心が苦しいときは“逃げる”が正解! ストレスを受け流す4つの方法

傍から見て負荷がかかる状況下にあっても、心おだやかに過ごせる人がいます。そのような人は、自分をストレスから解放する方法をストックしているもの。著述家の植西聰先生は、「心さえ折れずにいれば、どれだけ今がつらくても、人生は上向いていく」と私たちを励ましてくれます。前向きであり続けるために心がけておきたい習慣について、ご教示いただきました。

「最低限、やっておくこと」を決める

「親が体調を崩して一人暮らしが難しくなった。急いで安全に見守ってもらえる施設を探さなければいけない」「職場から自宅で仕事をするように命じられた。実際に始めてみたら、上司や同僚とのコミュニケーションに行き違いが生じたりして、以前よりトラブルが多くなった」

このように、日常に突然大きな変化があると、動揺してしまうものです。

人間は誰でも、そのときの状況、環境の変化に自分を合わせていく、いわゆる「適応能力」を持っています。しかし、変化が急だったり、予想もつかないことだったりすると、どうしてもストレスが増えてしまうのです。

ストレスの出方は人それぞれ。これといった持病はないのに体が重くなったり、食欲がなくなったり、耳が聞こえにくくなったり、肌が荒れやすくなったりして、体調不良になってしまう人がいます。

また、急に涙が止まらなくなったり、ちょっと思い通りにならなかっただけで強い怒りを感じたりして、感情のコントロールが難しくなる人もいます。

こういう状況に陥ったときは、仕事でも家事でも、すべてのことに全力で取り組む必要はありません。体と心の緊急事態なのですから、最低限のことだけ決めて、それができたら自分にOKを出してあげましょう。

例えば、「掃除は汚れているところだけでいい」「食事は自炊じゃなくても食べればOK」と決めておけば、「部屋が汚くてイヤだ」「自炊しない自分は怠け者だ」というようなイライラはなくなります。

ポイントは、「これだけやれば大丈夫」という基準を低くすることです。そして、それができたら、「よくやった」と自分をほめてあげるのです。間違っても、「これしかできなかった」と思う必要はありません。

そうやって、体と心を休めているうちに、心は徐々にプラスになっていきます。

情報をシャットダウンする時間を持つ

現代社会は、あらゆることが目まぐるしく変化します。「正しいとされていた情報が、数年後には間違っていることが判明した」「少数の人だけが知っている情報だったのに、あっという間に誰もが知ることとなった」というような現象が度々起こり、そのスピードはどんどん速くなっています。

このような時代、一生懸命な人ほど「いつも情報を追いかけていなくてはいけない」と必死になったり、「変化に乗り遅れてしまうのではないか」と焦りを感じてしまったりするものです。

確かに「情報に敏感であること」は、世の中を生きていく上で大切なことです。しかし、情報が氾濫しているこの世の中では、「うれしい」「楽しい」と思える情報だけでなく、自分の心を惑わすような情報もたくさん入ってきます。

例えば、マスコミはマイナスな話題のほうが視聴率が上がるため、どんどんネガティブな情報を流す傾向があります。

そして、人間には、ポジティブな情報よりもネガティブな情報のほうが記憶に刻まれやすいという性質があるため、テレビをつけるたびに気持ちが落ち込むという人が出てきてしまいます。

例えば、少子化で将来は大変なことになるとか、未曽有の経済不況が来るとか、今年はインフルエンザが大流行するとか、年金がもらえなくなるかもしれないとか、そういうニュースが次々に報道され、暗い気持ちになってしまうのです。

しかし、どれも本当に起きるかどうかはわかりません。ですから、そういうときは、単なる推測と事実を分けて考えることが大切です。

そして、単なる推測なら、気にする必要はないのです。

ある女性は、テレビとネットニュースを見ないと決めて、好きな読書の時間を増やすようになったら、よく眠れるようになったそうです。

最近、気分が落ち込むことが多いという人は、思い切って必要以上の情報を断つことが効果的なことがあります。

怒りやイヤな思い出を手放せるトレーニング

怒りの感情を胸に秘めている人は、心にマイナスのエネルギーがたまりやすくなります。マイナスのエネルギーはマイナスの出来事を引き寄せるため、そういう人たちは、常にイライラしやすく、ちょっとしたことで怒ったり、落ち込んで立ち直れなくなってしまったりします。

