子どものころの感動よふたたび! 洋書で味わうレオ・レオニの世界

英語を習得するには、たくさんの英文に触れて英語に慣れることが必要ですが、「勉強」となると気がひけるという人も多いでしょう。そんな人にぴったりなのが、親しみやすく読みやすい洋書の絵本にトライすること。「Asahi Weekly」紙上で洋書に関する記事を連載中の神戸学院大学講師・林剛司先生に、ポイント解説を交えつつ、おすすめを紹介していただきました。

日本人に馴染みやすいLeo Lionniの絵本

皆さんをLeo Lionni(レオ・レオニ 1910-1999)の絵本の世界へご案内します。Lionniはオランダに生まれ、1939年にアメリカに渡ります。1959年、Little Blue and Little Yellow(『あおくんときいろちゃん』)を出版し、絵本作家としてデビューしました。

それ以来、40冊以上に及ぶ絵本を出版しました。Inch by Inch、Swimmy(『スイミー』)、Frederick、Alexander and the Wind-Up Mouseの4作でアメリカにおける児童書の賞であるCaldecott Honor(コールデコット賞)を受賞しています。

ほとんどすべての作品が日本語翻訳されており、日本の小学校の国語教科書においても何度か作品が紹介されていることから、日本人にも馴染みのある絵本作家です。

ここでは2冊ご紹介しますが、1冊目のAlexander and the Wind-Up Mouseは、Step into Readingというアメリカの児童向けLeveled Readers(学習絵本)のシリーズに入っています。

このシリーズはカラフルなイラストと大きめの活字が特徴で、Level 1から5まで5段階に分かれています。Alexander and the Wind-Up MouseはLevel 3です。

 

表紙に2匹のネズミが描かれています。Alexanderがreal mouse、そして片方は「ぜんまい仕掛け」の玩具のネズミです。もし、皆さんの家にネズミが現れたら、どうしますか?

“Help! Help! A mouse!” There was a scream. Then a crash. Cups, saucers, and spoons were flying in all directions.”(p.4)

Alexanderはこのようにいつも人間に見つかると、物を投げつけられ、ほうきで追い払われることになります。

ある日、誰もいない家の中で、Alexanderはsqueakを聞きます。squeakは「(ネズミの)チューという鳴き声、(ドア・床板などの)キーという音、(人の)キャッという声」というような意味の語です。ここでAlexanderが聞いたのは、別のネズミのsqueakだったのです。

しかしordinary mouseではありません。“I am Willy the wind-up mouse, Annie’s favorite toy. […] Everyone loves me.”(p.10)

Annieのお気に入りのぜんまい仕掛けのネズミWillyはみんなに好かれていると聞き、“They don’t care much for me,” said Alexander sadly.(p.10)

care for~はこのように主に否定文で用いられ(notと一緒に)「~が好きではない」という意味になります。

Alexanderは、Willyのようにみんなに好かれるネズミになりたいなぁと思うようになります。

ある日、Willyから不思議な力を持つLizardの話を聞くAlexander。そのLizardにお願いすれば、自分をwind-up mouseに変えてくれるかもしれないと思い、AlexanderはLizardに会いに行きます。

しかし結末は、Alexanderの優しさに触れることができる意外な内容です。楽しみに読み進めてください。

絵本だから、わからない単語があっても推測できる

Leo Lionniの絵本の多くが日本でも刊行されるなか、谷川俊太郎さんによる『スイミー―ちいさなかしこいさかなのはなし』という翻訳が出版されています。

また、この作品は日本の小学校の国語教科書に収録されたこともあり、日本でも馴染みのある作品ではないでしょうか。これをLionniの代表作であると評する人も多いです。

ストーリーは、Swimmyの紹介から始まります。

A happy school of little fish lived in a corner of the sea somewhere. They were all red. Only one of them was as black as a mussel shell. He swam faster than his brothers and sisters. His name was Swimmy.

ここで使われているschoolは「学校」ではなく、魚などの「群れ」という意味です。例えばa school of sardinesで「イワシの群れ」。小さな魚の群れ。みんな赤いのにSwimmyだけは黒いのです。

ある日、tuna fishが現れて、この小さな魚の群れは逃げ惑います。しかし、In one gulp he swallowed all the little red fish. Only Swimmy escaped.小さな魚たちはみんなtuna fishに飲み込まれてしまい、泳ぎが得意だったSwimmyだけが助かりました。

He was scared, lonely and very sad. 兄弟仲間をすべて失ったSwimmyは、孤独と悲しみの中、大きな海を一人で泳いで行きます。

そんな旅の道中(ではなく水中!)で、様々な海の生物に出会います。これらの生物はとても綺麗な絵とともに紹介されていますので、少しくらいわからない単語があっても推測が充分可能です。

こうして進んでいくと、Then, hidden in the dark shade of rocks and weeds, he saw a school of little fish, just like his own. 彼のbrothers and sistersを彷彿とさせるような小さな、しかも赤い魚の群れに遭遇します。

Swimmyは話しかけますが、その小さな魚たちは、大きな魚に食べられてしまうのを恐れてずっと岩陰に隠れているのだと言います。

そこでSwimmyは1つ提案をします。そうやってみんなで泳いで行けば怖くはないよ、と。Swimmyは魚たちを率いて海の冒険を続けます。

Swimmyの指導通り、そしてSwimmyだけが黒色であったことで、無事にみんなで海を泳ぎ進むことができました。

その辺りの事情が、Lionniの素晴らしい、壮大な絵とともにわかってくると、胸が熱くなります。

 

PROFILE
林剛司

神戸学院大学講師(英語、英語教育、英米文学)。中高や高専、大学教員、米国音楽雑誌の翻訳者を経て現職。英語の多読に関する解説や論文多数。英米ロック、ポップスの歌詞の正確な解釈と対訳に定評がある。著書に『英語は「多読」中心でうまくいく!』(ごま書房)、『楽しい英語「多読」入門』(丸善プラネット)、『今日から!英語読書 英米児童書からはじめよう』(リトル・ガリヴァー)、『「受験英語」でシャーロック―“The Adventure of the Speckled Band”を読む』(デザインエッグ社)がある。2015年よりAsahi Weekly(朝日新聞社)紙上にて連載「放課後ブッククラブ」を執筆。

中学英語から始める 洋書の世界

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  • 作者:林 剛司
  • 発売日: 2020/10/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)