いよいよ中学受験! 直前期に勉強を増やすのは逆効果でしかない

勉強する子ども

直前期には一日のほとんどの時間を勉強に費やさなければならいないほど過酷な中学受験。「算数のあの解き方を復習しなきゃ」「理科や社会の暗記物はこれからが本番」「過去問もこなしておきたい」と、しなければならないことが山のように出てくるものです。でも、そこには直前期ならではの落とし穴もあります。5,000組の家庭を見てきたカリスマ塾ソムリエの西村則康先生に教えてもらいましょう。

入試前最後の模試で成績が下がったら……

中学受験の勉強で、初めから最後まで順調な子はほとんどいません。6年生の夏まで上昇していたのに、9月に成績が落ちてしまうというのはよくあるケースです。ですから、一時的に成績が下がってしまっても悲観することはありません。

ところが、6年生の12月に実施される最後の模試で成績が下がってしまう子がいます。すると親も子もショックが大きく、「このままでは、もうどこにも受からないかも……」と気持ちが悪い方へどんどん向かってしまいます。でも、ここであきらめてはいけません。

入試直前期に勉強をサボっている子などいないはずで、みんな毎日一生懸命に勉強しています。それにもかかわらず成績が落ちてしまうのには、何か大きな原因があるはずです。

11月までは順調だったのに12月の模試で成績が一気に下がってしまったという場合は、勉強のやり方を見失っているということが考えられます。あれも、これもやらなければならないと思い込んで、冷静さを失っていることが原因かもしれませんし、「今さらやっても」とあきらめの気持ちを持ち始めてしまったのかもしれません。そのまま入試本番に突入したら、いい結果になるはずがないような状態です。

そういう場合は、勇気を持ってこれまでのレールから降りてみることも大切です。冬期講習は受けずに、家でじっくり過去問の振り返りをしたり、理科や社会の暗記に思い切り時間をかけたり、毎日4教科1年分の過去問を気持ちに余裕を持って解いてみたり……。子どもの状態に応じて、やる方法はいろいろあります。

また、冬期講習を受けずに、一対一の個別指導か家庭教師についてもらうことも選択肢に入れておいてください。ただし、教科の内容を教えるだけではなく、コーチングの技術や子どもを前向きにできるスキルも必要ですし、親の関わり方までアドバイスする技量のある講師を見つけることができたら、という難しい条件がつきます。

中学受験はまだ子どもが幼いぶん、子どものメンタルで合否が左右することがあります。特に男の子は、朝お母さんとケンカをしただけで、その日ずっと絶不調になってしまうことがあります。女の子は案外さらりと流せますが、男の子は後々まで尾を引いてしまう。メンタル面で言うと男の子の方が弱い印象です。

12月の最後の模試で成績が下がってしまったら、親御さんも不安になるでしょう。でも、子どもの前では決してそんなそぶりは見せず、笑顔で励ましてあげてください。

この時期は「がんばれ!」と叱咤激励するより、「毎日がんばっているね」「お母さん、あなたが今までずっとがんばってきたこと知っているよ。だから、大丈夫」と、日々のがんばりを認めてあげてください。それが、子どもにとっては、何よりの励ましです。

勉強時間を増やすのはかえって逆効果

直前期になると「できていないもの」が気になるものです。応用問題が解けないと、「応用問題が解けないのは基礎が理解できていないからだ」と考え、基礎をやらせると新たにわからないところが出てきて、さらに基礎を掘り下げていく親御さんがいます。

基礎になればなるほどすそ野が広がり、やるべき量がどんどん増えてしまいます。その結果、膨大な量の勉強を強制してしまうことになるのです。

基礎が大事というのは間違いではありません。応用問題というのは、基礎を土台にしたピラミッドの頂点にあり、基礎が理解できていなければ当然解くことができません。

しかし、直前期に基礎の基礎まで掘り下げてしまうと、子どもはその大量学習に疲れてしまい、集中力を維持できなくなってしまいます。その結果、成績は伸びず、自信を失ってしまうという悪循環になりかねません。

直前期に深追いは禁物です。必要なレベルができるようになったらよしとして、親御さんは「もし、もっと難しい問題が出たらどうしよう」とか、「もっとひねった問題が出たらどうしよう」という気持ちを抑えてください。

