「学校に行きたくない」と言い出した時、親ができるたった1つのこと

コロナ休校により、変則的な学校生活を送ることになってしまった子どもたち。そうした日常から受けたストレスは「不登校」という形で表れているかもしれません。もし、子どもが「学校へ行きたくない」と言い出した時、親はどう対処すればいいのでしょうか? 不登校解決カウンセラーの菜花俊さんに聞きました。

不登校になったのは誰のせい?

「他の子どもはちゃんと学校へ行けるのに、どうしてうちの子だけ……」

「甘やかして育ててしまったのかしら……」

「厳しく接しすぎたのがいけなかったのか……」

お子さんが不登校になった親御さんの多くがこうした悩みにぶつかります。

そして、

「どこで育て方を間違えてしまったんだろう」「自分がダメな親だから……」

と、自分を責めてしまうのです。

不登校解決支援を始めておよそ10年。私はこれまで18000組以上の親子を支援してきました。

でも、「ダメな親」に出会ったことは一度もありません。いるのは、自分を「ダメな親」だと勘違いしている方だけです。

私がご縁を頂いたお母さん、お父さんは皆、お子さんや自分の人生に真剣に向き合っている素敵な人たちばかり。毎日の暮らしの中で、真剣に向き合えばこそ、悩むこともあるでしょう。愛情が深ければこそ、伝わらないときは余計につらいでしょう。

でも、何年か、何十年か後、成長したお子さんと笑顔でこれまでのつらかった日々を愛おしく思い出す日が必ず来ます。あなたとあなたのお子さんの不登校体験が想い出に変わる日は、必ず来るのだということを覚えておいてください。

いまは、とてもそんなふうには思えない方もいるかもしれません。でも、私が支援してきた方々もみな、そういう時期を過ごし、そして乗り越えてきました。

子どもを元気で幸せにする考え方

子どもの幸せを阻むものがあるとしたら、じつはそれはたった一つだけ。

あなたが幸せを放棄していること、それだけです。

あなたはお子さんを幸せにしたいと思っているはずです。

でも、とても大切なことを忘れているのではないでしょうか。

それは、〝他人を幸せにできるのは、いま幸せな人だけ〟ということ。

あなたがいま、幸せでなければ、お子さんを幸せにすることなどできません。

あなたは、いま幸せですか?

お子さんを幸せにしたいのなら、あなたがまず幸せになってください。それがお子さんを幸せにする一番確実な方法です。

ですから、どうかご自分を責めないでください。

実は、この〝自分を責める〟という行為こそ、事態を悪くしているものなのです。というのも、あなたが自分を責めると、お子さんもつらくなります。苦しむ親を見るのはつらいのです。お子さんは誰よりもあなたを愛しているのですから。

悪いのはあなたではなく、「誰かのせい」、「自分のせい」というその考え方。「考え方」がほんの少し間違っていただけなのです。

いまから考え方を変えてしまいましょう。

「誰もが正しい」と。誰もが精一杯、良かれと思ってやっているのです。

あなたも、いまこの瞬間から考え方を変えてみてください。

あなたが自分を責めれば、お子さんも自分を責め、元気をなくします。

あなたが自分を責めるのを止めれば、お子さんは元気になります。

あなたが自分の幸せを求め、笑顔になればお子さんは元気になるのです。

あなたはいままで自分を責めながら、それでも一生懸命お子さんを癒やすためにがんばってきたのだと思います。今度はあなたが癒やされる番です。あなたが心と身体を癒やし笑顔になって、その元気をお子さんとご家族に分けてあげてください。

大切なのは親であるあなた自身がいつも幸せな気持ちでいること。

そして、その姿をお子さんに見せることです。

「うちの子、どうしよう?」

そう考える前に、

「どうすればわたし自身が幸せな気持ちでいられるか?」

こう考えるようにしてみてください。

親が苦しまない、それが解決の近道

自分を責めるのをやめて幸せでいられる方法に意識を向けられるようにすると、どんなことが起こるのでしょうか。

よく聞こえてくるのは、〝本当の原因が見えて、前向きに対処できた〟という声。私の元に届くさまざまな報告のなかから代表的なものをご紹介しましょう。

Eさんは、息子さんが中二から高校卒業まで、娘さんは中一から中二までの2年間、不登校を経験しました。

「毎日、私の不安を息子にぶつけてしまい、つらい思いをしている息子の傷口に塩をぬるようなことばかりしていました。あのころは必死でしたが報われず、毎日泣いてばかりいたような気がします。先が見えないトンネルのなかで家族みながもがいていました。不登校についての本を読むたびに責められているような気がして、苦しくなるばかりでしたが、〝あなたは悪くない〟という言葉を受け取って、初めて心がホッとしました。不思議ですが、そう言ってもらえたことで責められていたときには素直に認められなかったけれど、やっぱり私に原因があったのでは……と冷静に振り返ることができたんです」

その結果、落ち着いて自分と向き合うことで、Eさんは、

「いつも先回りしてやってしまう自分」

「子どもの意見を聞くのを待てず、自分の意見を言ってしまう自分」

に気づきます。

Eさんの気づきによって子どもたちへの対応が変わると、子どもたちに自主的に動こうという変化が見えはじめました。それからは、暗いトンネルの先に見えた出口の光へと進むように、物事がいい方向へと向かいはじめたそうです。

「子どもってすごい力をもっているのですね。親は勝手に不安になっているだけだと気づきました。子どもの持つ力を信じることが大切なのだとよくわかりました」

1年後、娘さんは公立高校へ転校し、初めのうちは体力的にきつくて週に一度自主的にお休みしていた学校も、いまは毎日元気に楽しく通っているそうです。息子さんは通信制の高校を無事卒業し、

「アルバイトをしながら自分と向き合う時間を持ちたい。いじめの後遺症にはカウンセリングを受けて向き合いたい」

と自分から今後の希望を伝えてきたそうです。まだ大学へ進むとは決めてはいないものの、塾にも通い、将来の可能性を模索しているとのこと。

そんな子どもたちを見守りながら、Eさん自身も自分が日々の生活を楽しむことに気持ちを向けていくようにしているそうです。

「親自身が幸せになって、人生を楽しんでいるところを見せることが大切だなんて思いもしませんでした。子どもが苦しんでいるのに……という罪悪感でいっぱいでしたが、その気持ちが子どもを苦しめていたんですね。そのことに気づけて本当によかった。ついつい言葉や行動が先に出てしまうので、これからも努力して親子ともに幸せになりたいです」

Eさんの言葉に、私も胸が熱くなりました。

「いま初めて不登校に向き合ったあのころの自分に会えるなら、こう伝えてあげたい。焦らないで、幸せになっていいんだよ、それが不登校解決の近道なんだよって」

いまからでも大丈夫。遅すぎることはありません。

お子さんは立ち直って、必ず元気になります。

 

PROFILE
菜花 俊

心理カウンセラー/不登校解決コンサルタント。特定非営利活動法人 親心支援協会理事長。 大学卒業後、建設会社の経営に携わるも倒産、1億円の借金を背負い自己破産。失意で1年間記憶喪失になるも、自身の不登校に母親が毎日泣いていた記憶を思い出し「不登校で悩んでいる親子を支えたい!」と一念発起。不登校で悩む全国の親子を精力的に支援している。 これまでに18000組以上の親子を支援し、多くが不登校から脱出している。即効性のあるノウハウと継続的なサポートが高く評価され入会希望者が後を絶たない。初の著書『不登校から脱け出すたった1つの方法』がロングセラーとなり、読者からの感謝、感動の声が続々と届いている。

 

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