「誰と会わないか」で人間関係をデザインするグーグル流人脈術

「自分の成長は“誰といっしょにいるか”が大きく左右するだけに、人間関係は意識的に狭くすることも大切だ」――。元グーグルのピョートル・フェリクス・グジバチ氏は、人脈と仕事の成果についてこのように提言しています。仕事も人生も大きく変わるグーグル流の「人脈構築法」とは。

人間関係は「意識して」つくる

日本ではまだ人脈は多ければ多い方がいいというような考えが根強いですが、本当に成果を大きくするには、人間関係を意識的に構築していくことが必要になります。

作業の効率化には熱心だけど、人間関係には意識が向かないという人を多く見てきました。そこで、僕の人間関係についての考え方についてお伝えしたいと思います。

まず伝えたいのは、誰と一緒にいるかで仕事も人生も大きく変わるということです。

だから僕は友人関係も意識的につくるようにしています。もっというと、「こういう人間関係をつくる」「こういう人間関係は遠慮する」と決めているのです。

ありがたいことに、日々新しい出会いに恵まれています。これまでつながりのなかった方々からもSNSなどを通じて毎日たくさんのメッセージを頂いています。僕の本を読んで「ここが勉強になりました」と感想を送ってくださる人もいれば、「今度ぜひ一緒にビジネスを」というお誘いもあります。

頂いたメッセージには、時間のある限り応えようと思っています。既存の人間関係のなかに閉じていたいとはまったく思いません。自分の枠から意識的にはみ出すことで、どんどん人脈を広げ新しい出会いを得たいのです。

実際、SNSのコミュニティに参加することもありますし、そこで得た人脈から新しい知識を得ることもこれまで何度もありました。自分の成長や学びにとって、人との出会いはなくてはならないものです。

しかし、残念なことに1日は24時間しかありません。人と会うことに割ける時間は限られています。

特に、これまで面識のなかった方から「ピョートルさんに会ってみたい、お話ししてみたい」と言われると、とてもうれしい反面、どうしても躊躇してしまいます。お互いにどんな価値のあるやりとりができるのか、初対面ではわからないからです。

そんなわけで現在は、私の話を聞きたいという方には、「まず講演会に来て頂けるとありがたいです」と返事をするようにしています。

1対1でお会いする時間はとれなくとも、講演会なら1対100の対話ができます。そこなら、どんな方でも来て頂きたいと思っています。

逆にいうと、1対1でお会いするのは、自分と同じ問題意識をもった起業家や、そうでなくても刺激を与えてくれる人、話していて面白い人に限っています。

誰に会うのか、あるいは誰に会わないか。それは全部、自分の決断です。そう考えると、人間関係に振り回されたり悩みを抱えたりすることは、ほとんどなくなります。

会う人をどう選ぶか

もう少し詳しく、僕が会う人、会わない人を整理してみましょう。たとえば、アナログで接する人たちは、大きな影響力のある人か、一緒に何かできる人に限ります。そうでないと1対1で会いません。優れた起業家や各業界のキーマンと話していると、深い対話ができ新しいアイデアが生まれます。

また、一般の方でも、鋭いインサイト(洞察力)を持っている人がいます。

1対「数人」ならば会いたい人もいます。一緒に食事をする人、ディスカッションをして学びを深められる人です。

同じように、1対数十人、1対数百人というかたちで会う人もいます。先ほど例に出した、初対面の人はこういう場所に来てもらうことにしています。例えば、講演会やセミナーなどに来てくれる人は、このぐらいのボリュームで存在しています。

もう1つ、別の軸で整理することもできます。僕の会社では、ビジネスパーソンを次の5つの層に分類しています。

①変革層(ニューエリート。社会に魔法をかけ、変革を起こす影響力を実際に持っている)

②実践層(「こうしたら変わるかな」「やっぱりこうしよう」という実験と工夫を繰り返し実践している)

③変えたい層(「変えなきゃ」「どうしたら変えられるかな?」と思いつつも実行力と勇気が足りない)

④気づいた層(「このままじゃダメだ」「でもグーグルみたいにはなれないし」などと、課題を自覚しつつも、半ばあきらめていて行動力も低い)

⑤ゆでガエル層(現状で満足していて、変化の必要性に気がついていない)

僕が直接会う時間をつくる相手も、この層を意識しています。なお、「①変革層」のさらに上に「アルケミスト層」(社会を変える層)もあります。

そして、どうしても会いたかった人と会えるチャンスが巡ってきたら、絶対に逃しません。全部の予定をドタキャンしてでも会いにいきます。かつては、1週間の夏季休暇をキャンセルしてまで、その人との食事会が行われる香港にかけつけたこともあります。

