「親の闇」をいつまでも引きずっている人たち
私たちは生まれてから少なくとも15年くらいは、親または親代わりの人のすべてを吸収しながら自分の土台を作ります。子どもにとって家庭とは、自分が属する世界のすべてですから、良い部分も悪い部分もひっくるめて、それが当たり前になってしまいます。
当然のごとく毎日の生活の中で、親の習慣がそのまま自分の身につく。そうやって親から受けついだものが、私たちを苦しめるのです。
そうした“親子呪縛”は誰にでも発生します。私たちが人生で抱えるほとんどの問題、そして社会のほとんどの問題は、親との関係が原因であると言えるでしょう。
私は30年以上、ニューヨークを拠点にサイキック・リーディング(私は魂リーディングと呼んでいます)をしてきて、人種や年齢、性別を問わず、たくさんの方々の魂と人生を観てきました。人の言動には親の影響が土台にあって、それがその人の人生を創っていると言えるほど、親子関係が人生に及ぼす影響の大きさを痛感するのです。
その中でも特に、ネガティブな親子関係が人生の妨げになっているのに気がついていても、何も対応できないまま、いつまでも引きずっている人がとても多いのが気になります。
ニューヨークには、親の悪い影響を避けて逃げてきたのに、それに罪悪感を覚えている人も多く、人生が歪む原因の中に、「親の闇」を背負っていることが確かにあることを目の当たりにして、これについて伝えることは、自分の使命だと感じるようになりました。
クリエイティブなキャリアを目指したかったのに、安定した職業を選ぶことしか許されなかった。セクシャリティーを理解してもらえなかった。医療関係者の家系なのに医者にならなかったから、いつまでたっても自分が選んだ道を認めてもらえない。
逆に、コンサート・ピアニストになるように期待されて、それが苦しくて逃げたら親に落胆された……など、親がいいと思ったことが、子にネガティブに影響する例は色々あります。
親が子の将来のためを思って、お受験やお稽古ごとで無理強いしすぎた結果、「家庭内親子絶縁」になってしまうこともあります。失敗しないように守ろうとした結果、子がまったく冒険できなくなることもあります。これらは、子どもの可能性に親が施錠してしまっているのです。
生きづらさには「親子呪縛」が影響している
親との関係の中で、「自分を認めてもらえない」「自分の居場所がない」「将来の計画が立てられない」と感じた経験があったら、これは生い立ちのせいで、慢性的に生きづらさを抱えてしまっているかもしれません。
自分の理想を実現させるためにベストを尽くしたと思ったのに、まわりの状況はそれについてきてくれない。自分が前進しても、まわりは変わらないまま。自分が何か計画したくても、状況が許すかわからない。そういうときは、近未来ではなく、もっと先の未来の自分の理想を見据えて、そこから逆算して、今何ができるかをイメージしてください。
逆に、親は何でも自由にさせてくれたのに、社会に出たら、何かと制限されることばかりで生きづらい、というのも親子呪縛のひとつです。
生きづらさを解消する親子呪縛の浄化は、まずは自分を責めないことです。つらくなる原因を親になすりつけろという意味ではなく、まずは親が間違っていると仮定して、すべてのネガティブなエネルギーを一旦親に預けてしまいましょう。
自分が問題なのではなく、親が問題なのだと考えると、少し楽観的に親との問題に取り組めるようになるはずです。
そして、生きづらくなる3つの条件を、次のように置き換えましょう。
「他の人に認めてもらえなくてもいい。自分に納得できればいい」
「どこにでも自分の居場所を作る」
「将来は計画通りにいかなくても、自分が好きな方向に進んでいく」
そして親に認められなかったこと、家族の中に自分の居場所がなかったこと、親のせいで自由に計画が立てられなかったこと、そんな経験があなたを生きづらくしているなら、それらを浄化してください。
たとえ親が不幸でも、自分は幸せにならなくてはいけない
