「自宅は職場」は当たり前!今後10年で大きく変わる副業の概念

「2030年までに副業と本業の垣根がどんどん低くなっていくでしょう」と話すのは中小企業診断士の滝岡幸子さん。実際に現在進行形で働き方を変化させている滝岡さんが、これからの副業事情について詳しく教えてくれました。

「行き詰まったとき」が働き方を見直すタイミング

いま、私自身も働き方を変えている最中です。いつも現在進行形で、ひとり起業のやり方を少しずつ変化させてきましたが、いまなお仕事と家庭と自分自身の夢との「両立」に、日々頭を悩ませています。

「これまでのやり方では通用しない」「もっと別の方法に移行した方がいい」と気づいた瞬間に、その都度自分が行うべきこと、最重点課題に合わせて柔軟にやり方を変化させています。

特に変わってきたのは、働く時間帯です。

20代から30代前半は、体力のおもむくまま24時間体制で仕事ばかりに取り組む夜型でしたが、30代後半から40代半ばにかけては、体力が一番ある起床後からの6〜7時間を仕事に充てる朝型にシフトしました。朝型の仕事スタイルにすると、調子がいい。

日本の働き方全体も朝型にシフトしつつあると感じます。その理由は、インターネットが発展して、自宅でも会社にいるのと同じように仕事ができるようになったし、スマートフォンで仕事を完結できるようになったからです。

インターネットサービスもどんどん便利になって、2000年代後半から10年の間に、企業や行政も含めた社会全体の動き方と便利さがガラリと変わりました。こういった動きが加速すると、私たちの働き方もどんどん変わっていくと思います。

2030年には「本業」と「副業」の概念が薄れる!?

2019(令和元)年頃、多くの大企業が副業を解禁し、「副業」がひとつの働き方として再認知されるようになりました。また、新型コロナ禍で、複数の収入源を持ちたいと実感した人も増えたと思います。

10代後半から80代まで、働く人にとって「副業」はいつでもチャレンジしたいものになると思います。その一方で、副業と本業の垣根がどんどん低くなっていくでしょう。

副業はしっかりやっていくと、自分自身の中で、本業と同じような位置付けになってくるのです。「副業ではじめたけれど、今では片手間でやっているのではなくて、一生懸命やっています」といった感じです。そういう人が増えれば、副業はもはや「副業」ではなくて、本業と他の仕事をかけもちするダブルワーク、どちらも大事な「複業」というような位置付けになることが想像されます。

「旅行先」や「帰省先」で稼ぐ人が増えてくる

インターネット上をメインにして働くと、「住んでいる場所」があまり気にならなくなってきます。どこでネットに繋いでいるかは仕事に影響がなくなるので、「旅行先」「帰省先」で副業をすることも増えていくでしょう。いわゆる「ワーケーション」です。

本業では、会社の規定やセキュリティの関係で、働く場所が限られることも多いでしょうが、副業は基本的に何でも自由です。地方に移住しても、本業だと「オフィスが、通勤がどうのこうの」となりがちですが、副業なら引越しした当日でも、ネットに繋げばすぐに仕事ができます。コロナ禍で「ZOOM」による打ち合わせやおしゃべりを体験し、それを実感した人も多いのではないでしょうか。

現在でも「旅ライター」「旅行ブログ」のような仕事で収入を得ている人がいますが、旅行先で体験した出来事を写真、動画、文章で説明することで副業収入を得るといった人はますます増えるでしょう。

だれもが最短で「プロ」になれるように!

副業ワーカーが増えると、「プロ」と「アマチュア」の違いが見えにくくなります。 「プロは、本業で仕事をしている人」というイメージがありますが、短時間で稼げる副業の種類が増えることで、アマチュアでも市場に参加しやすくなります。

たとえば、「釣りのプロ」として釣りの技術や情報で本業収入を得ている人と、「昼間はサラリーマン。釣りは割と上手なので、休日なら素人に教えられますよ」というアマチュアの差が、ネット上ではわかりにくいといった具合です。

料理研究家も、インターネットがなかった時代には、テレビの料理番組に出られるまですごい人脈を構築したり、著名な師匠のもとでの修業年数が必要だったことでしょう。しかし今では、ブログやSNSで自分のレシピや工夫を上手にアピールすれば、人の目にとまりやすくなります。プロになれるスピード感が速くなっているとも言えます。

転職・独立前の「お試し副業」が一般的に!?