その問題が解けなくても、4教科の合計点が達していれば合格するのですから。点数を上げやすいところから勉強させるようにしてください。

中学受験では、みんな何かしらの弱点を残したまま本番に臨むことになるのです。そう考えれば、少しくらい苦手分野があっても気にはならないはずです。

また、難関校では後半にものすごく面倒な問題が出ることがあります。そういう問題は、比較的簡単な(1)だけを解いて、(2)以降は「捨てる」という選択もありです。

その代わり、得点がとれるところを絶対に落としてはいけません。得意分野と正解率が高い基本問題を絶対にミスしないことが大切です。

でも、得意分野の問題ほど本番でミスをするとダメージが大きくなります。得意な問題や簡単そうな問題を見ると、子どもは先を急ぎがちになり、それがミスを誘います。しかし、この「わかる問題」こそ慎重にとり組み、確実に点数をとる必要があるのです。

合格するためには戦略も必要です。「テスト用紙が配られたら、まずどこを見るか?」「どの問題から先に解いていくか?」など、自分なりの戦略が立てられるとなおいいですね。試験中は緊張が高まり、どんなに心が強い子でもいつも通りにはいかないので、本番であわてることがないよう、自分なりのルールをつくっておくのです。

本番に弱い子のメンタルケア

大人でも、試験や発表会などの結果が問われるときは緊張するものです。小学生の子どもにはおそらく初めての体験でしょうから、当日どのような状態になるのか、親も本人もまったく予想がつきません。

いつも元気でプレッシャーなんて感じないような子が、受験当日に震え出してしまったり、模試では緊張して実力を発揮できなかった子が、当日は突然肝が据わって堂々と試験を受けてきたり……。私の教え子にもいろいろな子がいました。

入試日が近づくと、私は教え子たちにやるようにすすめていることがあります。それは、入試前日までに数回、当日の自分をイメージさせるのです。

例えばこんな感じです。当日の朝、ベッドで目覚める自分。顔を洗って、朝食を食べる自分。そのときの家族の会話や表情。家を出たときの外の空気と空の色。駅まで歩き、混雑した電車で最寄り駅から学校に向かう自分。そのときのお母さんとの会話。

校門で待っている塾の先生たちとまわりの受験生の顔。そのときの雰囲気、まわりから聞こえてくる会話。付き添いのお母さんと別れ、試験会場に入り、トイレに行く自分。席に座って、筆箱から鉛筆と消しゴムを出す自分。そこに書いてあるおまじないをじーっと見つめる自分。1回大きく深呼吸。

試験開始の時間になり、問題用紙が配られる音。「はい、始め!」という合図を聞き、受験番号と名前を書く自分。まわりから聞こえてくる鉛筆の音。ここでもう一度、大きく深呼吸。問題にひと通り目を通し、どこからとりかかるかを考えるのに30秒。「さぁ、やるぞ!」と集中して解き始める自分──。

こうやって、その日の自分の行動をこと細かにイメージしておくと、当日も案外落ち着いて行動できるものです。

もしそれをせずに当日を迎えたら、受験会場の最寄り駅でたくさんの受験生を見ただけで動揺してしまうかもしれませんし、入試当日のお決まりの絵になっている〝塾の見送り〟もかえってプレッシャーに感じてしまうかもしれません。

でも、前日までに何度もイメージトレーニングしていれば、「そうそう、こんな感じ」と一歩引いて見ることができます。そして、「いよいよ本番を迎えるんだな」と身が引き締まり、気持ちをオンに切り替えることができます。

 

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PROFILE
西村則康

30年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から、「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイス。これまで開成中、麻布中、武蔵中、桜蔭中、女子学院中、雙葉中、灘中、洛南高附属中、東大寺学園中などの最難関校に2500人以上を合格させてきた実績を持つ。テレビや教育雑誌、新聞でも積極的に情報発信を行っており、保護者の悩みに誠実に回答する姿勢から熱い支持を集めている。また、中学受験情報サイト『かしこい塾の使い方』は16万人のお母さんが参考にしている。

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