“本当の人脈”を生かすために「必要以上のつながり」は捨ててしまう

海で仕事

仕事における“つながり”は大切なものですが、むやみに人脈を広げようとすると、自分の行動を制限したり重しになったりしかねません。仕事、モノ、お金など、さまざまなモノからの自由な生き方を実践している本田直之さんに、“人脈の捨て方”を教えてもらいます。

「周りを気にしない」人になるのは意外と簡単

人間関係にしばられず、身軽に生きるために大切なのは「周りを気にしない」ということです。

もちろん、これは周りの人を尊重しないということではありません。信頼し、尊敬し、敬意を払うのは当然のこととして、しかし、自分の意志、選択についてはブレない。自分が他人からどう見られているか。人の目を気にしていると、身軽な生き方を実践するのが難しくなってしまいます。

身近な例で言えば、会社を定時で退社し、夕方以降の時間を未来の自分のために投資する。あなたが、そんなふうにサービス残業的な残業や付き合い酒をやめる生き方をするには、ある程度の覚悟が必要です。

しかし、一度「あいつは早く帰るヤツ」というイメージを持たれれば、あなたが思うほど円満な定時退社はハードルの高いものではありません。自分の仕事をきちんと済ませ、一定の成果を出していれば、周囲もすぐに慣れていきます。

こうした行動を起こすことによって、自分にとって大切なつながり、時間などを守る「区切り」を作ることができます。そして、区切ったことによってできた何もない時間を有効に使っていくことも重要です。

例えば、独特のテーマを掲げている勉強会やセミナーに参加してみて、合う合わない以前の、自分の生活圏の中にはいないタイプの人と出会う時間に使ってみる。そこでの人との出会いが即、何かに役立たなくても、柔軟な思考を養うトレーニングになります。

あるいは、期間を区切って夜の自由な時間は必ず自分にとって大切な人のために使うと決めてしまうのもいいでしょう。

つながりを作ることが大切だからといって、どう考えても合わない人と定期的に連絡を取ったり、むりやり知っている人の数を増やそうとするといった行動は、まったくのムダです。

そこでできる人とのつながりが、あなたにとって良いものになるはずもありません。その分の時間や行動力は自分や大切な人のために使いましょう。

年賀状やお中元で“もっている”関係を人脈とは呼ばない

わたしは年賀状をもう10年以上書いていません。また、お中元などの贈り物もまったくしませんし、できる限り、いただかないようにもしています。また、冠婚葬祭についてもお葬式は別として、結婚式も親族親戚、よほど仲のいい仲間以外は出席するのを遠慮しています。

なぜかと言うと、儀礼的な付き合いは“お互いに”楽しくないからです。

仕事上の意思決定は「正しいか、正しくないか」で判断し、プライベートの問題は「楽しいか、楽しくないか」で決めればいいと思っています。やっていて楽しくない習慣、付き合っていても楽しくない相手、続けていても楽しくない趣味。プライベートのことなら、すべてやめてしまえばいいだけです。

逆に「年賀状を送らないと失礼になるのでは」「お中元、お歳暮は大人の常識」と言う人もいますが、それはそれでいいと思います。書きたければ、書いてもいい。お正月に近況を伝え合うのが楽しいのなら、年賀状の習慣を大切にしていくべきです。

大事なのは無理をしないこと。儀礼的な年賀状をもらったところで心から喜ぶ人はほとんどいません。使うかどうかわからない贈答用の詰め合わせを送るより、本当に感謝の気持ちを伝えたい相手には、日常の中で別の形の気遣いをした方が喜ばれるはずです。

もし、相手が「なんだ、お中元も送ってこない、失礼だ」と腹を立てるような人なら、長い目で見てその人と付き合い続ける必要はないのではないでしょうか。

年賀状が途切れ、お中元やお歳暮の行き来がなくなり、それで付き合いがなくなっていくようなら、元々、薄いつながりだったということです。

年賀状に「また飲みに行きましょう!」と書きながら、気づけば10年くらい経っている。そんな状態のまま、年末に「面倒だな」と思いつつ年賀状を書いているなら、一度、「楽しいか、楽しくないか」を基準に自分の習慣を見直してみることをお勧めします。

広く浅いつながりで人と接していると、なかなか本音で語り合える仲間はできません。人付き合いは、数ではなく、質や関係の深さで考えることが大切です。

異業種交流会という名の“名刺交換会”

もう一つ、はっきりと言えるのは、「異業種交流会で名刺を配っても、本当に必要な人との継続したつながりが築かれることはない」ということです。これはわたしが改めて語るまでもなく、多くの人がすでに気づいている経験則だと思います。

もちろん、異業種の人と出会うことは大切です。人と会うのは勉強であり、いろいろな人とのつながりへと発展する場に足を運ぶのは、未来への投資と言えます。忙しいから人と会う時間がないと考えるのはもったいないことで、積極的に出会いを広げ、意見交換をするべきです。

ただし、あなた以外の人が主催する異業種交流会というのは、一種のビジネスであり、単なる名刺交換の場に過ぎません。その場で知り合った相手との「僕はあの人を知っている」「あの人と名刺交換をしたことがある」「先日のパーティーであいさつをさせてもらった」といった関係は、つながりを作ったことを意味しません。

なぜなら、本当に必要な人とのつながりとは、お互いに情報を交換し、人を紹介し合い、刺激を受けながら、共に成長していけるような関係だからです。

名刺を交換し、あいさつを交わし、立ち話をした関係は、その場限りのもの。そこからつながりへと発展させられる人は必ず違う形での交流を行っています。

例えば、「この人は!」と感じた相手とは「今度」「そのうち」「近いうちに」ではなく、知り合ったその場で次に会う約束をし、スケジュールを入れてしまう。人との縁がタイミングによって大きく左右されることを知っていて、直感的に行動を起こします。

加えて、重要なのは「誰を知っているかではなく、誰に知られているか」です。目指すべきは、自分が頼るのではなく、むしろ相手から頼られるような関係です。

そのためには相手のために自分は何ができるかを常に考えておくこと。相手の名刺に書かれた肩書きを見て、いつか頼れるかもしれないと関係をキープするような考えは、まさに必要以上のつながりを持っている状態です。

メリットを求めてつながりを作ろうとすると、大切な人ほど遠のいていきます。しかし、異業種交流会にはどちらかと言えば、メリットを求めて、頼れる相手を探す人が集まります。これが無意味な“名刺交換会”になってしまう理由です。

 

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PROFILE
本田直之

レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役。シティバンクなどの外資系企業を経て、バックスグループの経営に参画し、常務取締役としてJASDAQ上場に導く。現在は、日米のベンチャー企業への投資育成事業を行う。ハワイ、東京に拠点を構え、年の5ヶ月をハワイ、3ヶ月を東京、2ヶ月を日本の地域、2ヶ月をヨーロッパを中心にオセアニア・アジア等の国々を旅しながら、仕事と遊びの垣根のないライフスタイルを送る。(社)日本ソムリエ協会認定ソムリエ。アカデミー・デュ・ヴァン講師。明治大学・上智大学非常勤講師。