「あれだよあれ!」を言い始めたら摂りたい5つの栄養素

カレーのウコン、卵黄のコリン、胸肉の特殊なアミノ酸など、近年、脳力をアップさせ、物忘れをなくす栄養の正体が次々と明らかになってきました。歳だからと諦める前に、脳にいい栄養を意識して食事に取り入れてみてはいかが?

物忘れが気になり始めたら「カレー」を食べよう!

近頃、物忘れが多くなったような気がして……ひそかにこう悩んでいる人は、カレーライスを食べる頻度を高めるようにしよう。

最近、アルツハイマー型認知症の予防にはカレーが有効なのではないかと注目されている。有効成分はカレーに欠かせない香辛料、ウコン(ターメリック)に含まれているクルクミンという物質。抗酸化作用を持つポリフェノールの一種で、脳の機能低下を防ぐ働きがあることが明らかになってきた。

じつは、カレーの本場であるインドでは、アルツハイマー型認知症の発症率がアメリカの4分の1程度しかない。世界の研究者たちがその要因を明らかにしようと研究を進め、わかってきたのがクルクミンの持つすごい力だ。

クルクミンは脳に入ると、脳のゴミである有害物質、アミロイドβに強く働きかけて分解する。アミロイドβとは神経細胞の老廃物で、増えると毒性を持って脳の神経細胞を殺す厄介な物質だ。カレーをよく食べてクルクミンを日常的に摂取すると、このアミロイドβの悪さを抑えて脳の機能低下を防げるというわけだ。

クルクミンのサプリメントを使った研究では、服用した人の28%に記憶力の向上が見られたという。

それならカレーなどの食事で摂取するよりも、サプリメントを利用するのが手っ取り早いと思う人がいるかもしれない。しかし、サプリメントの服用はあまりおすすめできない。

健康食品や民間療法で発生する薬物性障害は、ウコンが引き起こすことが群を抜いて多い。原因は、ウコンに多く含まれている鉄分。脂肪肝などの肝臓のトラブルを抱えている場合、鉄分を大量に摂取することで肝臓の機能が悪化しやすくなってしまうのだ。

クルクミンは摂取過多になりがちなサプリメントではなく、カレーを通じて摂取するのがいいだろう。大豆といっしょに食べると、クルクミンはより吸収されやすくなる。インドの定番カレーである大豆を使ったダルカレー(豆カレー)にしたり、納豆を添えたりして食べると、より効率的に摂取できるのでおすすめだ。

卵かけご飯で頭がよくなる可能性あり!

もう一つ、記憶力が向上する、頭が良くなる効果があると最近話題になっているのが「コリン」だ。ビタミンの仲間ではないが、体内でビタミン類のように体の働きをサポートしてくれる有効成分だ。卵や大豆といった毎日でも食べられる身近な食品に含まれており、手軽に摂取することができる。

体に入ったコリンは、「アセチルコリン」という物質に変化。アセチルコリンは脳の働きに関係する重要な神経伝達物質で、アルツハイマー型認知症の人の脳のなかではこれが減少傾向にあることがわかっている。

コリンが脳の機能に関係していることは明らかで、摂取すると学習能力が25%もアップしたという研究もある。またある動物実験では、アセチルコリンの合成を邪魔する物質を与えると、作業しながらごく短時間の記憶を残しておくワーキングメモリの機能が衰え、記憶力が低下したという。コリンは脳力を向上させるのに欠かせない成分なのだ。

コリンには頭を良くするだけではなく、血管を拡張することにより、血圧を下げたり、血流を良くしたりする作用もある。脳と体の健康のために、毎日、たっぷり摂取するようにしよう。

群を抜いてコリンが多く含まれているのは卵黄。加熱によって作用が弱まるという性質があるので、生のまま卵かけご飯で食べるのが最適だ。ほかには納豆や豆腐などの大豆製品でも、コリンを手軽に摂取することができる。

コリンが多く含まれている食品

脳の疲労回復には「胸肉」! 脳萎縮も抑える

高たんぱくかつ低脂肪な肉ということで、鶏の胸肉やささみの人気が高まっている。栄養上、肉のなかでもこれらの部位は特におすすめだ。ヘルシーなのに加えて、脳の機能を改善し、物忘れをなくす効果も十分期待できる。

