新幹線の鼻はなぜ新型ほど長い? 電車にまつわる「形」の秘密 

進化する新幹線の車両はなぜ鼻がグングン伸びるのか

2019年の5月に登場した次世代新幹線アルファエックスの姿を見て、その「鼻」に度肝を抜かれた人は多いだろう。ノーズと呼ばれる先端部分の長さは、じつに22メートルもある。1964年に開業した東海道新幹線の記念すべき最初の車両0系と比べると、約4倍だ。

車両0系

丸い鼻が特徴的な車両0系

新しい車両が誕生するたびに少しずつ伸びてきた新幹線の鼻だが、なぜこんなにも伸びるのだろうか。

もちろん、先端を長く鋭くすることでスピードが出るというのは、だれでも想像がつく。しかし、それだけではない。じつはもっと大きな要因は騒音対策なのだ。

山国である日本列島を縦断する新幹線にはトンネルが多い。高速でトンネルに入ると、反対の出口側で「ギュイーン」というものすごい衝撃音が響く。これはトンネルに入ったときの圧力波が原因で発生するのだが、この音がもたらす騒音は常に問題になってきた。

そこで2011年に営業を始めた「E5系」から、先端を流線形の曲線にすることによって空気を流れやすくして、少しでも音を和らげる工夫が始まった。その結果、アルファエックスの長い鼻へとたどり着いたのである。

単に見た目だけの問題ではない。その長すぎるノーズはさまざまな影響をもたらしている。

なぜ新幹線の扉は狭いのか

新幹線の扉
大きな荷物を持って新幹線に乗るとき、もっと扉が広ければいいのにと思ったことはないだろうか。あるいは、客車に出入りする際、扉を通るときに思わず体を斜めに傾けたことはないだろうか。新幹線の扉はなぜこうも狭いのだろう。

大きな理由のひとつは、車体の強度を保つためだ。扉が大きいということは、それだけ開口部分が広いということになる。そうなるとどうしても車体自体の強度が下がる。そこで安全走行を考えると、なるべく小さな扉のほうがいいのだ。

さらに気圧も重要な要素だ。新幹線はトンネルが多いが、トンネルに入ると気圧が変化してキーンという耳鳴りがする。大きな気圧変化は乗客にも車体にもダメージを与えるので、気密構造にすることで、どこを走っても気圧を一定に保てるようにしたのだ。

そのために扉の幅を狭くして、気圧の変化を最小限におさえているのである。

たしかに多少の不便さはあるものの、しかし幅の狭い扉が新幹線のスピードと車内の快適性につながるのだと思えば、さほど気にならないはずである。

レールの断面にはなぜクビレがある?

レール断面図
列車の車体をのせるレールは、さぞ頑丈なつくりをしているだろうと思われがちだ。しかし実際には、レールの断面は漢字の「工」に似ていて、左右にくびれがある。列車の重さに耐えられず途中で折れそうな気もするが、なぜ「工」の字をしているのだろうか。

鉄道のレールは最初からこのかたちだったわけではなく、改良を重ねてこのかたちに行き着いた。そういう意味では、これは理想のかたちなのである。

まず、頭部は車輪と接触するので摩耗しやすい。そこで頭部を分厚くすることで、摩耗に耐えられるようにした。また、車両の重さに耐えるために、枕木に接する底部はなるべく広くしてある。

その両方のメリットを活かしたうえでくびれをつくると、材料費を節約できる。

そういったさまざまな試行錯誤の結果、すべてのメリットを活かすものとして「工」の字型のレールが生み出されたのだ。

まるい形に秘められた山手線のナゾ

山手線
都心をぐるりと一周するJR山手線は東京の鉄道網の象徴のような存在だが、素朴な疑問を抱く人も多いのではないだろうか。

なぜ、山手線はまるいのか。

その理由は、山手線の進化の歴史と関係がある。最初の山手線は、1885年にまず品川−赤羽間で開業した。これは東北本線と東海道線を結ぶという目的があった。

その後1903年に今度は常磐線と結ぶために、池袋−田端間が延長された。このとき池袋−赤羽間が切り離されて、その結果、品川−新宿−田端という半円の路線ができた。「山手線」という名称ができたのはこのときだ。

続いて山手線が京浜線(現在の京浜東北線)に乗り入れたために、東京−新宿−上野の路線が完成し、さらに中央線と山手線の直通運転を開始して、中央線と品川との連絡を可能にした。

そしてついに、1925年に東京−上野間が完成して現在の円形の路線ができたのだ。

つまり最初から円形だったわけではなく、周辺の路線との連絡を考えてつないでいき、結果としてまるいかたちになったというわけだ。

じつは現在でも正式な山手線は、品川から新宿を経由して田端へ至る約20キロメートルの部分だけをさす。それ以外の田端−東京間は東北本線、東京−品川間は東海道線が正しい。

電車のつり革にはなぜ〇とがあるのか?

つり革

電車やバスに乗ったことがある人なら必ず握ったことがあるのが、つり革だ。

1870年ごろにイギリスの鉄道馬車で使われたのが最初だといわれるが、満員電車が常態化している日本の大都市圏では、これがなければ車内の安全は保たれないというくらい大切なものだ。

ところで、かつては手で持つ部分がまるいつり革が一般的だったが、近年では三角形のつり革が増えている。そもそも、まるいつり革と三角のつり革では何が違うのだろうか。

まるいつり革は、握ったときに人差し指と小指が近づき、握りにくいと感じる人もいる。その点、三角形をしたつり革は親指以外の4本の指を均等に引っ掛けられるので握るのがラクだ。

また、まるいつり革だと電車が大きく揺れたときにどの方向に動くか予測できないが、三角だと、握った部分は左右にしか動かないので体が固定しやすい。そんな理由から、三角のつり革のほうが使いやすいと感じる人が多いようだ。

ただし、急に電車が揺れたときに、とっさにつかみやすいのはまるいほうだという研究報告もある。揺れたときにしかつり革を持たないという乗客も多いので、一概に三角形のほうが理想的だともいえない。

実際、「どちらがいいか?」という議論の決着はまだ出ていない。「まるか、三角か?」の答えが出る日は果たしてやってくるのだろうか。

 

PROFILE
知的生活追跡班

忙しい現代人としては、必要な情報だけすぐ欲しい、タメになることだけ知りたい、と思うもの。けれど実際、世の中そう簡単にはいかない――そんなニーズに応えるべく結成された知的集団。あらゆる最新情報の肝心なところだけを、即座にお届けするのを使命としている。