「ゴキゲンな50代」を過ごせる人の5つの秘訣 

年配の男性にはフキゲンなイメージがあります。全員ではありません。ゴキゲンな50代もいれば、フキゲンな50代もいるのです。ただし、真ん中はいません。「どちらになるかは自分で決められる」という中谷彰宏さんに、ゴキゲンな50代を過ごす秘訣を聞きました。

秘訣1 過去に生きる人は、とまる。未来に生きる人は、動く

50代は、「過去に生きる人」と「未来に生きる人」とに分かれます。20代は過去がないので、前に進む未来しかありません。

50代は過去もそこそこあるので、過去に生きることもできるのです。そのため、「昔ね……」という昔話が多いのです。

過去の成功にこだわるのも、過去の失敗にこだわるのもNGです。30年ぐらい仕事をしていると成功もあります。その成功が忘れられなくなってしまうパターンに陥りやすいのです。

失敗の痛さが残りすぎて、「もう二度とそれはしたくない」と思うと、チャレンジできなくなります。

会議で出たアイデアを潰す意見は「それ、昔やってダメだったんだよね」です。ただ、同じ状況は2回起こりません。昔と今とでは、マーケットが変わっているからです。

同じ企画でも、マーケットが変わっていれば、当たるかどうかはわかりません。実際、商品は、どんなビッグデータの時代になっても、やってみないとわからないのです。

これが究極、マーケティングの本質です。アマゾンやグーグルが強いのは、実験するからです。これが未来に生きるということです。

過去に生きる人は調査をします。結局、調査は過去のデータです。営業さんが必ず1回「これは過去に売れたかどうか」と調べるから、アマゾン、グーグルに勝てないのです。

アマゾン、グーグルは、とにかく常に先にやってみます。実験した上で「ある」「なし」を判断します。これで今のデータをとれるわけです。

調査は、過去のデータを見ているだけです。過去のデータは、今とは状況が違います。これが個人の中で起こると、過去に生きる50代と未来に生きる50代に分かれます。

過去に生きる人は、死んではいません。ただ人間は、生きているだけでは不十分なのです。「生きている」とは、動いているということです。座りきり50代は、動いていません。チャレンジしないからです。

じっとしている人は、未来に生きることはできないのです。

秘訣2 仕事より、お金を優先すると、自己肯定感が下がる

50代から、①仕事が欲しい人②お金が欲しい人の2通りに分かれます。早く生涯年収を稼いでハッピーリタイアしたいというのは、アメリカ型の考えです。

日本人は、もともと勤勉なので、お金はいらないから仕事が欲しいと考えます。ここで、さらに、①本当にお金がいらない人②やっぱりお金が少し欲しい人という2通りに分かれるのです。

成功する50代は、「お金はいらない」と言う人です。この人のところに結果として仕事が集まります。

条件やお金を先行する人は、ギャラや給料が安かった時に少しふてくされ感が出ます。「毎日忙しいのに、お金が全然入ってこない」というふてくされ感が異臭として出てしまうのです。

20代は忙しい時代です。お金を使うヒマがないほど忙しいので、お金のことを考えません。その後、30代、40代は給料が少し上がります。そうすると、お金を見てしまうのです。

「仕事も忙しいけど、お金も入るんだな」と感じた時に、判断基準がお金に負けてしまうのです。

「給料がもっと欲しい」「給料が下がるのはイヤ」と、お金を優先していくと、今度は自己肯定感が下がります。安い仕事のほうが、自己肯定感が上がるのです。

ギャラが安いと、かわりに面白いものを探します。薄味のもので味を探しにいくのと同じです。それが最終的にハマってしまうのです。それは、味を探しにいくからです。

京都のお吸い物は、まるで白湯(さゆ)のような薄味です。本当にだしの味だけだからです。それでも、薄い味のほうがハマるのです。自分がおいしさを探しにいくからです。

一口食べておいしいものは、すぐに飽きられます。仕事も同じです。それほど手間がかからず儲かる仕事は、飽きてしまいます。面白さがないからです。

「これ、手間ばかりかかって、なんの儲けにもならない」「むしろお金を払ってでもやりたい」「やればやるほど赤字」というものが一番面白い仕事なのです。そういう人にはまた仕事が来ます。

よく「ワークライフバランス」と言います。ワークライフバランスを考える時、必ずしも仕事がないのがいいとは限りません。

職人は、手間をかけて楽しみます。手間を味わえるのです。「お金はいらないから、次の仕事をもらう」というやり方をします。

今は世の中全体もそうなっています。

50歳を過ぎると、手間がかかって儲からない仕事が増えます。増えるというより、それが見えてきてしまうのです。

「これ、手間がかかって儲からないぞ」という仕事はしないという選択肢もあります。そうすると、どんどんめんどうくさい仕事から遠ざかって、仕事の面白味がなくなってくるのです。