1対1でお会いする約束をとりつけるのは、「アルケミスト層」と「①変革層」の人です。それ以外の層にいる人たちには、まず、「イベントに来てください」「僕の本を読んでください」などと、お願いしています。

ビジネス上、なぜ自分が呼ばれるのかわからない打ち合わせや、アジェンダが定められていない会議も、遠慮しています。まずはチームのメンバーにお願いして、具体的に僕とどんな話をしたいのか、相手から聞き出してもらいます。そこで興味を惹かれなければ行きません。

興味を惹かれても、最初は別のメンバーに任せて、僕は必要に応じて出ていくというかたちをとります。

「情報交換も兼ねてお会いしましょう」という申し出もお断りしています。もしかすると仕事につながるかもしれないとわかっていても、そうでなかったらと思うと、「時間をムダにしたくない」という拒否感のほうが強いのです。

誰と付き合ったら自分が成長できますか?

多くの人には、「とてもドライな人付き合い」だと感じられることでしょう。僕も、その通りだと思います。はっきりいえば、これは人間関係にも優先順位をつけている、ということですから。

しかし僕は、自分の成長と共に人間関係も変化していくほうが自然なことだと思っています。

たくさんの友達がいますが、何年、何十年たっても同じ人と同じような会話をしたいとは思いません。僕は、今の自分のレベルにあったパートナーシップが組める人たちと建設的な話がしたいのです。

人生には段階があります。次の段階に進もうと思うなら、「今誰と付き合ったら自分が成長できるか」、答えは変わるはずです。

僕は10年前、サラリーマンでした。その頃の友人関係は会社の同僚や、同じ業界にいる仲間たちが中心でした。当時の仲間と今、顔を合わせれば懐かしい気持ちがします。でも今会って話をしたいとは思わないのです。

なかには、10年間同じ会社で同じ仕事をしている知人もいます。会えば「お元気ですか、どうされていますか」と会話はしますが、「じゃあ、今度飲みにいきましょう」とはなりません。

そういった人と飲むよりも、今の僕にはやりたいことがあるのです(もちろん、これは今の僕にとってということだし、ましてビジネスを離れたところでの人間的魅力うんぬんとは全く別の話です)。

「捨てる」もののなかには、人間関係も含まれています。誰と会い、誰と会わないのか。それを自分の意志で決めないと、いつまでも振り回されることになります。

僕の例でいえば、10年前によく一緒に飲んでいた人のうち、今も付き合いが続いているのは1~2名だけです。

「パーティを開くけど来る?」とか「週末に飲みにいこう」と誘われたとしても、出かけようとは今は思わないでしょう。「あの人とあの人を繋げたら面白いことが起こる」とワクワクしながら「かけ合わせ」をセッティングするほうが楽しくなっているからです。

そうやって人間関係を整理することで、今、面白いと思う人、お互いに刺激になる人と仲良くなる時間を捻出しています。

僕は複数の転職と起業を経験し、だんだんと仕事のレベルが上がったように思います。それにつれて、人間関係の優先順位も変えてきました。グーグルを辞めて独立してからは、一気に人脈が広がりました。毎日のように新しい人と会っています。

昔から変わらない人より、どんどん変化し成長している人と会うことで、自分も成長し続けたいのです。

 

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PROFILE
ピョートル・フェリクス・グジバチ
プロノイア・グループ株式会社代表取締役/モティファイ株式会社取締役チーフサイエンティスト。プロノイア・グループにて、企業がイノベーションを起こすため組織文化の変革コンサルティングを行い、その知見・メソッドをモティファイにてテクノロジー化。2社の経営を通じ、変革コンサルティングをAIに置き換える挑戦をする。 ポーランド生まれ。2000年に来日し、ベルリッツ、モルガン・スタンレーを経て、2011年、Googleに入社。アジア・パシフィック地域におけるピープル・ディベロップメント(人材開発)に携わったのち、2014年からはグローバル・ラーニング・ストラテジー(グローバル人材の育成戦略)の作成に携わり、人材育成と組織開発、リーダーシップ開発の分野で活躍。2015年に独立し現職。 著書に『リラックスイングリッシュ』(KADOKAWA)『日本人の知らない会議の鉄則』(ダイヤモンド社)、『世界最高のチーム』(朝日新聞出版)等がある。