感染症対策は「免疫力」がカギ! 腸内環境を整える食べもの3選

「免疫力」という言葉を目にする機会が多くなりました。管理栄養士の森由香子氏によると、免疫力向上には「腸内環境」が大きくかかわっています。新型コロナウイルスの蔓延拡大が不安視されるなか、できるだけ病を寄せつけない体に整えておきたいところです。そこで、腸内環境をよくするために役立つ食べものについて、お話を伺いました。

免疫細胞の多くが「腸」に集中している

私は四谷にあるクリニックで管理栄養士として働いて15年以上になります。管理栄養士は、栄養指導(外来・入院)のほかに、入院患者さんへの免疫力低下の防止などの観点から、栄養管理、栄養状態の評価を行っています。

食欲がある患者さんは、病室を訪ねると元気な笑顔で迎えてくれますが、食欲不振の患者さんは見るからに元気がありません。食べられるようになり、元気になっていく姿を拝見すると、栄養補給と免疫力には深い関係があると実感します。

いつも患者さんへお伝えしていることは、私たちのからだは自分の食べたものからできているということ。免疫力を高めるのも、弱めるのも、自分自身が源になっているのです。新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっている今、私たちは自身で免疫力低下を防止し、健康を維持していかなければなりません。

そのためにカギとなるのが、「腸」の状態です。実は、体内で免疫力を発揮してくれる免疫細胞の6〜7割が、腸に集中しています。腸の状態が私たちの免疫力を決めると言っても、決して過言ではありません。

腸内環境が、腸内細菌のバランスによって決まるということは、皆さんもご存じでしょう。腸内には、100種類以上、100兆個もの腸内細菌が存在しています。

よく言われているように、腸内細菌には、主に健康に有用なはたらきをしてくれる有用菌(善玉菌)と、主に健康に害を及ぼす有害菌(悪玉菌)の2つと、そのどちらともいえない菌があります。私たちが目指すべきは、善玉菌が比較的多くあり、かつ、できるだけいろいろな種類の腸内細菌がいる状態です。

〆のラーメンの代わりにも! 習慣にしたい「野菜スープ」

腸内細菌のバランスは、健康状態、ストレス、年齢、そして日々の食事によって変化しているのですが、では、どんな食事をすると腸内環境が悪くなり、反対にどんな食事をすると腸内環境が整うのでしょうか。

結論から言うと、腸内環境を良くするためには、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖をたっぷりとれる食事をすることがとても大切です。反対に、悪玉菌のエサとなる脂肪や肉などのたんぱく質ばかりとっていれば、腸内環境は確実に悪くなっていきます。
以上を踏まえた上で、ひとつ、皆さんに提案があります。

良好な腸内環境を保つために、これからは、お酒を飲んだあとの〆のラーメンをやめて、〆の野菜スープを飲むようにしてください。

ラーメンはチャーシューや卵などの動物性たんぱく質食品が入っています。野菜タンメンやもやしラーメンなどは別ですが、一般的なラーメンの場合は、腸内環境を良好にする野菜もほとんど入っていないでしょう。たまに食べるぶんには問題ありませんが、週に何度も食べていれば、腸内では悪玉菌が確実に増えていってしまいます。

その点、〆の野菜スープであれば、悪玉菌が増える可能性は低く、むしろ善玉菌を増やす可能性が高まります。

スープといっても、それほど難しく考える必要はありません。善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖が豊富な、キャベツ、ブロッコリー、玉ネギ、アスパラガス、ニンニク、トマトなどを適当に刻み、水と一緒に鍋で煮て、塩コショウで味付けして完成です。

これなら、消化にも良く、食物繊維とオリゴ糖がたっぷり含まれていますから、たとえ夜食としていただいても、腸内環境の改善効果が期待できるわけです。

麺が入っていないと最初のうちは物足りなく感じるかもしれませんが、野菜をたっぷり入れておくことで、満足感も得られるはずです。もちろん、ラーメンに比べればカロリーも低いので、そもそも健康的な食事であることは言うまでもありません。

いろいろある「ヨーグルト」の選び方の正解

また、腸にいい食べものというと、ヨーグルトを思い浮かべる人が多いでしょう。確かにヨーグルトには、腸内環境を良くするといわれている乳酸菌が豊富。そのため、ヨーグルトを毎日食べるのは、腸内環境を整えるために有効と考えられているわけですが、実は、ことはそれほど単純な話ではありません。

