映画のロケ地というと、なぜ茨城県が選ばれる?
毎年発表される「都道府県魅力度ランキング」で、6年連続で全国ワーストワンになったこともある茨城県。ところが、 映画のロケ地としては、抜群の人気を誇っている。
人気の理由は、何といっても制作会社が集中する東京に近いこと。交通費がかからないわりには、海や山、川があり、神社仏閣などの伝統的建築物も多数残っているので、時代劇を撮ることもできる。
一方、つくば市のJAXAやつくばエキスプレスなどでは、近未来モノのロケも可能だ。交通アクセスのよさと、時代劇から未来モノまでこなせる幅の広さが、茨城県の魅力といえる。
どうして茨城県でクリがよくとれるようになった?
茨城県は、クリの栽培面積、生産量でも日本一だ。茨城のクリは大粒なうえ、糖度が高いことから、栗羊羹や最中などの和菓子をはじめ、チョコレートやアイスなどの洋菓子にも用いられている。
茨城県がクリの大産地になった背景には、全国に先駆けてクリ栽培をはじめた人たちの努力があった。クリは縄文時代から食べられてきたが、人工栽培が本格的にスタートしたのは、明治時代も後半の話。その先陣を切ったのは、茨城県の農家・長谷川茂造だった。
明治31年(1898)、長谷川は、自宅近くの林にクリの苗を植えて、クリ栽培を開始。以降、茨城ではクリ園の経営が広がり、大正~昭和期に、研究者がクリ接ぎ木法に成功して、農家へ栽培指導を行ったこともあって、飛躍的に生産量を増やすことになったのである。
茨城県は、実は芝の栽培で日本一だった?
納豆、メロン栽培などで有名な茨城県 は、日本一の芝の生産地でもある。茨城県の芝の作付面積は全国1位、2位の鳥取県の4倍以上だから、その差は歴然だ。とりわけ、栽培が盛んなのはつくば市で、県内の8割以上が生産されている。
つくば市の芝づくりは、昭和20年代、 長野県からの移住者によってはじめられた。昭和30年代からは、ゴルフブームで需要が高まり、栽培面積が拡大。その後はゴルフ場だけでなく、公園や河川の堤防などに使われるようになり、発展してきた。
近年では、芝は地球温暖化対策用としても利用が広がり、学校やビルの屋上緑化に、つくばの芝が利用されている。
市名は「鹿嶋」なのに、 サッカーチームはなぜ「鹿島」?
Jリーグの鹿島アントラーズのホームタウンは、茨城県鹿嶋市。サッカーチーム名は鹿島なのに、市名は鹿嶋と書くのは、鹿嶋市が新しくできた市だから。
古くからの地名は鹿島で、昔は鹿島町だったのだが、1995年、市に昇格する際、鹿嶋市となった。字を変えたのは、すでに佐賀県に鹿島市があったから。アントラーズはその3年前からあったので、鹿島町時代の鹿島を使っているというわけだ。
茨城県にひらがな表記の市が四つもあるのは?
平成の市町村大合併以降、ひらがな表記の市名が増えた。そんななか、現在のところ、最もひらがな表記の市が多いのは茨城県。他県がせいぜい1~2市なのに対し、茨城県は、かすみがうら市、つくば市、つくばみらい市、ひたちなか市と4市もある。
ひらがな名前にした理由は、市によってさまざまで、たとえば、かすみがうら市の場合、霞ヶ浦町と合併した千代田町への配慮によるものだ。漢字で「霞ヶ浦市」と書くと、千代田町が編入されたイメージになるため、ひらがな表記にしたという。
つくばみらい市は、伊那町と谷和原村の合併で生まれた市で、いずれも筑波郡だったこと、つくばエクスプレスの「みらい平」駅があることなどからつけられた。
ひたちなか市は、勝田市と那珂湊市の合併で生まれた市で、旧国名の常陸と、両市が属していた那珂郡に由来する。「常陸那珂」と漢字にする案もあったが、書き方・読み方が難しくなることもあって、最終的にひらがなに落ちつくことになった。
「地理」の楽しみを知りつくしたメンバーのみによって構成されている研究グループ。日本各地、世界各国を歩き、地図をひろげ、文献にあたり…といった作業を通じて、「地理」に関する様々な謎と秘密を掘り起こすことを無上の喜びとしている。