生サンマにこだわるのはもったいない! 見直したい「冷凍サンマ」
秋を代表する庶民的な料理が、サンマの塩焼き。北海道沖で獲れる旬のサンマは、焼くうちに油がポタポタ落ちて、ジュワッ、ジュワッと音がする。一方、晩秋に南下してきたものは、すっかり油が落ちているが、それでもやっぱり生のサンマがいちばんうまい……こう思っている人は、冷凍サンマの栄養価がわかっていない。
食品売場には鮮魚のサンマのほか、解凍された冷凍サンマもよく並ぶ。冷凍サンマは値段も安く、明らかに〝格落ち〟の扱いだが、バカにしてはいけない。旬の時期、大量に獲れたものを冷凍し、需要に合わせて解凍して販売することが多いからだ。
もとは旬のサンマなので、油の落ちた時期のサンマよりも、DHAやEPAはずっと多く含まれている。近年は冷凍技術が発達しているため、味の劣化は感じないはずだ。安くておいしく、栄養もある冷凍サンマのことを見直してあげよう。
便秘に「サツマイモ」の理由は食物繊維だけではない!
近年、健康効果の高さで注目されている物質がレジスタントスターチ。消化されない(レジスタント)でんぷん(スターチ)のことで、糖質でありながら、体のなかでまったく違う働きをすることがわかってきた。
レジスタントスターチは普通のでんぷんとは違って、小腸では消化されない。大腸までそのまま届いて、野菜などに多い不溶性食物繊維と同じく、食べ物の残りかすを巻き込み、便の量を多くして便秘解消につなげることができる。
加えて、こんにゃくや海藻などに多く含まれる水溶性食物繊維と同じように、腸のなかでビフィズス菌をはじめとする善玉菌の格好のエサにもなる。この結果、悪玉菌が減って腸内環境が整えられ、便秘解消や肌をスベスベにするといったうれしい効果が期待できるのだ。
レジスタントスターチの多い身近な食材がサツマイモ。調理方法によって量はかなり変わり、焼いたりゆでたりするよりも、蒸したほうが多くなる。電子レンジを使えばもっと簡単に調理できるが、やめたほうがいい。短時間に急激な温度変化をすることにより、レジスタントスターチの量は大きく減ってしまう。
栄養効果を最優先するなら、調理したあと、冷蔵庫に入れておくのがベスト。加熱後、十分冷やすことによって、でんぷんの性質が変化して固くなり、レジスタントスターチはさらに増える。味わいは落ちてしまうだろうが、頑固な便秘のときに試してもいいかもしれない。
サツマイモを切ると、皮に近い部分から、ミルクのような白い液がにじみ出てくる。放っておくと黒く変色するが、体の害になるようなものではない。それどころか、便秘気味の人には効果抜群の物質なので、洗い流さないようにしよう。
この白い液はサツマイモ特有の成分で、ヤラピンという樹脂の一種。消化器系に作用する物質で、胃の粘膜を保護し、腸のぜん動運動を促し、便をやわらかくする働きもある。緩やかな下剤のようなもの、といってもいいかもしれない。
このヤラピンと豊富な食物繊維との相乗効果により、サツマイモを食べるとお通じが良くなるというわけだ。昔からサツマイモは便秘に効くといわれてきたが、科学的根拠のある話だったのだ。ヤラピンは加熱に強い物質なので、焼きイモや蒸しイモにしても効果を期待できる。
「栗」でアンチエイジングするならおススメは…
秋の味覚、栗は味が良いのはもちろん、栄養価も高い果実。焼き栗やゆで栗、甘露煮などは甘くてとてもおいしいが、栄養面から考えると残念なことがある。生の栗に豊富に含まれているアンチエイジングに効く成分を、こうした食べ方ではまったく摂取することができないのだ。
焼き栗などにはない重要な成分とは、ポリフェノールの一種であるタンニンやプロアントシアニジン。強い抗酸化作用があり、老化防止やがん予防などに効果があることが知られている。しかし、こうしたポリフェノール類は渋皮に含まれているので、きれいにはいでしまうと健康効果はゼロなのだ。
うれしいアンチエイジング効果を得るには、渋皮ごと食べる渋皮煮がいちばん。少々、時間と手間がかかるが、ぜひ手作りしてみよう。
カツオの健康効果を得るなら「タタキ」が一番!
カツオはさまざまな料理に使える魚。刺身はもちろん、たたき、角煮、なまり節などのほか、カルパッチョといった洋風のひと皿に仕立ててもうまい。
とはいえ、カツオに含まれている油の有効成分、DHAとEPAをまるごと摂取したいのなら、皮をはいで調理する刺身や、加熱して作る角煮ではない。メニューはこれ一択、たたきに限る。
DHAやEPAが大量に含まれているのは皮の真下。これらの重要な栄養が、皮をはぐと少し失われ、加熱すると煮汁に溶け出してしまう。皮ごと強火で炙って作るたたきなら、そういった油ごと味わえるのだ。家庭でもガスコンロがあれば、金串に刺して強火で炙って作ることができる。炙ったあとは、決して冷水に浸けないようにしよう。せっかくの油が水に溶けて失われてしまう。
「暮らしをもっと楽しく! もっと便利に!」をモットーに、日々取材を重ねているエキスパート集団。取材の対象は、料理、そうじ、片づけ、防犯など多岐にわたる。その取材力、情報網の広さには定評があり、インターネットではわからない、独自に集めたテクニックや話題を発信し続けている。

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