どんなに不幸な親のもとに生まれても、自分は幸せにならなければいけない。どんなに親に酷いことをされても、自分は幸せにならなければいけない。
これが親子呪縛の浄化になって、親孝行ができるということだと思います。
酷いことをされた親に、自分が幸せになって親も幸せにしてあげようなんて、考えなくてもいいです。それができたら最高ですが、どんなに助けようとしても、幸せにしてあげようとしても、「不幸だと言っているのが、幸せなのかもしれない?」と思えるような、自分から不幸を選ぶ親もいます。
親がいつかまともになってくれるのではないか、幸せになってくれるのではないかと思ったり、親に捨てられても、いつか自分のことを愛してくれるようになるのではないかと思ったり、自分が愛の尊さを教えてあげられるのではないかと思ったりする人を見て、切なくなりますが、親に傷つけられた子が、それでも親の幸せを願うのは、子にとって親が幸せなことそのものが幸せだからでしょう。これは本能的な愛だと思います。
それと同じく、子が幸せになるのが、本来、親の幸せであるべきなのです。子の幸せを自分の幸せと思えない親は、親子呪縛が浄化できていないはずです。自分の幸せを妬まれたり、幸せを感じたことがなかったり、そういう経験があるのではないでしょうか。夫に愛されない妻が、子につらくあたったりするのも、そういう親子呪縛からきていることがあります。
でも、誰でも幸せになるために、この世に生まれてきているはずなのです。幸せを与えてもらえなくても、幸せを望まれなくても、幸せにならないといけないのです。
親のネガティブな影響を自覚することが「浄化」の第一歩
自分が親子呪縛に影響されていると思われるところや、自分の可能性の扉に施錠されていると思われるところについて、じっくり考えてみましょう。
親に嫌なことを言われたり、傷つくようなことをされても、子としてはスルーして自分の中で処理してしまおうとするものです。それは親に対する愛情や感謝の気持ちがあってのこと。でも自然に消えるものではありません。自分が感じる親のネガティブな影響について考えてみましょう。
親に対して怒りがあるでしょうか。
親のせいでできなかった、と思うことがあるでしょうか。
親にできないと思わされてきた、と感じることがあるでしょうか。
本当にやりたいのに、どうしても行動できないことがあるでしょうか。
親に言われたことに傷ついて、忘れられないことがあるでしょうか。
親にされたことで、許せないことがあるでしょうか。
親に暴力を振るわれたり、暴言を吐かれたりしたことはあるでしょうか。
親は人格障害だと思われるところがあるでしょうか。
親に言われて傷ついた言葉はなんでしょう。
これらについて書いたり、話して録音したりしてみましょう。そうやってネガティブな体験を自分の中から取り出してみてください。親子呪縛浄化のためのサポート・グループを作って、経験をシェアするのもいいでしょう。
「あれは酷かったな」「あれは間違ってたな」そう思うことに光を当てて、それらをいらないものだと認識しましょう。親の悪影響を自覚することが、浄化作業の第一歩です。親子呪縛を浄化するのは、子の役目です。
大阪出身。 7歳で父親の死を予知した時から、予知能力、霊とコンタクトする能力、過去や前世を透視する能力などに気づく。1986年に渡米。未来や過去を詳しく視つつ、その人の人生の出来事の意味を分析するセラピー的な効果のあるリーディングが特徴で、ニューヨークを拠点に世界各国からの依頼を受けている。
初の著書『自分のまわりにいいことがいっぱい起こる本』は75万部のベストセラーに(2003年初版。2019年に同タイトルで文庫化)。『自分の気持ちがわからなくなったら読む本』(いずれも小社刊)、ほか、『あなたの人生で本当に大切にするべき27のこと』(サンクチュアリ出版)、『あなたの「つらいこと」が「いいこと」に変わる本』(祥伝社・黄金文庫)など著書多数。