子どもが塾に行きたがらない…中学受験をやめるべき3つのケース

ふさぎ込む子ども

それまで楽しそうに塾に通っていたのに、あるときから急に塾に行くのをイヤがるようになってしまった……。たしかに今の時代の中学受験は大変そうだし、毎日勉強ばかりでつらいのもわかる。でも、今ここでやめるわけには……。このように悩んでしまう人は多くいるはずです。では、受験をする、しないはどこで判断すべきでしょうか? カリスマ塾ソムリエの西村則康先生にうかがいました。

子どもは先を見通すことができない

5年生の夏休みをすぎると、「子どもが塾に行こうとしません……どうしたらいいでしょう?」という相談を受けることがあります。たとえどんなに優秀な子どもでも、中学受験の勉強に費やす3年の間に気持ちの浮き沈みはあるもの。ですから、子どもの「今日は行きたくない」の一言に過剰な反応をする必要はありませんが、それが頻繁に続いたり表情に表れたりするようになったら要注意です。

塾に行きたがらない子どもは、いくつかのサインを出します。ここによくあるケースの3つを挙げておきましょう。

塾に行くふりをして行かない

塾に行く支度をして家を出るものの、友だちの家に遊びに行ってしまったりするケース。親の過剰な期待を感じていたり、親のスキのなさすぎるコントロールに息苦しさを感じたりして、一時的にその場から逃げ出してしまうことが子どもにはありがちです。

中学受験の勉強は、5年生からさらにレベルが上がり、ハードになります。親が強制して塾に戻したとしても、結局はもっと深刻な形で問題が噴出することになるかもしれません。学習量と勉強方法の見直し、中学受験についての家族全員の共通理解を得るチャンスがきたととらえるべきなのかもしれません。

このまま中学受験に向かって突っ走らせることのデメリットがメリットより大きいと判断できる場合は、「中学受験から高校受験に目標を変更する」という選択もありだと思います。

子どもの表情が暗い

4年生まではなんとかやってこられた中学受験の勉強。でも、5年生になって学習内容が急に難しくなり、宿題の量も増えます。「今の段階でもこんな大変なのに、この生活があと1年以上も続くなんて……」。そんな気持ちが表情に表れます。

大人と違って子どもは先を見通すことができません。そのため、1年先の受験に向かってがんばれ!と言っても、何をがんばっていいのかわかりません。子どものモチベーションを上げていくには、少しがんばれば達成できそうな小さな目標を設定し、それを一つひとつ乗り越えていくことで、「自分はやればできるんだ!」という気持ちにさせること。

子どもは、「その一日の勉強が永遠に終わりそうにない」と感じると、とたんにやる気を失います。それが毎日続くと、受験勉強に対して強い負担を感じてしまいます。ここでも大切なのは、優先順位をつけて取捨選択することです。

そして、一日の学習量を「ちょっとがんばればなんとかなりそう」と思えるように調節し、予定を終えた時の爽快感を味わえるようにしてあげてください。この、小さな成功体験が子どものやる気を取り戻します。

身体に症状が表れる

受験勉強がつらい……塾に行きたくない……。その気持ちがもっと深刻になってくると、身体に症状が現れてきます。男の子に多いのが胃潰瘍、女の子に多いのが円形脱毛症です。女の子の場合、自分で気がつかないうちに髪が抜け落ちていることもあります。

私にも経験があります。集団指導塾での授業後の掃除のとき、特定の場所だけ髪の毛が異様に多く落ちていたのです。すぐにお母さんに伝え、ストレスを軽減する対策を一緒に考えました。

中学受験は、まわりの大人の関わり方によっては子どもに過剰なストレスを与えてしまうことがあります。身体に影響が出るほどのストレスをかかえていることが判明したときは、一度立ち止まって考えてあげてください。

中学受験の勉強は長丁場。ほとんどの場合、気合いや根性だけで乗り越えることは不可能なのです。

挑戦する時期は今ではない可能性も

毎年、途中で中学受験をやめてしまう家庭は少なからずあります。その決断をする時期として最も多いのが5年生の終わりです。3年生の終わりから2年間続けてきた受験勉強。ここまでがんばったのだから、親としてはそう簡単にはあきらめがつかないでしょう。

でも、お子さんが今の状況を本当につらいと感じているのであれば、ここで一度冷静になって考えてみたほうがいいと思います。「中学受験をやめる」という選択肢を検討せざるをえないのは、例えばこのような状況でしょう。

  • 子どもが勉強嫌いになってしまった
  • 基礎学力の不足が表面化。授業にまったくついていけない
  • 親子関係が悪くなり、家庭内がめちゃくちゃになっている

このような状況が続くのは好ましくありません。中学受験は、わずか12歳の子どもが挑むものです。高校受験や大学受験であれば成長にばらつきがなくなってきますが、小学4年生〜6年生の子どもではまだ大きな個人差があります。ですから、中学受験で伸びる子もいれば、もっとあとで伸びる子もいます。

基礎学力が足りず、にっちもさっちもいかないのであれば、今は挑戦するときではなく、学力の基礎となる「読み・書き・そろばん」をしっかり身につけることが最優先だと割り切るという考え方もあります。それさえ確立できていれば、高校受験でリベンジをすることも十分に可能です。大事なのは、ここで勉強嫌いにさせないことです。

このような状況で悩んでいるご家庭では、それまでにいくつもの親子バトルがあったことでしょう。これまで献身的に支えてきたお母さんにとっては、つらい決断かもしれません。でも、一番心を痛めているのはお子さん自身です。

中学受験は長い人生の一部でしかない

中学受験でお子さんの人生が決まってしまうわけではありません。大人であればわかるでしょうが、長い人生で見れば中学受験はほんの通過点です。ですから、中学受験を途中でやめることに、大きな挫折を感じる必要はありません。

もしやめるという選択をする場合は、その先に希望が持てるやめ方をすることが大事です。例えば「今は受験勉強より大好きなサッカーをやりたい」というのであれば、それを思いきりやらせる。

でも、その先には高校受験が控えていること、そこで希望の高校に入るには、小学生の今のうちに基礎学力をしっかりつけておくことが大事であることを、親子できちんと話し合っておきましょう。

中学受験をやめるということは、子どもの将来の可能性を狭めるのではなく、経路を変えたにすぎません。親がそう納得し、それを言葉にしてあげましょう。

中学受験で得られるものはたくさんありますが、中学受験がすべてではありません。子どもの学習は、長い目で見ることが大切です。

 

seishun.jp

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PROFILE
西村則康

30年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から、「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイス。これまで開成中、麻布中、武蔵中、桜蔭中、女子学院中、雙葉中、灘中、洛南高附属中、東大寺学園中などの最難関校に2500人以上を合格させてきた実績を持つ。テレビや教育雑誌、新聞でも積極的に情報発信を行っており、保護者の悩みに誠実に回答する姿勢から熱い支持を集めている。また、中学受験情報サイト『かしこい塾の使い方』は16万人のお母さんが参考にしている。

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