ですから、心の中に怒りの記憶があるという人は、それを手放すことが大切です。

「それができないから苦労しているのです」と言う人がいるかもしれません。そういう人は、あきらめないことです。以前は怒りの感情を忘れようとしてもムリだったかもしれません。

しかし、今日の自分がまた、忘れることができないとは限らないのです。チャレンジすることが大事です。どうしても怒りの感情が手放せないという人には、心の底にあるつらい思い出を消し去るためのトレーニングを紹介しましょう。

やり方は簡単です。

まず、忘れられない場面を、頭の中のスクリーンいっぱいに広げてください。
胸がギュッと締め付けられるでしょうが、ここで引き返してはいけません。

次に、そのスクリーンに映った映像を、白黒のイメージに変えてください。これだけでもう、リアルな感じはグッと薄れて、遠い過去の思い出のような雰囲気が出てくるはずです。

最後に、その白黒のスクリーンを小さくしていきます。イメージとしては、頭のずっと奥の方に引っ込んでいく感じです。ぐんぐん小さくなったら、最後に、

思い出よ、さようなら。私は今日からあなたを忘れて、幸せになります

と言って、その映像を遠くに投げてしまいましょう。投げる先は青い空や海でもいいですし、高いところから下に向かって放るのでもかまいません。

文字で見ると大変そうに見えますが、やってみると簡単で、すぐにできます。

これを続けるうちに、心の奥にあったイヤな思い出は確実に薄れてきます。

限界を感じているときは「助けてください」と声に出す

マイナスの感情を何らかの方法で発散できるのなら、それに越したことはありませんが、本当に苦しいときや、精神的にも限界を感じているときは話は別です。

「助けてください」と声に出して、誰かを頼ってほしいと思います。

なぜなら、「つらすぎて我慢できない」「一人ではもう頑張れない」と思ったときに、「力を貸してください」「助けてください」と声に出せる人とそうでない人では、その後の人生が変わってくることがあるからです。

「つらくても、声に出せない」という人は、マジメで努力家という傾向があります。

「つらいのは皆同じなんだから、周りの人に迷惑はかけられない」
「今の状況が苦しいのは、自分の中にどこか甘えがあって、がんばりが足りないから」

と自分を追い込みます。

しかし、声に出すことを躊躇していると、事態はますます悪化していくだけです。限界が来る前に、家族や友達に声をかけてみましょう。

また、信頼できる人に相談してみるのもいいでしょう。

過去に、「つらい」、「苦しい」という思いを打ち明けたときに、「あなたはまだ恵まれているほうなんだから、弱音を吐いちゃダメだよ」「つらい話は聞いているほうも苦しい気持ちになるから、あまりしないほうがいい」などと言われた経験がある人は、助けを求めることを怖く感じるかもしれません。

それでも、人は何度でも「助けてほしい」と言うことができます。

誰かに話を聞いてもらい、「大変でしたね」「よくがんばったね」と共感してもらうだけで、心はラクになります。

日本には昔から、「困ったときはお互い様」という言葉があります。自分が元気になったら、今度はつらそうな人に対して、「大丈夫? 何か力になれることはない?」と聞いてみてほしいと思います

  

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PROFILE
植西 聰

東京都出身。学習院大学卒業後、資生堂に勤務。独立後、「心理学」「東洋思想」「ニューソート哲学」などに基づいた人生論の研究に従事。1986年(昭和61年)、20年間の研究成果を体系化した『成心学』理論を確立し、人々に喜びと安らぎを与える著述活動を開始。著書に『自己肯定感を育てる たった1つの習慣』(青春新書プレイブックス)、『不安を消すコツ』(自由国民社)などがある。