「会議で緊張して上手く話せない…」がなくなるメンタル操作術

会議前に緊張している人

重要な会議のときなど、仕事をしていればプレッシャーが押し寄せてくる場面は多々あります。そんなとき、どのような心持ちでいれば逆境を跳ね返し、本来の実力を発揮できるのか? メンタルトレーナーとして多くのプロスポーツ選手を導いてきた岡本正善氏が、「打たれ強い人たち」の秘密を解き明かします。

「うまくいくパターン」をイメージする

会議で発言することが前もってわかっているとき、イメージで予行演習をしておくことをおすすめします。人前で話すのが苦手だなあと感じている人は、かつて緊張のあまりうまくいかなかった体験をしているはずです。

だから、まったくプレッシャーのない自分をイメージしても、それはただの想像にすぎません。緊張した自分はどんな状態になるのか、まずはよく思い浮かべてみること。そこから出発した上で「うまくいくパターン」のイメージをつくりあげるのです。

以前うまくいかなかったときは、緊張を否定してガチガチに固まってしまったわけですが、緊張感が高まるのは自然なことで、これから自分の能力を発揮するぞというサインです。

今度は、同じ緊張感を味わいながら「よし、スタンバイしてるな」と感じている自分をイメージします。いよいよ自分が話し始める順番がまわってきたとき、流暢に話すイメージをつくる必要はありません。

だいたい、立て板に水のような話し方では聞いている人の印象に残らないのです。つっかえながらでもいい、「何を伝えたいか」がしっかり頭にあり、一生懸命伝えている自分をイメージしていきます。

このときに、自分が話している内容だけでなく、周囲の環境や、相手の反応もイメージすることが重要です。イメージとは、五感を総動員する作業。スポーツの場合なら視覚だけでなく体感のイメージが重要なのですが、仕事の場面では、むしろ大事なのは相手やその場の雰囲気です。

それを考えずに自分のことだけイメージしても、ただの一人芝居になってしまう。そこで、会議室に机がこう並んでいる、部屋はちょっと暖房がききすぎているな、と思い浮かべていくことから始めて、目の前の光景をイメージします。大きくうなずきながら話を聞く部長、すぐに首をかしげるクセがあるA課長など。

自分のひと言で、A課長から質問の手が挙がるかもしれない。こんな質問がきたら、自分は呼吸を整えてこんなふうに答える。すると、A課長が満足そうな顔をする。発表を終えて資料をそろえながら席につく。興奮して上気している。部長が拍手をした。課長たちも続いて拍手を始めたぞ…。

つまり、視覚だけでなく、肌で感じる温度や耳に聞こえる音など、五感を総動員してイメージするのです。まるで本当にそこにいて見ているかのように、そして聞いているかのように、がポイント。この作業をすることで、「何を伝えたいのか」という目的と成功場面の感触を潜在意識に刻み込むことができます。

いざその場になったら、「うまくいくだろうか」などと余計なことは意識せず、自分のコンディションの調整は潜在意識に任せてしまう。「これを伝えるために今何をしたらよいか」だけを考えればよいのです。

「企画の盲点」をあらかじめ知っておく

企画会議でうまくアピールできない。説明にどうもインパクトがないし、質問されるとうろたえてしまう。自分は話し方が下手だからいつまでもチャンスをつかめないのか?あるいは企画のツメが甘いからいけないのか?

そんなふうに悩んでいるとしたら、アピールのコツがあります。まず前提として、どんな企画でも、最初から完璧ということはありえない。そのことを覚えておいてください。

うまみがある反面、考慮すべきリスクがあったり、実現にこぎつけるためにクリアしなければならない問題があったりする。スタートしてみなければわからないことも多いもの。

けれども企画が通らないことにはスタートのしようもない。ではどうしたら?誰かを説得するには、相手の潜在意識に訴えることと、相手の論理を使うことが基本です。

いいことばかりを並べ立てると、相手の潜在意識は悪いところを探し始めるのです。「そうは言うけれど、こういう場合はどうなるんだ?」と疑いを持つ。だからあらかじめ、自分の企画の落とし穴や盲点をよく知っておき、それをどのように扱うかが戦略の見せどころです。

