GAFAに転職して活躍したい! 外資系IT企業で求められる能力とは

IT企業で働く人たち

「GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)」は使うもので、転職先だと考える人はあまり多くないかもしれません。でも、日本企業とは異なる意識の持ち方やノウハウがあることをしっかり知っておけば、こうした外資系企業への転職は誰にとっても夢ではありません。数々の外資系IT企業で人事本部長として採用面接を行ってきた鈴木美加子氏が、外資系ならではの転職ノウハウを紹介します。

年収、昇進、異動……日本企業とはどう違う?

そもそも、外資系企業と日本企業の違いはどこにあるのでしょうか。まず、よくいわれる外資系の特長として「日本企業よりも比較的、年収が高い」が挙げられます。実際、そのようなイメージを持つ方もいらっしゃるでしょう。

まず、なぜ外資系は年収が比較的高いのか。大きく2つの理由が挙げられると思います。外資では、専門スキル+語学力(英語であることが多い)をもつ人材が必要です。この組み合わせをもつ候補者はかぎられるので、労働市場での需要と供給のバランスから、専門スキルと英語力を兼ね備えた人材は、価値が高まり年収が相対的に高くなります。

また構造的に、外資は日本企業に比べて、売上高に対する人件費率が低く、1人がカバーする仕事の範囲が大きいことが多いので、その分に対する割増とも考えられます(たとえば総務の部署を置かなければ、一人ひとりの庶務的仕事が増えます)。こういった理由で、日本企業勤務でまったく同じ職種・レベル・仕事内容の方より、年収は高くなるのです。

外資系では、年齢・性別に関係なく、求められるレベルの経験・スキルがあれば昇進できます。役職の低い社員が2年連続で昇進することも可能です。また、いわゆる「昇進試験」のようなものはありません。外資系における昇進では、競争が激しいため、実力がない人は最終的に淘汰されます。

また、昇進時の評価で「一生懸命がんばった」「長時間残業にも耐えた」というプロセスにおける努力は考慮されず、あくまで最終的な結果(成果物)を見て評価されます。

さらに、異動のしやすさにおいても、外資系と日本企業で大きく違います。日本企業では、異動を願い出ても通らないことがとても多く、直属の上司に異動願いを伝えたとしても、そこで情報が止まってしまい、何の変化も起こらないということがザラにあると聞きます。

一方、外資系では基本的に、同じポジションに2年いると「異動をリクエストする権利」が発生することが多いです。そして、人事部に異動を申し出るとき、上司の承認はなく、上司が部下の異動を邪魔できないシステムになっているのです。

仮に異動が決まらなければ、今までと同様に仕事をすればいいように、また決まったら快く送り出してもらえるように、異動前後の2つの部署の責任者同士で話し合いがあります。日本企業と外資系企業の大きな違いは、この昇進・キャリア形成の方法にあらわれています。

外資系企業で活躍できる人に共通する資質

では、外資系企業は、どのような特性のある人材を求めているのでしょうか。私が見てきた「活躍している人」の共通点についてお話します。

まず、1つ目は「自立心が高い」こと。日本は素直な上に従順、忠実であることが評価されますが、ほかの国(とくに欧米)は「自立心」を重要視します。外資系の大手企業では、新卒者の採用時に「自立している人間か」を見ます。

親元で暮らし、アルバイトも課外活動もしていない学生は、自立心が低いとみなされる傾向が高いです。ビジネスの視点から考えると、次のようなタイプの人が求められています。

  • わからないことをすぐ誰かに聞くのではなく、まず自分で調べる
  • 社内プロジェクトなど、やりたい仕事があることを、上司に上手に伝えられる
  • キャリア形成の責任は自分にあると認識し、社内外の研修で自分の成長を助けるものに、積極的に手を挙げる

2つ目は、「自分をPRする力がある」こと。外資系企業で「謙遜」は、好まれません。「能ある鷹は爪を隠す」といいますが、爪を持っていることをしっかりアピールできる人のほうが評価されます。つまり、「YES/NOをはっきり言える」「自分の意見を相手に伝えられる」人です。