胸肉やささみは、鶏が羽ばたくときに使われる太い筋肉。大きなエネルギーを消費し続けても疲れないように、これらの部位には強力な抗酸化作用を持つ「イミダゾールペプチド」という特殊なアミノ酸が豊富に含まれている。

注目したいのは、体の疲労回復に効くだけでなく、脳の疲れを抑えるのにもひと役買っていることだ。

イミダゾールペプチドは、体内でいったん抗酸化作用を持たない2種類のアミノ酸に分解されてしまう。しかし、その後、これらが骨格筋や脳まで移動すると、イミダゾールペプチドに再合成されるのだ。疲労を回復させるという特殊な性質が、脳内でダイレクトに作用することになる。

イミダゾールペプチドがすごいのは、脳の疲労回復に効くことだけではない。長期的に摂取し続けると、前頭前野の萎縮が進むのを抑えてくれることもわかっている。前頭前野はワーキングメモリが働く重要な場所。その機能がアップすれば、物忘れ防止にもつながるはずだ。

マグロやカツオといった、長時間泳ぎ続ける回遊魚の赤身にもイミダゾールペプチドは豊富に含まれている。これらも積極的に食べるようにしよう。

食品に含まれるイミダゾールペプチドの量

脳のゴミは「チョコ」で除去

脳のゴミであるアミロイドβの発生を抑えるには、強い抗酸化作用のある成分の力を借りることが得策だ。そうした有効成分のなかでも、多くの食品に含まれているのがポリフェノール。緑黄色野菜などで摂取できるが、もっと簡単に、ちょっとしたおやつで摂り入れることもできる。

手軽なポリフェノールの摂取方法としておすすめなのがチョコレートだ。ただし、ミルクたっぷりの甘いチョコレートではない。ほろ苦い大人の味の高カカオチョコレートを食べるようにしよう。

ポリフェノールを効率的に摂取するのに高カカオチョコレートは絶好の食品で、同じ重さで比較すると、赤ワインの4倍以上も多く含まれている。ただし脂質も多く、カフェインの摂取過多にもなりやすいので食べ過ぎには注意しよう。

サケやエビが脳の神経細胞を守る

アルツハイマー型認知症を引き起こすのは、脳の神経細胞の老廃物であるアミロイドβ。この厄介な「脳のゴミ」が溜まると、やがて過剰な酸化作用によって脳細胞を死滅させてしまう。そこで抗酸化作用を持つ有効成分をたくさん摂取すれば、物忘れなどの記憶に関するトラブルをなくし、認知症の予防にもつなげることができる。

抗酸化作用を持つ物質といえば、β‐カロテンやポリフェノールなどをまず思い浮かべるのではないか。これらはブロッコリーやホウレン草といった緑黄色野菜に多く含まれている。しかし、抗酸化作用のある物質を摂取できるのは野菜だけではなく、魚介類にも脳の機能を活性化させるものがある。

強い抗酸化作用を期待できる魚介類は、サケとエビの仲間。これらの身や殻を赤くしている「アスタキサンチン」が、酸化を抑える強烈なパワーを持っている。アスタキサンチンはもともと、ヘマトコッカスという植物プランクトンに含まれている天然色素。ヘマトコッカスは動物プランクトンのエサとなり、サケやエビはそれを食べることによって、身や殻の中に色素を蓄えていく。

アスタキサンチンの抗酸化力は強力で、最近はアンチエイジングの有効成分として化粧品などにも使われている。特に得意とするのは、紫外線によって発生した活性酸素の退治だが、脳の神経細胞を守る働きも十分期待していいだろう。

また、筑波大学の研究により、軽めの運動とアスタキサンチンの摂取を併用すると、記憶をつかさどる「海馬」が刺激され、空間学習能力が向上することがわかった。サケやエビ料理に加えて、早足のウォーキングなどを習慣に取り入れると、一層高い効果を得られそうだ。

サケの仲間でアスタキサンチンが最も多いのは、身が鮮やかな濃い紅色のベニザケ。エビの場合は殻に含まれているので、小さなエビを殻ごと食べるか、エビフライの尻尾を残さないようにしよう。

 

PROFILE
ホームライフ取材班

「暮らしをもっと楽しく! もっと便利に!」をモットーに、日々取材を重ねているエキスパート集団。取材の対象は、料理、そうじ、片づけ、防犯など多岐にわたる。その取材力、情報網の広さには定評があり、インターネットではわからない、独自に集めたテクニックや話題を発信し続けている。