マダガスカル島の奇岩群は、どうやってできた?
アフリカ大陸の南東、インド洋に浮かぶマダガスカル島。この島は、固有の動物や植物がたくさん生息していることで知られている。なかでも、世界最小の霊長類であるコビトキツネザルや、サルの仲間でも原始的なグループに属するインドリなどが有名だ。
しかし、この島の西部には、「動物の住めない土地」と呼ばれる世界遺産がある。1990年、文化遺産に登録された 「ツィンギ・デ・ベマラハ厳正自然保護区」である。
そこには、カミソリの刃のように鋭く尖った岩が、数十キロに渡って林立している。なかには、高さ300メートルにも達する岩もあり、どんな動物も常住することはできないといわれる。以前、ここを歩いて渡ろうとした冒険家がいたが、 鋭い岩肌に悪戦苦闘したあげく、引き返さざるを得なかった。
そもそも、マダガスカル島は、かつて、 南半球を中心に広がっていたゴンドワナ大陸の一部だったが、約1億6000万年前、大陸が分裂して、大陸から切り離された。
ちょうどその頃から、石灰石でできたカルスト台地が雨や川の流れによって侵食されはじめ、長い年月を経て、現在のような奇岩群となった。ここでは、雨が降っても、岩と岩とのめ隙間に吸収されるため、植物は、乾燥に強い特殊な種類のものしか生きることはできない。「自生しているのは、石灰岩の亀裂に根を張る灌木類のほか、幹に水を貯めることのできるバオバブの木、葉や茎に水を 貯えられるアロエなどだけである。
なぜ砂漠の中にあるタッシリ・ ナジェールの岩絵に魚の絵がある?
「タッシリ・ナジェール」は、アルジェリア南東部のサハラ砂漠にある山脈のこと。約500キロにわたって続き、最高到達点は標高2158メートルとなっている。
この山脈はほとんどが砂岩で形成され、長い年月を経て侵食された結果、300の自然石のアーチなど、独特の景観を生み出している。また、この山脈の岩肌からは、2万点に及ぶ動物画や人物画が発見されている。 調査によって、それらの岩絵は、中石器時代から紀元頃まで、数千年にわたって描きつづけられ、時代によって、描かれるテーマが変わっていることも明らか になっている。最古の中石器時代の岩絵には、ゾウやカバ、サイ、キリン、バイソンなどが描かれ、次の時代には、狩猟する人間の絵が加わる。
紀元前1500年頃になると、放牧中や飼育中のウシが盛んに登場するようになる。その頃、この地の人々は、ウシを飼いはじめたようで、さらに時代が下ると、ウマに二輪車を引かせた絵などが登場し、その後はラクダの絵が多くなる。
また、岩絵には、舟や魚の絵もあることから、かつてのサハラ砂漠一帯は、水が豊かに流れ、緑にも恵まれた大地で、草食動物の天下だったことがはっきりと読みとれる。というわけで、タッシリ・ ナジェールの岩絵は、アフリカの先史時代を知る貴重な資料となっている。
ローマ軍が破壊しつくしたカルタゴに何が残っている?
古代カルタゴは、紀元前9世紀頃、フェニキア人によって建設された都市。現在のチュニジア共和国の首都チュニスの近く、チュニス湖の東岸にある。
フェニキア人は、商才と航海術に長け、アルファベットの原型を考案したことで知られる。
しかし、彼らが地中海の覇権を握っていたことから、新興国のローマと対立。結局、ローマとの二度にわたるポエニ戦争に敗れ、カルタゴの街は徹底的に破壊された。
さらに、その後は、ローマの植民地として、都市建設が行われたので、古代カルタゴの遺跡といっても、現在まで残るのは、トフェの墓地、ポエニ街、軍港跡ぐらいである。
そのうち、軍港跡は、現在では、池のような静かな水面に、岸辺に建つ現代の建物が姿を映すというのどかな風景が広がるばかりで、古代の繁栄をしのばせるものは何も残っていない。
複雑な迷路都市・フェズが生まれた経緯とは?
フェズは、カサブランカ、ラバト(首都)につぐモロッコ第三の都市。8~9世紀に栄えたモロッコ最古の王都でもある。現在も、往時をしのばせる旧市街が残り、宗教や学問面で特別の役割を果たしている。街の特徴は、何といってもアルジェのカスバ以上ともいわれる巨大迷路のような街並みである。
旧市街の範囲は、東西2.2キロ、南北1.2キロ。近くの丘から眺めても、道路がまったく見えないほど建物が密集している。
しかも、狭い道が複雑に入り組み、その一部は車やバイクも通れない。曲がり角や分岐点、さらに袋小路も多く、世界一複雑な迷宮都市と呼ばれている。
フェズの旧市街が、世にも珍しい“迷路都市"となったのも、外敵の脅威が絶なかったからと考えられている。
地中海の西端に位置していたので、フェズは、昔から中近東やスペインのアンダルシア地方との貿易の重要な拠点だった。しかし、地中海から近いために、しばしば外敵の侵入、略奪を許した。そこで、住民や財産を守るため、居住民だけが自由に通行できるような複雑な街路が造られたと考えられている。
アフリカの地名に、 やたらと「濁音」が多いのは?
アフリカの地名には、やたらと「濁音」が多いという特徴がある。
たとえば、首都名では、ガンビアの 「バンジュル」、チャドの「ンジャメナ」、 赤道ギニアの「マラボ」、セネガルの 「ダカール」、ナイジェリアの「アブジ ャ、ブルキナファソの「ワガドゥグー」、 ベナン「ポルト・ノボ」、ガボンの「リーブルビル」、コンゴ共和国の「ブラザ ビル」、ブルンジの「ギテガ」などが挙げられる。いずれも、国名にも首都名にも、濁音が入っている。
これは、アフリカの主要言語群である スーダン語やバンツー語には、唇で調節 する摩擦音が多いためである。加えて、 ボツワナ(ツワナ族の国という意味)やブルンジ(ルンディ族の国という意味)などのように、「ボ」や「ブ」が接頭語として多用されるからでもある。
ただし、ヨーロッパ語起源の地名にも、 濁音入りのものがあるので、音を聞いただけでは、現地固有の地名か、ヨーロッパの言葉に由来する地名かは判別できない。たとえば、「ガボン」は濁音入りだが、ヨーロッパ語系の地名。河口の地形から、ポルトガル語で「フードつきの外套」を意味する「ガバーン」が語源となっている。
「地理」の楽しみを知りつくしたメンバーのみによって構成されている研究グループ。日本各地、世界各国を歩き、地図をひろげ、文献にあたり…といった作業を通じて、「地理」に関する様々な謎と秘密を掘り起こすことを無上の喜びとしている。