「いただく」の使いすぎはかえって失礼! 残念な敬語の使い方

最近は、相手に失礼があってはいけないと過剰に思うあまり、電話で「いただく」を多用しすぎているケースが目立ちます。謙譲語と尊敬語、丁寧語はどう使い分けるべきなのか? 残念な言い方を例に探っていきます。

「お休みをいただいております」は2つの点で間違い

昔、若手社員は3コール以内に電話をとるのが当たり前でしたが、電話を苦手とする若者が増えています。その理由の一つにスマホの普及があります。

SNSやチャットなどの文字をメインにしたコミュニケーションが主流となり、家の固定電話をほとんど使わなくなったため、かけてきた相手がわからない電話に対してかなりの苦手意識を持っているのです。

しかし、スマホやパソコンが普及したとはいえ、現在もビジネスでは電話はメインのコミュニケーション・ツールの一つ。正しい電話の使い方を身につけることはどの世代にとっても重要なことだといえます。

たとえば、取引先から休暇中の同僚に電話がかかってきたとき、「○○は本日お休みをいただいております」などの表現を使っていないでしょうか。このフレーズは厳密に言うと、次の2つの点で間違っています。

まず、「お休み」という表現について、これは身内である自社の人間に対して、丁寧語を使っていることになります。本来、社外の人に使う敬語では、身内のことは謙遜するべきなので、休みに対して「お」をつけるのは間違いです。

 

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「お休みをいただいております」という表現には、間違っている箇所が2つあります。特に謙遜表現は誤用しがちなので要注意

また、「いただく」は「もらう」という言葉の敬語表現です。この場合、休みは取引先から「もらう」ものではなく、本来、自分で取るもの。少なくとも、取引先に「もらう」「いただく」という表現には、自分の動作につけると謙譲語になるという特徴もあります。たとえば「見る」という動作に「いただく」をつけて「見せていただく」とするだけで敬語表現になるので、便利に使えるわけです。

「いただく」をつけすぎないためのポイント

ただし、この便利さ故に、最近は使いすぎる傾向があり、特に敬語に慣れていない若い世代は注意が必要です。この「いただく」を使いすぎると、非常に回りくどい表現になってしまいます。

たとえば、「ご指定いただいた日程を見させていただきました。これから調整させていただきたいので、改めて連絡させていただきます」のような「いただく」を多用した言い回しをする人が増えています。

「いただく」を使うのは、相手に感謝を伝える際です。「頂戴した」「(~して)くれた」ときにだけ加え、自分の行動を謙譲表現するのに付けるのは避けます。

先述の文章なら、相手の行動は「日程を指定した」ことだけですので、この部分のみに「いただく」を加えて感謝のニュアンスを込めるわけです。先ほどの文面を、「ご指定いただいた日程を拝見しました。これから調整し、改めてご連絡いたします」でスッキリします。

このように、「いただく」をつけすぎずに謙譲表現をするポイントはもともと謙譲表現である単語を使うこと。「見る」は「拝見する」、「行く」は「伺う」、「言う」は「申し上げる」など、謙譲表現の単語をサラリと使いこなせるようになると、わざわざ「いただく」という謙譲を使う必要がありません。

注意点は、謙譲表現の単語を使って、さらに「いただく」を付け加えないこと。たとえば「伺わせていただきます」という表現は、「伺う」だけで謙譲語なのに、さらに「いただく」をつけてしまっています。

これは二重敬語といってNG。回りくどいのはもちろんですが、場合によっては慇懃無礼に映ってしまいます。

他にも、自分の行動を表す言葉なら、「いただく」を「いたします」と言い換える方法もあります。「購入させていただきます」は「購入いたします」、「検討させていただきます」は「検討いたします」です。

せっかく良かれと思ってやっても、自分の行為がマナー違反だと気づいていなければもったいないことです。裏で、「あの人良い人なんだけど、残念だよね」などと言われないよう、自分の言葉や行為をふり返ってみてはいかがでしょうか。

 

 

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