脳の老化には「血流低下」が かかわっている
年齢を重ねると、なぜ物忘れや認知症などの「脳の老化」が起こるのでしょうか。それには、脳の「血流」が関係しています。近年では、脳のどの部位にどれくらいの血流が流れているのか、それが正常と比べて高いか低いか、生身の人間で測れるようになっています。
それがSPECT(スペクト・単一光子放射断層撮影)という検査です。さらに、e-ZIS解析という方法で、同じ年齢の人の平均的な脳血流量と比較することにより、自分の脳のどの部位の血流が落ちているのかも調べられるようになりました。
その結果、脳のなかでも大脳新皮質の内側に位置する、大脳辺縁系の「帯状回」という部分の血流が、脳の老化と深く関係していることがわかってきたのです。
帯状回は「脳の司令塔」といわれており、帯状回の血流が落ちると脳のさまざまな機能が低下してしまいます。その1つに記憶の低下があります。特に、帯状回の後ろのほうとその付近の血流が初期から低下するのが、アルツハイマー病の特徴であると報告されています。
脳の血流低下は、ストレスや脳腫瘍など、さまざまな要因によって起こりますが、ニンニク油には帯状回をはじめ、脳の血流を改善する効果があると考えられるのです。
ニンニクには、血流、特に微小循環の改善作用があると報告されています。毛細血管などの微小循環の血流が改善すれば、脳全体に栄養や酸素が行きわたりますから、当然脳の働きもよくなるわけです。
おそらく、ニンニク油にもそのような作用があることが、さまざまな症状の改善に役立つ根本的な理由ではないかと私は推測しています。
おいしくニンニク油をとれるレシピ3選
前回、ニンニク油の作り方をご紹介したので、それを使ったレシピを紹介していきましょう。
玉子かけごはん×ニンニク油
「かけるだけ」の簡単レシピ。ごはん党の人におすすめ。手軽にニンニク油がとれます。
◎材料(2人分)
ごはん 2膳
ニンニク油 小さじ1~2
しょうゆ 小さじ1/2
卵 2個
◎作り方
1. 茶碗にごはんを盛り、卵を割り入れる。
2. ニンニク油としょうゆをかける。
しらすと水菜のペペロンチーノ
ニンニクを最初に炒めるのではなく、最後に加えるのがポイント
◎材料(2人分)
スパゲティ 150g
水菜 60g
しらす 40g
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ニンニク油 大さじ2
薄口しょうゆ 小さじ1
塩 小さじ1/4
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一味唐辛子 適宜
◎作り方
1. 熱湯に塩少々(分量外)を加え、スパゲティをゆでる。冷水にさらして冷やし、水気を切る。
2. 水菜は4cmの長さに切る。
3. ボウルにAを入れてまぜ、1、2としらすを加えて和える。
4. 器に盛り、お好みで一味唐辛子をふる。
豚肉のねぎ塩レモンだれ
ニンニクとレモンの風味で、さっぱりといただけます
◎材料(2人分)
長ねぎ 1/4本
A----------------------
ニンニク油 大さじ1
レモン汁 大さじ1
塩 小さじ1/4
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豚ロース(生姜焼き用) 6枚
塩 少々
水菜 40g
◎作り方
1. 長ねぎはみじん切りにする。ボウルにAと長ねぎを入れ、まぜる。
2. 豚肉に塩をふる。フッ素樹脂加工のフライパンを中火で熱し、油をひかずに肉を両面とも焼く。
3. 器に2を盛り、4cm長さに切った水菜を添える。
4. 食べる直前に1をかける。
1958年生まれ。東京大学医学部卒業後、富士脳障害研究所、東京大学医学部附属病院、茨城県立中央病院、都立荏原病院、国立国際医療センターにて脳神経外科医として勤務。1992年、東京大学医学部の医学博士を取得。同年、シンシナティ大学分子生物学部に留学。帰国後、国立国際医療センターなどで脳神経外科医として勤務。2000年より都立駒込病院脳神経外科医長、2009年より同病院脳神経外科部長。脳の覚醒下手術ではトップクラスの実績を誇る。