発言者に優越感を与えてあげる

突かれると答えようのない盲点もあります。たとえば、始まってみないことには何とも言えない。あるいは、現段階ではどう考えても対策を思いつかない…。この「究極の盲点」を突かれないようにする方法があります。

それは、別の場所にたくさんエサをまいておき、そこへ誘導するのです。このへんまでなら答えられるという質問を、自分の持ち時間に合わせていくつか想定しておく。

相手の潜在意識に訴えるのですから、その場のやりとりで持っていくことが重要。企画書に表立って書いたりせずに、自分の中で質問を想定し、準備しておくのです。そして、想定した質問が出るような話し方を工夫します。

たとえばコストについて散々悩んで解決策を見つけているとする。そのかんじんなところを、ちょっと飛ばしてみる。「問題はコストだと思いますが、それについてはもう、とにかくグッと削減するとしまして…」などと言ってのけてしまう。

鋭い上司がいれば、そこですかさず「オイ、どうやって削減するのかが大事だろう」と指摘してくるはず。あるいは、その先まで説明がすすんだところで、「さっき気になることがあったのだが」と手が挙がるかもしれない。

こうやってエサにひっかかってくれればしめたもの。「実は我々も最後までその点に悩みまして、やっと解決策を見つけたところでして、企画書には書いていないのですが、説明してご判断をいただきたいと思います」などと言って答えるのです。

あるいは、Aの展開も考えられるが、それと同じぐらいBやCになる可能性も当然思い浮かぶ、というときに、それぞれの対処を考えておいた上で、話をとばしてしまう。たとえば「ここで仮に、Aのようになったとします。そうでない場合もあるわけですが、それはちょっとおいておきまして、Aだとすると○○のように対処できるわけです。えー、さて次の段階ですが……」ともっていってしまう。

そこで「ちょっと待ってくれ、そうは言うけどBになったらどうするんだ?」「Cのようなことも起きるんじゃないですか?」と想定どおりの質問がくる。質問することは、自分が会議に参加している意味があったという満足感や、「盲点を見つけてやったぞ」という優越感を相手の潜在意識に与えます。

そこで、「いい質問をいただいて助かりました。確かに問題はそこなんです。実は対策として…」など、質問者をもちあげつつ、きちんと相手の疑問に答えていく。すると相手の潜在意識は納得し、「この企画にかけてもよさそうだ」と信頼感が生まれます。

「自分を肯定する」が潜在能力を引き出す基本

では、予想外の質問が出たり、これだけは突いてほしくないという質問が出たらどうするか?下手に取り繕うよりも、「まさにそこなんですが、実は現時点での課題です」「その点について、ご意見をうかがいたかったのです」などと正直に言えばいい。

むしろここで教えてもらおうというぐらいの熱心な姿勢を見せてしまう。相手は決して悪い気はしません。これまでの質疑応答の流れがあればなおさら、「こいつなら、きっとなんとか解決するだろう」と信頼感を持ってくれるはずです。

「自分は打たれ弱い人間だ」「自分はこんなはずじゃない」と思っているどんな人にも、潜在能力はあります。そして、今回述べたようなちょっとした考え方やコツの積み重ねで、その能力を引き出すことは可能です。

まずは、「これではダメだ」と自分を否定しないこと。「良くも悪くも今の自分を肯定する」…これが潜在能力を引き出すための大切な基本なのです。

 

PROFILE
岡本正善

昭和40年東京生まれ。東海大学文学部卒業。情報社会におけるストレスを学び、能力開発研究所勤務後、「メンタルトレーニング施設企画」を設立。ゴルファーや野球選手などプロのスポーツ選手の指導から、企業での指導など多数。

逆境を生き抜く「打たれ強さ」の秘密 (青春文庫)

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  • 作者:岡本 正善
  • 発売日: 2019/11/09
  • メディア: 文庫