認知症リスクが半減! ボケない脳をつくる「ウォーキング」の方法

生活習慣の中で、「運動」ほど脳にいい影響を及ぼすものはありません。きつい筋トレや激しい運動でなくても大丈夫。体へのちょっとした刺激を生活に組み込んで、衰えない脳をつくりましょう!

認知症の発症リスクを半減! 有酸素運動のすごい効果

最近、人の名前をなかなか思い出せない。物忘れが多くなって困る……。こういったあなたに、最もおすすめしたいのは運動だ。

数ある生活習慣のなかで、じつは運動ほど脳に良い影響を与えるものはない。それも、きつい筋トレや激しいスポーツではなく、誰でも簡単にできる軽めの有酸素運動がいちばんだ。

脳力アップに有酸素運動が有効なことは、国内外の様々な研究によって証明されてきた。フィンランドの高齢者1500名を対象にした大規模な調査では、有酸素運動を週2回以上行っている人は、まったく運動しない人と比べて、認知症の発症リスクが半分程度しかなかった。

軽めの有酸素運動を習慣にすると、記憶力がアップすることもわかっている。愛知県で軽度の認知障害がある人を対象に行った調査を紹介しよう。週1回軽い有酸素運動を行うグループと、まったく行わないグループに分けて、10か月後に認知機能テストを実施。その結果、運動習慣のあったグループでは、記憶力を中心とする認知機能が向上し、脳の萎縮も止まっていた。

有酸素運動とは、心拍数がある程度上がる運動を持続的に行うものだ。こうした運動をすると、酸素がたっぷり含まれた血液が脳に絶えず送り込まれる。例えば、30分のウォーキングをすれば、その間ずっと脳の血流は増えたまま。こうした状態が脳に好影響を与えないわけがない。

さらに、有酸素運動を行うとアルツハイマー型認知症の原因となる脳のゴミ、アミロイドβを壊す酵素が発生することも明らかになっている。さらに、脳の神経細胞を活性化させる神経栄養因子という一種の栄養素も体内で作られ、記憶をつかさどる海馬の代謝が良くなって機能がアップする。

「毎日忙しいから」「面倒くさいから」「運動が苦手」などの理由で体を動かしていない人は、近い将来、物忘れで困る程度では済まなくなるかもしれない。

歩くのが遅い人は認知症の発症率が1.5倍! 早歩きのススメ

近所をのんびり散歩するだけでも、脳は様々な刺激を受けて活性化する。とはいっても、ゆっくり歩くだけではさほどの負荷はかからず、心拍数は上がらない、せっかく時間を取って歩くのなら、血流を良くする有酸素運動としてのウォーキングを心がけるようにしよう。

いちばんのポイントは、やや速めに歩くことだ。心拍数がある程度上昇し、汗が少し出るくらいのスピードをキープ。こうした早歩きを30分以上行うと、体にも脳にも良い影響を与えることができる。

早歩きといっても、脚の回転を速くするのではない。歩幅を広くすることを意識しよう。一歩一歩を大きくして歩くと、太ももの前面と裏面の筋肉が一層使われて、運動強度がアップ。足の回転を速くするよりも心拍数が上がるので、より優れた有酸素運動になる。

歩幅を広くして早足で歩くと、平常時と比べて、脳の血流量はおよそ10倍にも上昇。酸素がたっぷり送られることによって脳の機能が活性化し、物忘れをしなくなる効果が十分期待できる。

目標とする心拍数の目安は、「(最大心拍数〈220‐年齢〉‐安静時心拍数)×(0.5〜0.7)+安静時心拍数」という計算式で割り出してみよう。例えば、50歳で安静時心拍数が70の場合、この計算式に当てはめると、心拍数が120〜140になるような強度で歩くといいということになる。歩くだけでここまで心拍数を上げるには、けっこうな早足になるはず。その分、体に負荷がかかって、良い運動になる。

アメリカで2400人を対象に歩行速度と認知機能などの関係を調べた結果、歩くのが遅い人は速い人と比べて、認知症の発症率が1.5倍も高かった。また、東京都の追跡調査によると、歩行速度が遅い人ほど、循環器疾患などの重い病気になりやすく、長生きする人が少なかった。脳の機能をキープする意味でも健康維持の面からも、早歩きの習慣は非常に重要なのだ。

