Go To トリビア旅行! 旅が2倍楽しくなる奈良県の歴史ミステリー

奈良の鹿

日本各地にはたくさんの名所がありますが、ただ観光地をおとずれるだけではもったいない。産業や名産品、地名や境界線などの「地理力」があれば、これまでとは違う視点で「景色」を眺めることができます。それでは「奈良県」の見方が変わる旅へLet’s Go!

世界遺産の中を電車が走る!?

世界遺産の中を電車が走る

平城京の中を走る近鉄特急

平城宮といえば、奈良時代の都・平城京の大内裏(だいだいり)。その平城宮跡は平成10年、「古都奈良の文化財」として、東大寺などとともに世界遺産に登録された。

そんな平城宮のなかを、なんと電車が走り抜けている。近鉄奈良線が平城宮跡を横断するかたちで走っていて、乗客は車窓から復元された朱雀門や大極殿(正殿)を間近に見ることができる。

これは、奈良線が開業した頃、平城宮跡がほとんど顧みられていなかったからだ。平城京は784年に長岡京に遷都されると、以後ほとんど野放し状態で、やがて農地となっていた。その地がかつての平城京と認識され、保存活動がはじまるのは、大正時代に入ってからのこと。大正2年、奈良大極殿址保存会が発足、大正10年には平城宮跡の中心部を民間人らが買い取り、国に寄付、翌11年には国の史跡に指定された。

だが、時すでに遅しで、明治39年には、近鉄の前身・大阪電気軌道が用地を買収、大正3年に奈良線が開通していた。平城宮の整備事業はその後に進められたため、平城宮跡のなかを電車が横断することになったのだ。

平城京の伝統行事

若草山焼きは奈良の早春を告げる伝統行事。朱雀門からの眺めは圧巻

有名な「金魚の養殖地」が生まれた経緯

金魚の養殖地として有名な大和郡山

金魚の養殖地として有名な大和郡山

奈良県の大和郡山といえば、「全国金魚すくい選手権大会」の開催地。金魚の養殖地として有名だが、この地に金魚が伝わった経緯をめぐっては、いくつかの説がある。

一つは、元文3年(1738)、郡山藩士の佐藤三左衛門がため池で金魚を発見したという説。あるいは、享保9年(1724)、柳澤吉里が甲府から郡山城に入城したさい、家臣が観賞用に金魚を持参したのがはじまりという説もある。

大和郡山城は桜の名所としても有名

大和郡山城は桜の名所としても有名

そもそも、大和郡山は、農業用のため池が多くつくられていた地域で、そのため池にはミジンコなど、金魚のエサになる生物が無数に暮らしていた。金魚の養殖に適した環境がととのっていたのだ。

また、江戸後期、藩の財政が悪化すると、副業として金魚の養殖が奨励された。暮らしのため、藩士たちは養殖に真剣に取り組み、金魚の品種改良を進めた。こうして、大和郡山の金魚の名は全国に広まることになったのである。

「箸墓古墳」の名前をめぐるウワサの真相

上空から見た箸墓古墳

上空から見た箸墓古墳。前方後円墳であることがわかる。

奈良県桜井市の箸墓はしはか古墳。邪馬台国の卑弥呼の墓との説もある3世紀に建設された古墳だ。

その名の由来は、『日本書紀』崇神天皇紀に記されている。崇神天皇の叔母の倭迹迹日百襲姫命やまとととひももそひめは、三輪山に住む大物主おおものぬし神の妻となった。ところが、大物主神は夜暗くなってからしか来ないので、姫は姿を見ることができない。「明るいところで姿を見たい」という姫の頼みにこたえて、大物主神が姿を見せると、そこにいたのは小蛇だった。

姫が驚いて大声を出すと、大物主神は自分の姿を恥じて、三輪山に帰ってしまう。姫は自らの行為を悔いて座り込むと、そこにあった箸で自らの陰部をつき、命を落としてしまう。そこから、姫の墓は「箸墓」と名づけられたというのだ。

箸墓古墳

全長は約272m。卑弥呼の墓とする説もある。

ただし、これは後世の作り話であるのは確実。箸墓古墳の成立は3世紀頃、箸が日本に伝来したのは7世紀頃なので、時代が合わないのだ。もともと、この墓は「端の墓」と呼ばれ、「はじのはか」がやがて「はしはか」となり、「箸墓」の字が当てられたという説が有力だ。

吉野山はいつから桜の名所になった?

桜色の吉野山

シーズンになると吉野山が桜色に染まる

奈良・吉野山の桜はその数、3万本にもおよぶ。なぜ、吉野山はこれほど桜が多くなったのだろうか?

吉野山には、役行者えんのぎょうじゃ創建と伝えられる金峯山寺きんぷせんじがある。役行者は桜の木で金剛蔵王権現像を彫り、守り本尊とした。やがて、吉野山では桜が神木化され、伐採が禁じられるようになったうえ、信者が桜苗を寄進するようになった。

記録によると、天正7年(1579)には、摂津の豪商が1万本の苗を寄進。文禄3年(1594)には秀吉が、苗木1万本を寄進している。こうした信仰の力によって、吉野山の桜の木は数が増えてきたのだ。

金峯山寺の本堂・蔵王堂

金峯山寺の本堂・蔵王堂。秘仏本尊蔵王権現(約7m)三体のほか、多くの尊像を安置している。

 

PROFILE
おもしろ地理学会

「地理」の楽しみを知りつくしたメンバーのみによって構成されている研究グループ。日本各地、世界各国を歩き、地図をひろげ、文献にあたり…といった作業を通じて、「地理」に関する様々な謎と秘密を掘り起こすことを無上の喜びとしている。

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