ムンクの『叫び』は叫んでない!? アートにまつわる意外な事実5選

美術愛好家でなくても、ムンクの『叫び』や『モナ・リザ』『考える人』と聞けば、すぐにイメージを思い浮かべることができるでしょう。そうした有名な作品や画家には、意外なエピソードがつきもののようです。 

ムンクの「叫び」は じつは叫んでいない

ノルウェーの国民的画家ムンクの代表作といえば、『叫び』だ。ほかの作品は知らなくても、これだけは知っているという人も多いにちがいない。

ところで、そのタイトルからして、絵の真ん中に描かれた人物は頬を押さえて大声で叫んでいるように見える。

しかし、実際にはこの人物は叫んでいない。耳を押さえておびえているのだ。

この作品に描かれているのは、ある日の夕暮れにムンク自身が経験した恐怖だ。幼くして母と姉を病気で亡くし、死や病の恐怖におびえていたムンクは30歳のある日、どこからか自然を貫く叫びのようなものを感じたという。

そして描いたのが、この『叫び』だった。つまり、絵の人物はムンク自身なのである。

ロダンの『考える人』はじつは何も考えていない

右のヒジを左ヒザにつき、その手をアゴに乗せている姿が、いかにも何かを思考しているように見えるロダンの彫刻は、『考える人』としてあまりにも有名だ。

だが、これが『のぞき込んでいる人』というタイトルだったらどうだろう。そういわれれば、たしかにそう見えてくるのではないだろうか。

それもそのはずで、この彫刻はダンテの『神曲』の登場人物のひとりで、地獄の門の上から下の地獄をのぞき込んでいる姿だというのだ。

そもそもロダンがこの彫刻につけたタイトルは『詩人』だったが、ロダンの死後、鋳造職人が『考える人』と名づけた。それがそのまま現代に受け継がれている。

ゴッホが生きている間に売れた絵はたった1点だけ

今では1枚の作品が数億円という高額で取り引きされることで知られる19世紀オランダの画家ゴッホだが、生きている間はその作品がまったく評価されなかった。

彼は37歳という若さでこの世を去ったが、その短い生涯で売れたのは『赤い葡萄畑』という絵1点だけだった。

この絵を購入したのはゴッホと一緒に「20人展」に参加した画家のひとりであるアンナ・ボックで、購入価格は400フラン、現在の価値にして10万円あまりだったという。

現在、この作品はロシアによって国有化され、プーシキン美術館が所蔵している。

世界中を揺るがした盗難事件の顛末てんまつ

まるで怪盗ルパンの仕業のような絵画盗難事件は、ヨーロッパを中心に各地で起きている。

なかでも20世紀最大の美術館盗難事件といわれているのが、1911(明治44)年にルーブル美術館から消えたレオナルド・ ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』だ。世界中を揺るがしたこの盗難事件では、まだ無名だったピカソが誤認逮捕されるなど混乱を極めた。

犯人の目的は贋作詐欺で、本物を手元に置いて贋作をつくり、それを本物として売り出していたのだ。

だがある時、犯人は本物をダヴィンチの出身地であるイタリアの古美術商に売ろうとコンタクトを取った。それを鑑定して本物だと判断した古美術商が警察に通報しため、犯人はあっさりと逮捕され、『モナ・リザ』は無事ルーブル美術館に戻ってきた。

1988(昭和63)年にはシャガールの『オセロとデズデモーナ』が盗まれたが、やはり画廊経営者が持ち込まれた絵を本物と見抜き、30年ぶりに元の持ち主に返還されている。ただ、世界にはまだ見つかっていない盗難品も数多く存在しているのだ。

レンブラントの『夜警』は昼間の絵だった!

「光と影の画家」と呼ばれるレンブラントの代表作といえば、『夜警』が思い出される。これは17世紀に実在した人々を描いているのだが、誰もが生き生きと動いているのが印象的だ。

それまでの集団肖像画というとまるで記念写真のように全員が画家のほうを見ていたものだが、レンブラントのものは動画を切り取ったように動きがあるのだ。

奥のほうにいる人物に光が当たっていないのも、いかにも『夜警』というタイトルにふさわしい、といいたいところだが、じつはこの絵は昼間の様子を描いたもので、夜ではない。

もともと明るい絵だったのが、時間が経つにつれてニスにススがついて黒っぽくなった。その汚れた絵を見て19世紀につけられたのが『夜警』というタイトルだったのだ。

 

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雑学の森探検隊

「なぜ?」「どうして?」と思いながら、多くの人が答えの手がかりさえ見つけられないままになってしまう日々のさりげない疑問を掘り起こし、最後まで調査・検証することを信条とするライター・編集者チーム。尽きることのない人間の好奇心に寄り添い、その「知りたい」という欲求に応えるべく、日々活動している。

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