脳に効くウォーキングのポイント

「ナンバ歩き」を加えると脳はさらに活性化する

「ナンバ歩き」という歩き方を知っているだろうか。普通は右足を出すときは左手を前に出し、右手を後ろに振る。ナンバ歩きはその逆で、右足と右手が同時に前に出て、その次は左足と左手がそろって前に出る。

運動会の行進などのとき、緊張した子どもがこの動きをすることがたまにあるようだ。通常とは違って、まるでロボットのような動きなので、かわいそうだが、妙に目立ってしまうことになる。

じつは日本人の多くは、江戸時代まではこのナンバ歩きをすることが多かったともいう。現在の歩き方をするようになったのは、明治時代に西洋式の軍隊の歩き方を採用してからだという説もある。

試してみればわかるが、ナンバ歩きは体に無理がない。というのも、片側の足と手を同時に出すので、前進するときに体がねじれず、軸がしっかりする。意外にも理にかなった動き方なのだ。江戸時代の飛脚が長距離を走れたのは、このナンバ歩きの動き方をしていたからだという見方もある。

特に階段の上り下りなどで試してみると、スムーズに体が動いて楽に移動できる。ひざや腰、股関節などに負担をかけずに歩けるということから、介護施設などで採用するところも増えてきた。世界陸上200m走で銅メダルを獲得した末續慎吾選手が、体の動かし方の参考にしていたことも知られている。

このナンバ歩きをウォーキングに取り入れてみてはどうだろう。人通りの多い道で行うと、周りの注目を集めてしまうだろうから、人のいない公園や河川敷の小道などで実行するのが良さそうだ。

慣れない歩き方なので、最初はぎこちない動きしかできないだろう。しかし、やっているうちにうまく歩けるようになる。イラストを参考に、まずは部屋のなかで数歩試してみるといい。こうして普段はやらないことにトライすると、脳にとって大きな刺激になり、一層の活性化が期待できる。

「ナンバ歩き」での歩き方

「簡単な算数」や「しりとり」を加えればさらに効果大

ウォーキングなどの有酸素運動をするとき、脳に対する効果を一層高める方法がある。何かほかのことをやりながら運動を続けること、いわば「ながらウォーキング」だ。

「ながらウォーキング」の入門編としてトライしやすいのが、歩きながら頭の中で簡単な算数をすることだ。例えば、100から7を引いていくといい。「100、93、86、79、72、65……」と順に計算しながら歩くと、物忘れのカギを握るワーキングメモリが働き続ける。この100から7を引くというのは、認知症診断でもよく使われる古典的な脳の活性化術だ。

こうした簡単な算数は何でもいい。100から9を引き、次には7を引き、また9を引くという、やや複雑な引き算も効果的だ。前から走ってくる車のナンバープレートを覚えて、その下一桁の数字をすれ違うごとに足していくのも面白い。

ウォーキングのたびに100から7を引いていると、数字の並びを覚えて、脳に刺激を与えられなくなる。毎回、違う問題をテーマにするのがいいだろう。

簡単な算数と並んで、頭の中で考えるのにぴったりの課題が、「しりとり」をしながら歩くことだ。

ただのしりとりでは簡単すぎるので、テーマを決めて行うのがいいだろう。例えば、動物をテーマとし、「ゾウ」→「ウマ」→「マントヒヒ」→「ヒョウ」→「ウシ」のように進めていく。食べものや料理しばりなら、「漬け物」→「のり巻き」→「きんぴら」→「ラー油」→「湯豆腐」といった具合だ。ほかにも、単語を数多く知っているテーマで、長く続けられるものを考えよう。

算数をしながら歩くときと同じく、しりとりの場合も、毎回、異なるテーマで行うと、脳がより激しく回転して活性化する。

 

PROFILE
ホームライフ取材班

「暮らしをもっと楽しく! もっと便利に!」をモットーに、日々取材を重ねているエキスパート集団。取材の対象は、料理、そうじ、片づけ、防犯など多岐にわたる。その取材力、情報網の広さには定評があり、インターネットではわからない、独自に集めたテクニックや話題を発信し続けている。