ごはんは太るからまったく食べない→少しは食べないと筋肉が減ってしまう!
これまでさまざまなダイエットや健康法が大きな話題になってきたが、最もブームが続いているのが糖質制限ダイエットだろう。
糖質制限とはその名の通り、糖質が含まれるごはんやパン、めん類などを食べないようにすること。日本人はエネルギーの大半を糖質でまかなっているので、これを制限すると摂取カロリーが大きく減り、体内の中性脂肪が燃やされるようになる。
加えて、糖質をとると血糖値が上がり、同時にインスリンが分泌される。インスリンは血液中の糖分を脂肪細胞にとり込むように指令を出し、血糖値を下げようとする重要なホルモン。
糖質を制限すれば、インスリンがあまり分泌されず、糖質が脂肪細胞にとり込まれにくくなる。つまり、やせられるというわけだ。
明確なガイドラインはないが、1日の糖質摂取量を130g以下に抑えるというのが一般的なやり方。肉や野菜には制限がなく、好きなだけ食べてかまわないとされる。
この糖質制限は元々、糖尿病患者などの食事療法として考え出されたものだ。しかし、いつからか手軽なダイエット法として、広く知られるようになった。ごはんやラーメンを我慢するだけで、ひと月に数㎏から10㎏程度も体重を落とすことが可能なのだから、人気に火がついたのも当然かもしれない。
しかし、1日3食のなかで、糖質をほとんどとらない生活を続けると、いずれ大きな弊害が出てしまう。そのひとつが筋肉の低下。糖質を極端に制限すると、体を動かすエネルギーが不足するため、筋肉が燃焼されて減ってしまうのだ。
ほかにも、骨粗鬆症になりやすい、中性脂肪がたまりやすいという弊害もあるとされる。
糖質制限をする場合、食事から糖質をすべて抜くのは厳禁。専門家は、毎食のごはんを半分程度にすることをすすめている。おにぎり1個程度の量なら、含まれる糖質は約30g。おかずに含まれる量を加えても、1日130gには届かないだろう。
糖質制限のダイエット効果が高いのは確かだが、極端なのめり込みは厳禁だ。
卵は高コレステロールなので1日1個まで→量に制限は必要なかった!
卵にはコレステロールが多いので、食べるのは1日1個まで。この健康常識を疑わず、実行している人はいまも多いのではないか。だが、それも今日限りにしよう。
2015年、厚生労働省が卵は1日にいくつ食べてもOKだと明らかにしている。卵や魚卵などをたくさん食べると、血中コレステロールが増える。
以前はこう信じられていたのだが、じつはコレステロールの7〜8割は肝臓で作られることがわかった。食事でとる量が少なければ、肝臓は多めに作り、食事からの量が多ければ少なめに作る。
こうして、常に一定量になるようにコントロールされているのだ。
このメカニズムから、卵をいくつ食べても、血中コレステロールに与える影響は小さい。これからは食べる量を気にしないで、食卓にたくさん出すようにしよう。
トマトは生食で栄養を逃がさない→イタリア風ソースでリコピン数倍!
トマトはいつも生食という人は、加熱すれば栄養分が減ってしまうと思っているのかもしれない。しかし、これは残念な習慣だ。栄養面からいえば、トマトは加熱調理するほうがずっといい。
トマトならではの栄養が赤い色素の「リコピン」。強い抗酸化作用があり、生活習慣病を予防する効果が期待できるウレシイ物質だ。
このリコピンには「トランス体」と「シス体」というふたつのタイプがある。生のトマトに多いのはトランス体だが、食べて吸収されやすいのはシス体のほうだ。このため、トマトをサラダで食べても、リコピンは効率よく摂取できない。
そこで、加熱調理の出番。トランス体のリコピンは、油を使って加熱するとシス体に変化するのだ。こうして食べると、生食するよりも、リコピンを3倍から5倍も多く吸収することができる。
しかも、ただ油で加熱するだけでなく、ニンニクやタマネギと一緒に調理すれば、さらに効率よくシス体に変化することが最近わかってきた。ニンニクやタマネギ独特の香り成分が、構造変化を促進すると見られている。
イタリア料理で使われるトマトソースは、まさにこの作り方。加熱すると甘みが増すのに加えて、栄養面でも理にかなった調理の仕方だったのだ。これからはトマトソース煮やラタトゥイユを食卓に多く登場させるようにしよう。
「暮らしをもっと楽しく! もっと便利に! 」をモットーに、日々取材を重ねているエキスパート集団。取材の対象は、料理、そうじ、片づけ、防犯など多岐にわたる。その取材力、情報網の広さには定評があり、インターネットではわからない、独自に集めたテクニックや話題を発信し続けている。