もちろん、外資系であっても日本人が圧倒的に多い職場の場合、率直な物言いや「YES/NO」での発言をすると角が立ってしまう可能性があるので、相手の状況を見ながら伝え方を変えるなど、多少調整する必要があります。しかし外資系では、基本的に自分の意見を持ち、それを言葉にする力がないと、評価されづらくなり損をすることになります。

3つ目は、「スペシャリスト思考である」こと。外資系企業では、まんべんなく普通の仕事ができるジェネラリストよりも、専門性の高いスペシャリストが求められます。そもそも、外資系は人材をジェネラリストに育てるべく異動させる習慣がないので、育成されるのは自然とスペシャリストばかりになります。広く浅く仕事ができる人よりも、特定の専門分野の能力が高いスペシャリストのほうが市場価値は高いということです。

外資系企業で求められる「英語力」はどの程度?

また、外資系企業となると、やはりどの程度の英語力が必要なのかも気になるポイントではないでしょうか。「外資系では高い英語力が求められるから…」と転職に二の足を踏んでいる人が多いようですが、必ずしも高い英語力が必要とされるわけではありません。もちろん、英語力はあるほうが良いですが、必要なレベルはポジションのグローバル度(海外や外国人との仕事が多いかどうか)、ローカル度(日本国内、日本人との仕事が多いかどうか)によって異なります。

まず、グローバル度100%に近い仕事で、わかりやすい例は、外資系企業の日本法人の社長です。上司は海外にいて、英語でのメール送信や電話会議、海外出張が頻繁にあります。同僚は各国の責任者なので、当然、英語でコミュニケーションすることになります。日本法人とはいえ直属の本部長には何人か外国人がいるので、英語の使用率はかなり高く、TOEIC900点以上必要です。

次に、グローバル度が少し下がって80%くらいの場合。TOEIC800点以上が必要になるのは、社長の直属の部下の本部長クラスです。外資系は「マトリックス組織」といって、たとえば経理部長なら、日本法人の社長と経理のアジアパシフィック責任者の両方が上司であることが多いです。日本法人社長が日本人だとしても、もう1人の上司は外国人の可能性が高いので、ある程度、英語ができる必要があります。

また、本部長でなくても、マーケティング・マネジャーにも同じようなレベルの英語が求められる可能性はあります。上司が外国人の可能性はありますし、本社からロゴやフォントの使用に関するマニュアルが届いたら、それを読んで不明点を問い合わせるなど、直接、海外とやり取りする可能性があるからです。一方、本部長の部下の層は、日本人を相手にやり取りをすることが多いため、TOEIC700点くらいあれば大丈夫です。

また、上司が外国人になったり、同僚にも外国人がいる環境に置かれたりすると、「話す力」が求められるようになります。さらに、昇進して電話会議に参加するようになると、早口のネイティブスピーカーや、独特のアクセントのある各国担当者の英語を「聞き取る力」が必要になります。

仕事で求められる英語力は、かつては「役職」だけでほぼ推察できましたが、現代はグローバル度も重要なポイントになりました。このように、すべてのポジションで高い英語力が必要なわけではないので、英語力に自信がないからとひるむことなく、チャレンジしてみてください。

次回は、実際に外資系企業の採用試験を受ける際の書類選考や面接でおさえておきたいポイントについて具体的に解説します。

 

PROFILE
鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー。株式会社AT Globe代表取締役社長。ニューヨーク生まれ。お茶ノ水女子大学卒業後、日本GE株式会社に入社して人事部に配属となり「人事」のキャリアをスタート。その後、モルガンスタンレーなど外資系企業でキャリアアップ転職し、DHLジャパン株式会社の人事本部長を経て2014年に独立。AT Globeを立ち上げる。現在はおもに個人向けキャリア・カウンセリングや企業向け研修を実施。
25年間の会社員時代に累計1万人の採用面接をおこなった経験、また自分自身が業界・規模・スピードの異なる企業に転職して成功だけでなく苦渋を味わったこともある実体験をもとに、国内外でのキャリアアップに関するあらゆる悩みに応えている。本書は、外資系企業への転職術や成功の秘訣を、人事のプロならではの視点で初めて明かした一冊。

やっぱり外資系!がいい人の必勝転職AtoZ

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