コアラのBL報告書!? ドキッとする「業界用語」10選

「BL」「半殺し」「シャブ」……。一瞬ドキッとするような言葉も、業界によっては別の意味として当たり前のように使われていることがあります。いったいどんな意味があるのか、想像しながら業界特有の言葉を楽しんでみてください。

どんな意味でしょうか?

以下の言葉の意味をあなたは知っていますか?(それぞれの単語をクリックすると、読みと解説が表示されます)

動物飼育員には「コアラの "BL”報告書」を作る仕事がある
解説

めくるめく禁断の世界? そう、一般的に「BL」は、「ボーイズラブ (Boys Love)」の略称として使われています。

ですが、動物園の飼育員さんが「BL」と口にするときは、意味が違います。オス同士でなく、オスとメスのペアであることが必須なのです。

動物園用語で 「BL」とは、しっかりと子孫繁栄!「ブリーディングローン (Bleeding Loan)」の略称。 動物の所有権はキープしつつ、繁殖させるために、動物園同士で動物を貸し借りすること。

だから、動物園のスタッフルームには、「BL関係」というファイルや「BL報告書」があってしかるべきなのです。

「お好みは”半殺し”?」と たずねる和菓子屋
解説

田舎の宿屋に泊まった夜、客は主人たちの恐ろしい会話を耳にします。

「明日の朝は、皆殺しにするかい? それと も半殺しかねえ」

こうして「半殺し」なんて言葉を聞くと、「ひどい暴行を受けてしまうの?」とこわい想像をしてしまいます。でもじつは、怪談ではありません。

料理用語で 「半殺し」とはもち米を使った和菓子(おはぎなど)を、粒を残した状態で仕上げること。

「皆殺しか、半殺しか?」 と話していた宿屋の主人は、おいしいおはぎで客人をもてなそうとしていた......という心あたたまる昔話なのでした。

ちなみに「皆殺し」は、もち米の粒を残さない仕上げ方です。

土木現場では、あのシャブはもちろん「シャブ」いのもNG
解説

工事現場で親方が叫んでいます。

「こら、新人! これじゃシャブいだろうが!」

そこに通りかかったご近所のミセス。

「シャブですって? 覚せい剤の話を真昼間 から大声で。うちには小さい子もいるのに心配だわ〜」と、ずいぶん不安そうですが......。

建築・土木用語の 「シャブ」とは 水気が多い、ゆるい状態のこと。

工事現場の親方が見つめていたのは、コンクリートの撹拌機。どうやら新人 「君はまだ作業に慣れず、水を多めに加えてしまったため「シャブ」になってしまったようです。

もちろん、ご近所のミセスの心配はまったくの杞憂でした。ほかにも、塗料に対して溶剤が多いときも「シャブい」と表現します。

半導体の研究室では 「ドーピング」が欠かせない
解説

国際大会やオリンピックの会場で、「○○っていう選手がドーピングした」なんて声が聞こえてきたら、その場の空気が凍りつくこと必至です。

なにせ「ドーピング」は、運動能力を高める目的で薬物を不正使用すること。スポーツマンシップに著しく欠ける不正行為ですから。

それなのに、半導体の研究室では......!?

工学用語の「ドーピング」とは、結晶の性質を変化させるために、微量の不純物を添加すること。とくに半導体研究で欠かせない作業なのだとか。

スポーツ界の「ドーピング」がルール違反である一方、こちら工業界の 「ドーピング」は、むしろ、時には積極的におこなうものなのです。

できる開発者は、五感ビンビンで「官能検査」に臨む
解説

「官能検査をお願いします」と言われたら、「え! じ、自信ないなあ」ドキドキ...。

大丈夫です! ここで言う「官能検査」は、統計用語や心理用語に分類されるもの。妄想をかきたてる秘めごとではなく、新製品開発に欠かせないまっとうな評価ですから。

統計用語の「官能検査」とはある製品に対して、人の五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)の反応を測定して分析、評価すること。

