「出不精」になったら要注意! 男性がボケないための生活習慣

ボケ防止

老化現象はだれにでも起こるものですが、「できることならボケてまわりに迷惑をかけたくない……」とは誰しも思うこと。医療分野では、ボケの進行について日々解明が進んでいます。高齢者専門の精神科医として多くの患者を診てきた和田秀樹氏が、今からできるボケ予防の習慣を紹介してくれます。

ボケが進みやすい人、進行の遅い人の違いとは?

亡くなられた高齢者を調べると、85歳以上ならほとんどの方に、体のどこかに「死因とはならなかったがん」があります。つまり、がんもだれにでも起こる老化現象の一つで、必要以上に恐れたり、気にしたりすることはないのです。

だれにでも起こる老化現象を気にするより、明るく楽しく日々を過ごしたほうが、明らかに免疫力が上がり、がんの元になるでき損ないの細胞も免疫でやっつけたり、がんの悪化を抑えたりできると考えられます。

私が長年にわたって高齢者を診てきた経験では、幸せを感じつつ、楽しく趣味に没頭したり、体を動かしたりしていると、認知症も進み方が遅くなります。反対に、生き甲斐とすることが取りたててなく、趣味もまったくない、という人は、症状が進みやすい傾向があります。

介護サービスの一つ「デイサービス」に参加して、高齢者同士でゲームなどをすることで、ボケの進行や体、頭の衰えを遅らせることができるのですが、現役時代に社会的地位が高かった人などは、とくにそういう集まりに行くことを好まない傾向があります。

過去のプライドやよけいな自尊心が、気軽にお年寄仲間と接することを邪魔するのです。家族関係でも、近所づきあいでも、そういう「心の壁」を高くしてしまうと、体や頭の衰え、ボケもより進んでしまいます。

かつて人より抜きん出た地位があった人でも、名声を博した人でも、どんな人も同じように年を取ります。どうせ一度きりの人生なら、年を取ってもできる限り幸せで、心豊かに過ごすことがいちばんです。

男性ホルモンの状態でわかる老化のサイン

アルツハイマー型の脳の変化のあるなしにかかわらず人間をボケたようにするのは、「消極的」になることです。

何かをしようという気持ちがいつのまにか衰えていくなど、だれでも意欲は年齢とともに減退します。だから、趣味でも何でもいいので、生活の中で何か積極的になるものを見つけることが大切です。

なかには、年齢とともに積極的になる方もいます。それは女性によく見られますが、60歳、70歳になって、気の合う友達と温泉旅行に行く機会が増えたりします。これはとてもいいことです。

ものごとに積極的に取り組もうとする意欲を左右するものの一つに、男性ホルモンがあります。

意外に知られていないことですが、男性は40代から男性ホルモンが目立って減り始めます。おそらく現代の40代の夫婦は、半分強、もしかしたら7割くらいが「セックスレス」ではないかと思われます。

男性の場合、男性ホルモンが減るその時期に「もの忘れ」が増え、記憶力が落ち始めていきます。心の老化」の一つの表れとして、男性ホルモンの減少と、その減少の兆候を見ることで確認することができます。

それをチェックする「老化度テスト」を紹介します。これはおもに「40代以降の男性の老化度」を見るためにつくったテストですが、女性の方も参考に試してみてください。

 

「感情老化」度テスト

 

このテストでチェックが「3〜5個」ついたら、男性ホルモンなど、おもに男性の若さを保つ働きが低下し始めている、というサインです。

「6個以上」のチェックがついたら、「男性更年期障害」の可能性があります。食生活、ホルモンバランス、運動など、具体的対策について、すぐにでも医師に相談したほうがいいでしょう。

女性も、「3個以上」のチェックがついたら、やはり、日々の生活の見直しを今日から考えるべきでしょう。

女性は年齢とともに男性ホルモンが増える

実は女性については、男性とは逆に、「年齢とともに男性ホルモンが増えてくる」ということが最近わかってきました。以前は、この現象は「女性ホルモンの分泌が減るために相対的に男性ホルモンが増えたように見えるのだろう」と考えられていました。

ところが、東日本大震災の被災者などの後遺症を調査する中で、「ホルモンがどのように増減しているか」というテーマを研究した人がいて、その結果、「女性は40代、50代、60代と、男性ホルモンが増えている」ということがわかったのです。

これが、「女性は、男性とは逆に、年齢が高くなるほど『人づきあい』に積極的になる」という現象につながっているようです。

60代、70代の男性は、「友達と温泉旅行に行きたい」とはあまり思わなくなり、女性はまったく逆の傾向を示すわけです。それによって女性は人づきあいもよくなり、意欲もモリモリと増加するのです。

男性ホルモンが減ると、いろいろな意欲が落ちるので、多方面に影響が出ます。性欲だけでなく、仕事を続けている人なら、仕事のうえでの意欲が減退します。出世欲もだんだん消えていくのです。

異性に興味がなくなるだけでなく、「人間に興味がなくなる」というのは困りものです。近所づきあいも減るでしょう。40代を過ぎて人づきあいが億劫になってきたら、それは男性ホルモン減少の影響かもしれません。

 

PROFILE
和田秀樹

1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業後、東京大学附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー等を経て、現在、国際医療福祉大学心理学科教授、川崎幸病院精神科顧問、和田秀樹こころと体のクリニック院長。老年精神科医として、30年以上にわたり、高齢者医療の現場に携わっている。主な著書に『引きずらないコツ』(小社刊)、『自分が高齢になるということ』(新講社)、『「人生100年」老年格差』(詩想社)などがある。