仕事が途切れないフリーランスがやっている「見た目」のこだわり

日本史のカリスマ講師、伊藤賀一先生は塾や予備校に属さないフリーランスでありながら仕事が絶えることはありません。それは、仕事が途切れないツボを知っているから。いったいどんなことを行い、どんなことをしないようにしているのか? フリーでも会社員でも役立つノウハウを教えてくれました。

「何をするか」より「何をしないか」

想像できないことは実現できません。48歳、未経験者の僕が「フィギュアスケートで羽生結弦選手に勝つ」ことは絶対に無理です。想像すらできません。

しかし、「書店で憧れの弘兼憲史先生(『島耕作』シリーズなどの人気漫画家)の隣に著書が並ぶ」ことは、想像しようと思えばできます(ありがたいことに、そうして頂いていることがあります)。他にも、

「少年時代に大好きだった榊原郁恵さんとTV番組で共演する」

「受験生時代に使っていた『試験にでる英単語』の青春出版社で打ち合わせをする」

など、想像できることをいくつか実現することができたのは、僕がフリーランスとして「何をするか」より「何をしないか」を重視してきたことが大きいです。

では、具体的な日々の行動レベルでの「してはいけないこと」をいくつか述べます。

眼鏡のレンズや靴が汚れている

フリーランスは自分自身が商品です。不潔な商品が売れるでしょうか? 人は目を見て話しますから、眼鏡は一番目立つ場所……。

僕は、眼鏡拭きを常に持ち歩き、人に会う直前に目薬までさします。

目が悪くない人なら、靴です。僕は、スタジオでの講義収録時、カメラに写ることはなくても、必ず収録前に簡易靴磨きで磨きます。その心がけが作る雰囲気が、画面に出るからです。

待ち合わせに遅れる

先に待っているだけで、たとえ相手が時間通りに来ても「あ、すみません、お待たせしました」と言われる側になる。

「いえいえ、ちょっと早く着いちゃったんで、たまたまです」というシチュエーションから仕事が始まる。ものすごく気が楽です。

ちょっと先にいるだけでこんなにメリットがあるのに、遅れる人がいるのが信じられません。電車の時刻がスマホやPCで簡単に検索できるからか、「ギリギリ」で考えている人が多すぎる。もったいないと思います。

僕は腕時計をすべて14分進めています。最初は2分だったのですが、5分→10分→12分→14分という経過を経ています。そのくらい気にしているのです。そして、機会を見つけて「その話をする」のです。

「大事な人相手に遅れるわけにもいかず、気が小さくて……あはは」と言われて、悪い気がする人はいませんよね?

コンビニの袋を持って歩く

繰り返しますが、フリーランスは自分自身が商品です。

事情は色々とありますから、借金してまで着飾る必要はありません。「貧乏」はいい、その苦労は後に美談にすらなります。しかし、「貧乏くさい」のはダメです

僕は、現場に入る時や、新幹線に乗り込む時など、飲み物や食べ物を買ったら、必ずカバンの中にしまいます。どこで誰に見られているか分からないからです。

僕を初めて見る人もいるだろうし、それが最後になる人もいます。だから、その人の中に残る僕のイメージには、細心の注意を払います。

服装がその場に合っていない

披露宴や受賞式など、誰かを祝う、主役が明らかなパーティに呼ばれたとします。大事なポイントは「会場に溶け込む」こと。

壁と同化するくらいでいいです。

TPOをわきまえる常識があるか。これをデキる人は見ています。

僕は、「就職活動のリクルートスーツは『同調圧力』や『没個性』に拍車をかける」等という言説に違和感を持っています。

前向きに考えてもいいのではないでしょうか。全員がほぼ同じ格好をしているからこそ、その人自身の個性が浮き出てくるのではないか? という考え方もできます。

「決まったルールの中でどう差別化するか」という能力が測れるのではないか? という見方もできます。

黒スーツは、最も品質の差が出ます。

そして、全てを決めるのが「サイズ感」です。

アドバイスを求めてくる就活生には、

「飲み会を何度かパスして、オーダーで、良質な生地の、ジャストサイズのスーツを買おう!」

と言っています。

その際、「僕に相談し、これを実行して就活に失敗した人はいないよ」と一言添えます(もともとの、ご本人の努力や能力に加えてこの言葉が少し背中を押すことができたためか、本当に失敗した人はいません)。

こういったことを意識するだけでも、品のある雰囲気が出ます。

プロとして大事なのは、その職業の人として「雰囲気あるね」と思われるかどうかだと思っています。

一流の営業マンにも、財務のプロにも、デザイナーにも、学者にも、独特の「らしさ」があります。

技術や実績が裏打ちする、確かなスタイル。それを、TPOをわきまえた、臨機応変なファッションで包み、客前に出たいものです。

 

 

PROFILE
伊藤賀一

1972 年、京都生まれ。リクルート「スタディサプリ」で日本史・倫理・政治経済・現代社会・中学地理・中学歴史・中学公民の7科目を担当する「日本一生徒数の多い社会講師」。43歳で一般受験し、早稲田大学教育学部生涯教育学専修に在学中。法政大学文学部史学科卒業後、東進ハイスクールの最年少講師となる。30歳から教壇を一旦離れ、全国を住み込みで働き見聞を広める(20以上の職種を経験)。四国遍路を含む4年のブランクを経て秀英予備校で復帰。著書・監修書は『47都道府県の歴史と地理がわかる事典』(幻冬舎新書)、『「90秒スタディ」ですぐわかる!日本史速習講義』(PHP研究所)など累計55万部。辰已法律研究所(司法試験予備校)・東急ホームクレール(シニア施設)・京急COTONOWA・池袋コミュニティカレッジ(学生・社会人向けスクール)等にも出講中。数々のTV・新聞などメディア出演、プロレスのリングアナウンサーやラジオパーソナリティーも務める。