「自分を責めてしまう人」は脳に“ほめ言葉”を聞かせ続ける!

「自分を宣る回路」をなくす

最近、いつほめましたか? また、いつほめられましたか? 思い当たらない人は、もしかしたら自分を責めやすいタイプかもしれません。でも不安に思わないで! 「脳の思考回路は変えられる」と、自己尊重プラクティス協会理事の手塚千砂子さんが教えてくれました。つい自分を責めがちな人ほど試してみてください!

日本の「ほめない社会」が自己肯定感を低くした!?

日本の社会は長い間「人をほめない社会」でした。外では心にもないお世辞は言っても、職場内や家庭内ではお互いにほめ合うことは少なかったと思います。

否定的な言葉で気合いを入れたり、ストイックに自分を責めたりすることをよしとし、それが成長の原動力になるという考えは、いまだに根強く残っているように思います。

私たちの社会には“謙遜”の文化があり、自分や身内をほめてはいけないという風潮がありました。謙遜は人のあり方として善いものです。だからといって自分や身内をほめてはいけない、ということにはなりません。

私たちはいつの時代からか、謙遜と自分を否定することを同義語のように使ってきました。そのため、日本人は自分を責めること、否定することを「いいこと」だと思い込んできました。当然、その反対の「自分や身内をほめること」は「いけないこと」になっていたのです。

自分の命を尊び、存在を肯定できるからこそ他の人の命をも尊重し、肯定することができ、敬うことができます。それが本来の謙遜の心なのです。

自分をほめることに戸惑いや違和感を持つ人は、「ほめ」に対する間違った概念から、ぜひ自由になっていただきたいと思います。

“自分をほめることはおかしい”という考えを強く持っていた私たちの社会ですが、2008年、厚生労働省管轄の自然科学研究機構・生理学研究所は「脳はほめられると喜ぶ」という研究結果を世界に向けて発表しました。大脳の報酬系が反応するというのです。そして、脳は「主語を選ばない」といわれています。

人からほめられると、私たちはうれしいですね。「ほめ言葉」を聞くと、脳は幸せホルモンといわれるオキシトシンやドーパミン、セロトニンなどを増やすそうです。これは心と体を安らげる作用があるので、増えると心地よい幸福感を得られます。

この脳の反応は、自分で自分をほめても同じです。また、自分が誰かをほめても、脳はその「ほめ言葉」に反応するのですから、ほめた自分も心地よくなります。主語が誰であってもいいのですね。

だとしたら、人からほめられるのを待つのではなく、自分で自分をほめる習慣をつけ、常に自分を心地よい状態にすることが、幸せに生きるコツだといえるでしょう。

脳が喜び、心と体が心地よくなると、命に潜在しているいろいろな「よい力や意識」が引き出されますし、また外からも「よいもの」を引き寄せることになります。

「脳の回路」は自分で変えられる!

もしあなたが長年にわたって自分を責め続け、嫌い続けていたとしても大丈夫です。後天的につくってしまった「自分を責める回路」は、新しく「ほめ回路」を脳につくることでだんだん細くなり、自分を責めるクセは出てこなくなります。

そこで必要なのは、ほめ言葉を意識的に使って「書く」こと。1日を振り返って、その日にあった「いいところ」「ほめてあげたいところ」を探して、自分をほめる。このような「ほめ日記」を続けていくと、自然に脳の思考回路が変わってきて、あなたの脳に「自分をほめる思考の回路」ができるのです。私はこれを「ほめ回路」と呼んでいます。

医学博士で脳科学者の高田明和さんも、著書に「私たちがどう思うかで脳はどんどん配線を変えて、私たちがいつも思っているような脳に変わっていく」と書いています。

脳は自分のプラス面に目を向けて「ほめる回路=ほめ回路」をつくってくれます。そうなると、今まで自分をほめたことがなかった人も、親からほめられたことがなかった人も、違和感なくスラスラ書けるようになってきます。

肩に力を入れてがんばらなくても、あなたは自分のよさやプラス面を探して「ほめ言葉」を書いていればいいのです。はじめのうちに、書くための努力がちょっといるだけです。

書けば書くほど「ほめ回路」は太くなり、それにともなって自己肯定感が高くなり、本来あなたの命が備え持っている潜在意識や能力が表に出てきます。

そしてこの「ほめ回路」は、他の人に対しても同じように働いてくれます。今まで欠点しか見えなかった人のプラス面が見えてきて、気がついたらその人をほめていた、ということも起きてきます。

人のマイナス面を見て不快に思っているより、ずっといいですね。そのことによって、家族関係や職場での人間関係が好転していくケースは多くあります。

自分が選んで使う言葉で脳の回路が変わり、それによって人生をより豊かに幸せに生きることができる──これが私たちの「命」のすばらしい力です。

 

ほめ言葉リスト

「ほめ言葉リスト」どんどん使おう!
PROFILE
手塚千砂子

一般社団法人自己尊重プラクティス協会代表理事、セルフエスティーム・コーチ&カウンセラー。自己肯定感、自己尊重感を育てるためのトレーナーとして、各地の自治体や団体、サークルなどで、セミナー、講演などを行う。何千回ものワークショップと長年の研究を経て、効率的に自己肯定感を育てるためのプログラムを開発。その1つである「ほめ日記」は10万人が実践し、仕事力のアップや人間関係の改善、ストレス解消など、多くの人が効果を実感している。

自分もまわりも好きになる「ほめ日記」

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  • 作者:手塚 千砂子
  • 発売日: 2020/08/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)