老眼鏡は早めに使う?なるべく使わないで頑張る? よくある勘違い

老眼を認めない女性

「スマホ画面が見づらくなってきた」「本や新聞を読むときに、つい遠くに離してしまう」「少しでもまわりが暗くなると、ものが見えづらい」……。これらは明らかに、眼の老化=老眼の症状です。そうなったときの正しい対処方について、眼科医、アンチエイジングドクターの日比野佐和子先生に教えてもらいます。

あなたの老眼度をチェック!

老眼は、一般に40代以降から症状が出始め、いまや日本の老眼人口は約7000万人といわれています。つまり、日本人の2人に1人は老眼ということです。

あなたは大丈夫でしょうか? ぜひ、次の「老眼度チェック」を試してみてください。

【老眼度チェック】
□夕方になると、ものが見えづらくなる
□小さな文字が読みにくい
□活字を読むのがつらい
□携帯やスマホメールでの打ち間違いが増えた
□本や新聞を見るとき、少し遠ざけるとよく見える
□肩こりや頭痛を以前よりも強く感じるようになった
□長時間、細かい作業をするととても疲れる
□視界がかすみ、ぼやける
□明るさや暗さに対して、目が慣れるまでに時間がかかる
□遠近の急な動きに、ピントがなかなか合わない
□光や明かりがまぶしく感じる
□走っている車や電車の車体に書かれた文字が読み取れない
□歩いているときにものにぶつかったり、段差につまずきやすくなった
□眼鏡(近視用)を外したほうがよく見える

ここに挙げた項目がすべて老眼が原因とは限りませんが(ドライアイ、白内障や緑内障、加齢黄斑変性が原因のことも)、チェックの数が多いほど、目(眼)の老化が進んでいるといえるでしょう。

老眼鏡をかけて老眼が進むことはない

老眼の症状が出てきたら、多くの人が老眼鏡を使い始めるタイミングに迷うのではないでしょうか。

老眼鏡を使用すると、かえって老眼が進んでしまうと勘違いしている人が意外に多いのですが、これは間違いです。老眼の進行は、そんなことでは影響されません。

むしろ、老眼鏡を利用して今現在の「手元の見えづらさ」などの不快感を改善していくべきです。

実は目の調節力は、すでに20代から少しずつ右肩下がりに落ちていきます。

手元の文字を見るために必要な調節力に影響が出るのが、一般的には45歳前後になります。多くの人が、近くのものが見えづらくなったと自覚するのが、ちょうどこの時期というわけです。

そこから老眼の症状は加齢とともに進んでいき、白内障が完成するといわれている70歳くらいまで、進み続けるのです。

つまり、老眼を自覚し始めてから老眼鏡を使用しても、加齢によって老眼が進んでしまうことは避けられないのです。老眼鏡をかけたのに、さらに老眼が進行してしまったように感じるのは、こういうわけです。

実際は、老眼鏡をかけたことで老眼が進むわけではありませんから、日常生活を快適に過ごすための一つのツールとして、老眼鏡は積極的に利用すべきでしょう。

「何を見ることが多いか」で判断する

老眼鏡には大きく分けて二つのタイプがあります。「単焦点レンズ」(老眼の「近見用」に合わせたもの)と、「多焦点レンズ」(1枚のレンズで複数のピントに合わせられるもの)です。

さらに多焦点レンズの中には、「2重焦点レンズ」(二つのピントに合わせられる)、「3重焦点レンズ」(三つのピントに合わせられる)、「累進多焦点レンズ」(遠用から近用まで、だんだんピントを合わせられる)の三種類があります。

どのタイプにも一長一短がありますが、「自分はまず何を見ることが多いか」「日常生活をどのように送りたいか」を考えて選ぶのがポイントです。

仕事で近くのものを見ることが多いのか、遠くも見えたほうがいいのか。また、遠くを見る際には眼鏡を取り外すなど、手間がかかってもいいのかどうか、などでしょう。

あくまで一般論になりますが、デスクワークや読書などを長時間にわたって行う場合、一定の距離の作業が続くため、単焦点近用眼鏡が適しています。

遠近を使用したい場合は、遠用5メートルで近用40センチの収差分散型がおすすめです。書類とパソコン作業が多い場合は、近々(画面用50センチ、手元用30センチ)、中近(中を1メートル、近を40センチ)の累進屈折力レンズもいいでしょう。

老眼鏡に完璧なものはありませんが、自分にとってベストなものを選ぶことが大切です。

「老眼用のコンタクトレンズ」もある

普段から眼鏡をしている人が老眼鏡を作る場合はさほど抵抗がないと思いますが、長い間コンタクトレンズを着けてきた人にとっては、眼鏡をかけることに抵抗があるでしょう。

少々ややこしいのが、近視用のコンタクトレンズをしている人の場合です。軽度の近視の人の場合は、裸眼でちょうど近くがよく見えるようになる場合もあり、老眼鏡がいるのかいらないのか、よくわからない状態になる人もいます。

この場合は、いくつかの選択肢が出てきます。

①コンタクトレンズをしたまま、近くを見るときだけ老眼鏡をかける

②コンタクトレンズをやめて、遠近両用の眼鏡などにしてしまう

③老眼用のコンタクトレンズにする

老眼用のコンタクトレンズとは、遠近両用のコンタクトレンズのことを指します。

今は、さまざまなタイプのものがありますが、通常のコンタクトレンズと同じように、ハードタイプとソフトタイプに分かれています。また、手入れが面倒な人には、一日使い捨てタイプの遠近両用のソフトコンタクトレンズも出ています。好みや生活スタイルによって、実際に試してみるといいでしょう。

ただし、コンタクトレンズは老眼鏡のように簡単に取り外しができません。また、慣れるまでにも時間がかかる人もいます。使い勝手としては老眼鏡のほうがいいという人のほうが多い印象です。

いずれにしても、自己判断はせずに眼科を受診して十分に相談することが重要です。

 

PROFILE
日比野佐和子

医療法人再生未来Rサイエンスクリニック広尾院長、大阪大学医学部大学院医学系研究科特任准教授、医学博士。内科医、皮膚科医、眼科医、アンチエイジングドクター(日本抗加齢医学会専門医)。大阪大学医学部大学院医学系研究科博士課程修了。アンチエイジング医療のエキスパートとして各メディアで活躍中。

PROFILE
林田康隆

日本眼科学会認定眼科専門医、Rサイエンスクリニック広尾副院長、医療法人和康会林田クリニック理事、医学博士。大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了。現在はおもに大阪で難治性白内障等の手術に取り組むかたわら、東京でも診療にあたり、メディアでも活躍中。