルまで、あらゆる分野の情報を網羅し、常に話題の中心を追いかける柔軟思考型プロ集団。彼らの提供する話題のクオリティの高さは、業界内外で注目のマトである。

日本人の9割がつまずく日本語 (青春文庫)

日本人の9割がつまずく日本語 (青春文庫)

  • 発売日: 2020/02/08
  • メディア: 文庫