人に質問するのは、短い間でも相手に時間を割いてもらう行為。それだけに、質問の前には「少々お尋ねしたいのですが?」などと前置きをするのが大人のお約束。それ以上に、前置きは相手の本音を引き出すためにも使うことができます。さまざまな角度からアプローチできるように18のバリエーションを用意したので、その場に合ったものを使ってみてください。
相手から「情報を引き出す」ための前置き
ご存じでしたら、聞かせていただけませんか?
「ご存じでしたら」と婉曲にはじめながら、知っていることは話してほしいという気持ちを伝えるフレーズです。
ご存じの範囲で結構ですから、聞かせていただけませんか?
前項の変形。より丁寧で慇いん懃ぎんな尋ね方であり、あまり親しくない相手に対し、無礼にならない尋ね方として使えます。
差し支えのない範囲で結構ですから、聞かせていただけませんか?
「ご存じでしたら、聞かせていただけませんか?」をよりソフトにした尋ね方。「ご存じの範囲」という尋ね方は隠し立てをしてほしくないニュアンスを含みますが、一方「差し支えのない範囲」という言葉は、ある程度の隠し立てはしかたないというニュアンスを含みます。相手を追い詰めずに、話を聞き出すための尋ね方といえます。
「聞きにくいこと」を聞き出すための前置き
立ち入ったことをおうかがいするようですが?
立ち入ったことまで尋ねるときは、こう前置きするのがお約束。とりわけ、事の原因や真相を確かめたいときには、必須の聞き方といえます。あいまいにすませられないテーマに関しては、こう前置きして相手を問いただすといいでしょう。
不躾なことをおうかがいしますが?
これも、立ち入ったことを尋ねるときの前置き。自分の質問が不作法であると認めることで、相手の不快度を弱めるためのフレーズです。立ち入ったことについていきなり質問すると、相手は心の準備ができていない分、不快に思いやすいもの。それでは、十分な答えを引き出しにくいので、こう前置きします。「失礼なことをおうかがいしますが?」でもOK。
図々しくお聞きしてよろしいでしょうか?
核心に迫るための前置き。「図々しく」と宣言することで、重要な話を聞き出したいという気持ちを表します。ただし、「図々しく」は品のない言葉だけに、それに続ける言葉は十分に敬語化したほうがいいでしょう。「図々しいことをうかがうようですが」でもOK。
より突っ込んだ話をうかがってもよろしいでしょうか?
相手が話の核心をずらし、あいまいに答えようとするときは、逃がさないように質問を続けなければなりません。「より突っ込んだ話をうかがってもよろしいでしょうか?」という前置きは、それまでの応答では不十分と告げたのも同然。相手がこちらの意図を理解すれば、もう少しちゃんと話そうかという気持ちにさせられるかも。
思いきってお聞きしますが?
重要な話を聞き出したいときの直球勝負の前置き。「思い切って」と言うことで、こちらの決意を相手に伝えられます。相手もこちらの決意を察し、感じるところがあれば、重大な話を聞かせてくれる可能性が出てきます。
ズバリお聞きしたいのですが?
これも、直球勝負するときの前置きとして覚えておくと便利です。「ズバリ」は躍動感のある言葉なので、尋ねる姿勢に勢いをつけられます。その勢いで相手を押して、核心的な情報を聞き出すことができるかもしれません。「単刀直入にうかがいますが?」も、同様に使える言葉。相手に、あやふやなことは言えないと覚悟させる確率が高まります。
こんな質問をすると、叱られるかもしれませんが?
くだらない質問、初歩的な質問をするときの前置き。自分の質問レベルの低さをあらかじめ認めることで、相手の不快感をおさえることができます。失礼な質問をするときにも使えるフレーズです。
こんなこと聞いてよろしいでしょうか?
聞きたいことがあるけれど、聞くと相手は気分を損ねるかもしれない──そんなときは、このセリフを最初に言うといいでしょう。こちらの恐縮する思いを伝えられ、相手に「不躾な質問」と思われずにすみます。
こんなことをお聞きしていいものなのか、わかりませんが?
失礼な質問をしなければならないときの前置き。あらかじめ失礼かもしれないと認めることで、相手に心の準備をさせるフレーズ。実際に失礼な質問だったとしても、多少は相手に受け入れやすくなる効果があります。
どうしても「本音」を引き出したいときの前置き
本音のところで教えていただけませんか?
イエスかノーかを聞きたいときや、心づもりの金額を聞き出したいときなどに使えるフレーズ。「本音のところで、賛成か反対かを教えていただけませんか?」、「本音のところで、ご予算を教えていただけませんか?」などと使えます。
できましたら、本当のことを教えてもらえませんか?
相手が何かを隠しているとき、最後の手段となる尋ね方。それだけに、この尋ね方をするときは、頼みごとをするような口調にしたいもの。懇願調で尋ねれば、相手は情にほだされて、秘密を明かそうという気になるかもしれません。
率直なところ、どういうことでしょうか?
突っ込んだ話をしたいときの質問の一つ。「率直なところ」と言うことで、相手の本心を知りたいという気持ちを表せます。相手があいまいな答えに終始し、逃げようとしているときにも使える質問です。
実際のところはどうなのでしょう?
建前的な話から一転、核心に迫るための尋ね方。このフレーズを口にするときには、真剣な表情を浮かべることが肝心です。
ざっくばらんなところで、教えていただけませんか?
本音を引き出すための変化球的な尋ね方。「ざっくばらんなところ」というくだけた表現で、相手の気持ちをゆるめることができれば成功。相手は本音を漏らしてくれるかもしれません。とりわけ、金額の交渉で、相手の想定金額を知りたいときに使える尋ね方。「ざっくばらんなところで、ご予算を教えていただけませんか?」など。
ぶっちゃけた話を聞いていいですか?
本音を聞き出したいときの、くだけた尋ね方。上司には使えませんが、親しい先輩や同僚相手なら許されることが多いもの。かしこまったもの言いでは、本音を話しにくいこともあるので、あえてくだけた言葉を使って本心を探るフレーズ。
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