たとえば、食品や化粧品、工業製品などを、実際に人が見る、音を聞く、かぐ、味わう、触れるなどして評価します。「甘い香りが好感度高め」「塩味が足りないという反応が多い」となれば、その方向で製品の改良をおこなうわけです。

ガラス職人は明るい場でも「ハメ殺し」する
解説

えっ......反社会的勢力の隠語? 実際に行為に及べば無期懲役とか?「ハメ殺し」という言葉を一般人が耳にすると、夜の闇が支配する世界のアブない専門用語にも思えます。

ところがガラス職人さんに言わせると、その闇が一転! 急に明るい話に変わります。

建築用語の「ハメ殺し」とは、窓の一種。窓枠やサッシ枠にガラスをはめ込み、固定した窓のこと。

ここでの「殺し」は動きを止めることを意味し、「ハメ殺し」は、はめ込んで開け閉めができない窓、というわけです。

一般家庭でも、高い位置にある天窓や、吹き抜け上部などの明かり取り用に「ハメ殺し」を設置するなど、よく見られるタイプの窓です。

手芸作家は、繊細なレースも 容赦なく「叩く」!
解説

令和の世で「叩く」ことは、親子間、夫婦間、教師と生徒、仕事仲間、どんな間柄でも絶対ダメな行為。「暴力撲滅!」は善良な市民の共通の願いです。

なのに、洋裁教室の先生は「しっかり叩いて!」と指導しているなんて!?

カタカタカタカタ......。ミシンで布を縫うと、音をたてながら、針が上下に動きます。その様子から「ミシンで布を縫うこと」を「叩く」と言うようになりました。

レースやリボンの上からミシンをかけることも「叩く」です。

ちなみに、手縫いは「叩く」と言いません。ミシンの力強い機械の動きだからこそ、「叩く」なのです。

呼吸器科医の心配ごとは 「ブラ」のサイズと苦しさの有無
解説

「《ブラ》なんですけど......」と女性が上目遣いにつぶやくと、一般市民の大多数はちょっと驚きつつ、「(女性用下着の)ブラジャーが、どうかした?」と応えるはず。 ところが、呼吸器の専門医の場合は違います。

「ブラ? 大きいの? 苦しい?」

医学用語の「ブラ」とはもちろん、女性用下着のことではありません。医師の言う「ブラ」とは、 肺の内部に異常な量の空気がたまってできた、空洞状の病変。つまり、肺疾患の一種なのです。

無症状なことも多いのですが、ブラが大きくなると呼吸困難を起こすことも。だから、「大きいの?((呼吸が)苦しい?」と、呼吸器の専門医は開口一番、尋ねたわけです。

特許業界には、平和で理性的な 「クレーム」がいっぱい
解説

しつこい苦情が続くと、「もう勘弁して!」「いい加減やめて!」と言いたくなります。さらに、上司から「クレーム、どうなった?」と言われようものなら、へきえきしますよね。

でも、特許や知的財産管理に関する職場なら、事情が異なりますから、ご安心を。

特許用語の 「クレーム」とは 特許の権利範囲を定める基準になる「特許請求の範囲」という文書のこと。

たとえば何か新しい発明をして特許 (権利保護)を受けたい、というとき、 出願人がどこからどこまでの範囲を保護されるのかを、はっきりと指定することになります。その際に必要となる事項を記載したのが、「クレーム」です。

給食センターには 「汚染作業区域」が必須
解説

一般には、「汚染」と聞くと、細菌やほこりなどですごく汚れていて不潔......というイ メージがあります。

当然、学校給食をまとめて調理する「給食センター」は、清潔第一のはず。そんな場所に「汚染作業区域」があるって、本当でしょうか?

学校給食用語の 「汚染作業区域」とは 肉や魚、野菜などの食品保存、皮むき、洗浄といった下処理などをおこなう場所。なので給食センターには、「汚染作業区域」がぜったい必要なのです。

ちなみに「非汚染作業区域」もあって、食品を切る、煮る、揚げるなどの調理がおこなわれ、「汚染作業区域」とはきっちり分けられています。

 

PROFILE
日本語研究会

よく耳にする気になる言葉や表現をとことん追究している日本語研究グループ。