そもそも乳酸菌とは、糖類を分解して乳酸などを生成するタイプの細菌の総称で、ヨーグルトの製造に使われている乳酸菌には、ブルガリア菌やビフィズス菌をはじめ、サーモフィルス菌、アシドフィルス菌、ガゼリ菌、LG21菌、クレモリス菌など、さまざまな種類があります。

皆さんも、スーパーなどの売場で、どれを買おうか迷った経験があるのではないでしょうか。「別に乳酸菌ならどれでもいいんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、そうとも言い切れません。

人によって、あるいは、同じ人でもその日の腸の状態や体調によって、もっとも効果的な乳酸菌は違ってくるからです。

つまり、1つの種類をずっと食べ続けているだけでは、せっかく食べてもヨーグルトの整腸効果を十分に得られていない可能性があるのです。

その解決策が、一度に3〜4種類くらい、菌が異なるヨーグルトを買ってきて、ブレンドして食べることです。こうすれば、あなたの腸に合った菌に当たる可能性が、少しでも高まります。3〜4種類の菌を一度にとれるので、腸内細菌の種類を増やす意味でも、良い習慣だと思います。

2週間くらい続けてみて、お通じが良くなるなどの変化が感じられなかったら、1種類を別の菌が入ったヨーグルトに変えてみてください。これを繰り返していくことで、あなたの腸にもっとも効果的なヨーグルトの菌が、少しずつ判明していくはずです。

スーパー大麦「バーリーマックス」のここがスゴい!

腸内環境を良くして免疫力を上げる食べ物として、特に期待が大きい、世界的に話題の食品もご紹介しておきましょう。

オーストラリア政府が10年もの歳月をかけて開発した、「バーリーマックス」という名の、新種の大麦です。便秘改善効果やダイエット効果がある食品としてマスコミにもとりあげられていたので、すでにご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

どこが普通の大麦と違うのかというと、実はバーリーマックスには、一般の大麦に比べて、食物繊維が約2倍、難消化性でんぷんの「レジスタントスターチ」が約4倍も含まれているのです。

レジスタントスターチとは、小腸で消化吸収されずに腸まで届き、腸内環境を良くするとして、管理栄養士の間でも、非常に注目を集めている成分です。大腸に届くと、食物繊維と同じように働くことで、お通じを良くし、腸内環境を改善させることがわかっています。

さらに、バーリーマックスには、フルクタンやβ–グルカンといった食物繊維も含まれています。これらは善玉菌のエサとなるため、腸内細菌のバランス改善にも役立ちます。

しかも、ここからがバーリーマックスの本当にすごいところです。実は、レジスタントスターチ、フルクタン、β–グルカンの3つは、分子の大きさが異なるため、腸の中で発酵分解されていくスピードが異なります。

一番小さいフルクタンは腸に入ってすぐに善玉菌のエサになり、次に大きいβ–グルカンはもう少し先でエサになり、もっとも大きいレジスタントスターチは、最後まで残って腸の奥で発酵分解され、エサになります。

つまり、バーリーマックスを食べることで、腸の入り口から奥のほうまで、腸全体に善玉菌のエサが届けられるというわけです。

バーリーマックスがどれだけすごい大麦か、おわかりいただけたでしょうか。

こんなすばらしいバーリーマックスを、免疫力アップに活用しない手はありません。コンビニなどでは、すでに「スーパー大麦使用」と書かれたおにぎりなども売られているので、まずはそれから試してみるのもいいでしょう。

バーリーマックスそのものは、スーパーでの扱いも増えていますし、インターネットなどでも購入できます。レシピなどは、商品のパッケージやホームページなどを参考にしてみてください。ごはんに入れて一緒に炊くことで、麦ごはんのようにして食べるのがおすすすめです。

 

seishun.jp

PROFILE
森 由香子

管理栄養士。日本抗加齢医学会指導士。東京農業大学農学部栄養学科卒業。2005年より東京・千代田区のクリニックにて、入院・外来患者の血液検査値の改善にともなう栄養指導、食事記録の栄養分析、ダイエット指導などに従事している。また、フランス料理の三國清三シェフとともに、病院や院内レストラン「ミクニマンスール」のメニュー開発、料理本の制作などを行う。抗加齢指導士の立場からは、<食事からのアンチエイジング>を提唱している。

免疫力は食事が9割 (青春新書プレイブックス)

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  • 作者:森 由香子
  • 発売日: 2020/12/12
  • メディア: 新書