転職や独立開業をする際に、一番心配になるのは「その職業は自分に合っているのか?」ということ。転職や独立開業の前に、「短期間、その仕事が合っているかどうか、実際に働いてみる」機会があれば、仕事内容と自分とのミスマッチを防ぎやすくなります。

インターンシップという言葉があります。学生の新卒採用をする前に、短期間安い賃金で働いてもらい、会社と個人の相性を確かめる仕組みです。インターン中に、会社側が気に入れば、すぐに「うちの会社に就職しない?」と声をかけます。

インターン生を受け入れる会社側は低賃金で優秀な学生に短期間働いてもらうことができるし、試験だけでなく、実際に働く姿を見て自社に合う人材を探すことができるというメリットがあります。

学生側も就職前にしっかり企業の中身を知ることで、本当に働きたい会社を探すことができます。これは20代前半の就職活動に付随することですが、同じようなことが、副業が解禁されることによって30代以降にも適用されるようになるでしょう。

「どんな仕事が自分に合うのか、ちょっと他でも働いてみる」という副業の仕方が増えると考えられます。適職探しとして、副業という方法は、企業側にも人材側にもメリットがある、良い方法です。

「自宅は職場」が当たり前に!

副業は「自宅で働く」ことと親和性があります。「人生80 年」から「100年時代」になったということは、働く年数が増えるということです。定年が70歳にまで延びても、最 後のほうは体力的に、一日8時間以上オフィスで働き続けたり、長い通勤時間を耐えることは難しくなるでしょう。

そこで「自宅で働きたい」というニーズが増えることは想像に難くありません。「自転車10分程度で通える範囲内」を求める人も増えるのではないでしょうか。自動車通勤なら片道30分くらいはOKでしょうが、それは駐車場スペースもある郊外型の企業への通勤に限られるでしょう。

60歳以降は、自宅付近で働ける仕事を見つけたい。そんなニーズにマッチするのが、50代前半頃までに「自宅でできる副業」をはじめること。副業で徐々に自宅や地域で働く基盤を作っていき、60代以降は自宅で働けるように準備していく。たとえば、音楽スクールに勤めるピアノの先生が、「60歳以降は自宅だけで教えたい」と思うようになるのも、自然なニーズなのです。

副業のカギを握るのは「ネット」

2030年の副業は、その多くがインターネット経由となるでしょう。そして、副業をする時間帯は、早朝と夜間(と昼間のスキマ時間)。誤解を恐れないで言うと、スマートフォンで完結する株式投資のようなもの。昔は店舗に通う必要のあった作業が、すべて手元のスマホで完結してしまうイメージです。

スマートフォンの機能が進化すれば、データの管理や分析も、もっとお手のものになるでしょう。「ネット経由で、自宅のお風呂の中からピピピ」とできる副業が増えると考えられます。その時には、株式投資で言うところの「経験」と「勘」のような、職業経験と知恵が活かされることとなります。

本業で得た経験をすべてつぎ込めるような副業を選べれば、なお良しです。ピアノのレッスンですら、オンライン接続でネット経由の指導も増えていますが、今後オンラインレッスンは当たり前のものになっていくでしょう。

まとめると、2030年には「自宅」でも「旅行先」でも「ネット経由」で副業することが当たり前になり、本業と副業という概念が薄れて「複業」を持つ時代となり、一般企業や商店も「インターン(副業)労働者」を受け入れるようになっているでしょう。

 

PROFILE
滝岡幸子
中小企業診断士・経営コンサルタント、「ひとり起業塾」主宰、ポテンシャル経営研究所代表。 外資系コンサルティング会社・プライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)にて企業の戦略立案、業務改善に従事。2002年に有限会社ポテンシャルを設立。大企業とは異なる、身の丈に合った経営戦略や働き方を研究し、世の中に提案している。起業家の生き方、中小企業が勝ち抜く戦略を考えることをライフワークとし、中小企業のコンサルティング、企業研修、講演・ワークショップ・セミナー、各種メディアでの執筆など多方面で活躍。 著書に『ど素人がはじめる起業の本』『図解 ひとりではじめる起業・独立』(翔泳社)、『マイペースで働く! 女子のひとり起業』『マイペースで働く! 自宅でひとり起業 仕事図鑑』(同文舘出版)などがある。
女子の副業 夢もお金もあきらめない。

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  • 作者:滝岡 幸子
  • 発売日: 2020/08/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)