秘訣3 グチのかわりに、感謝をしよう

言えるのは、「グチ」か「感謝」です。口は同時に違うことが言えません。

グチを言っている間は感謝を言えなくて、感謝を言っている間はグチを言えません。ハーフ・アンド・ハーフがないのです。

50代からは、①グチを言う50代②感謝を言う50代の2通りに分かれます。

この時、「どうしたらグチをガマンできるか」と考える人がいます。グチはどうしても出てしまうので、ガマンはできません。ガマンしなくても、感謝していればいいのです。

感謝の言葉を口にしていると、感謝の気持ちが湧いてきます。グチを言うと、グチの気持ちが湧いてきます。言葉が先にあるのです。

グチを言うと、そのグチを自分で聞いてしまいます。それによって、「自分はグチを言わなければならないような、かわいそうな状況にあるんだ」と、被害者意識が湧いてきます。

その人は「被害者としての50代」になってしまいます。その人のまわりには「被害者の会の人たち」が集まります。

人間は、みんなでグチを言い合うグループと、感謝する人たちのグループに分かれます。講演では、きっちりすみ分けができて面白いです。

パーティーでも、一方のコーナーではみんなで感謝を言い合い、もう一方のコーナーではグチを言い合うグループにきっちり分かれます。

感謝を言う人が間違ってグチを言う人が集まっているところに行くと、やがてそこから離れます。グチを言う人が感謝のテーブルに行くと、そこは面白くないからと離れていってしまうのです。

講演の時は席の移動が起こります。移動する人を見ていると、「やっぱりそっちに行きましたか」と納得します。

講演では、できるだけ感謝のグループのほうへ向かって話していると、グチのグループのほうから「こっちのほうをもっと見てほしい」というクレームが出るのです。

秘訣4 自分と他人と社会を許そう

社会人を30年もしている50代は、あちこちを削られ、それなりに完成形ができ上がります。20代のころは、もっと凸凹(でこぼこ)していました。

完成形ができ上がってしまうことの不具合は、不完全が許せなくなることです。そのために、50代は「普通、こうだろう」「常識だろう」と、怒りっぽくなるのです。

その「普通」は、これまで集めた個人の経験によるもので、全員の普通ではありません。万人共通の普通などないのです。その人の人生においての普通と違うことが納得できないだけです。

私もゲラ(校正紙)を直す時に、「ここはちょっと難しいからわからないと思います。補足説明を」と書いてあると、「これは常識だろう」と書いて、「書きすぎた。ゴメン」と思いながらホワイト(修正液)で消すことがあります。

個々人で、普通の度合いが違うからです。完璧主義は、最終的には自分攻撃になります。自分の不完全が許せなくなるのです。

社会に完全なものはありません。50代からは、①寛大になる人②怒りっぽくなる人

の2通りに分かれるのです。

寛大になる人は、「世の中に完璧はないんだな」とわかるからです。「自分も完璧ではないし、相手も完璧ではないし、社会も完璧ではない」と思えると、「そんな中でも頑張っているよね」と、怒らなくなります。

「いや、完璧はあるはずだ」と思い込んでいる人は、不完全なものに対して納得がいかなくなるのです。不完全を許せる人は、魅力ある50代になります。これが余裕です。

「余裕」とは、「あの人、いいよね」と、不完全を許す姿勢なのです。

秘訣5 目上にも、目下にも、リスペクトを持とう

50代は、①「リスペクトを求める人」②「求めない人」とに分かれます。リスペクトは、誰でも欲しいことは欲しいのです。

リスペクトは他者承認欲求なので、求めると得られなくなります。「この人はリスペクトを求めている」ということが、バレてしまいます。

おべんちゃらを言われるのは、「あの人は、こういうふうにおだてておけば大丈夫」と思われているからです。そういう扱いを受けていることに、本人は気づいていません。

本当にリスペクトされる50代は、人に対してリスペクトできる50代です。自分へのリスペクトは求めていないのです。

50代も20代と同様、上司がいます。上司と部下を同時にリスペクトできる人が、リスペクトされる人になります。自分へのリスペクトを求める人は、上司も部下もリスペクトしていないのです。

リスペクトは、言葉で「リスペクトしています」と言うことだけではありません。大切なのは、その人の思考自体が、目上にも目下にもリスペクト感を持てていることです。

同じ習いごとをしている人に対して、「キャリア何年? まだ始めたばかりだね」と言う時点でリスペクトを感じません。

「そんな短期間で、もうここまで行ったのか。ヤバいぞ。うかうかしていると抜かれるな」と思うことがリスペクトなのです。

 

PROFILE
中谷彰宏
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、(株)中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのベストセラー、ロングセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。
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