難関校合格には“受験ファースト”が必須! 中学受験3つのスタンス

わが家の中学受験のスタンスは?

「遊んでいるよりはいいだろう」というような理由で中学受験を始めてしまうと、やがて塾のシステムにのみ込まれ、気がつくと迷い道に紛れ込み、いつの間にかあらぬ方向へ進んでしまいかねません。

そこで必要なのが、「どのようなスタンスで中学受験に臨むか」ということ。これを決めておくことが、主体的に中学受験に臨むためには非常に大切です。大きく分けて、中学受験に臨むスタンスは次の3つに分類されます。

  • アスリート型
  • スタンダード型
  • わが家型

「アスリート型」は第一志望(ほとんどが最難関校や難関校)に合格するために一切の妥協を許さず、目標達成に向けてひたすらストイックに励みます。わが子4人を東大理Ⅲに入れた佐藤亮子さん(通称:佐藤ママ)の考え方、ノウハウはまさにここに該当します。

マラソンでいえば、オリンピック日本代表選手の出場権の獲得をめぐって戦うイメージです。そういった選手が過酷な練習に耐え、衣食住もすべて徹底管理されているように、アスリート型は勉強も生活も中学受験第一です。

この生活に耐えられる小学生はごくごく少数。大人でも実行するのが難しい生活です。

大切なものが別にある「わが家型」

ボリュームゾーンとなるのが「スタンダード型」です。将来のことを考えたら、やはり勉強はしっかりさせたい。中学受験をするからには上を目指したいけど、子どもが潰れたり、家族関係がボロボロになってしまうまではやりたくない──。このように考える家庭がここに該当します。

志望校はあっても、アスリート型のように「なにがなんでも○○中合格!」というほどではなく、中学受験の勉強をスタートした時点では、まだ志望校が決まっていないこともあります。

中学受験の勉強を進めていくなかで、どんどん上を目指していけるご家庭もあれば、成績が伸び悩み、失速してしまうご家庭もあります。中学受験におけるスタンスがもっとも揺れ動きやすいので、ビジョンや目的を明確に決めておくことが大事です。

マラソンでいえば、アスリートまでは目指していないけど、挑戦するからには自己ベストを更新していきたいというイメージです。きちんとフォームを身につければ(勉強のやり方が身につけば)、伸びていく可能性は十分にありますが、自己流で突っ走ったり、ペース配分を考えずに走ったりすると、途中で息が切れてしまう危険性があります。

最後の「わが家型」は中学受験ファーストではないご家庭で、近年この層が少しずつ増えているように感じます。野球やピアノ、将棋など、勉強より熱心に力を注いでいるものがあったり、サマースクールやキャンプを軸に一年の計画を立てたりするなど、ご家庭によって何を大事にするかは異なります。

共通点は中学受験で無理はしないということ。そのため、受験する学校の偏差値にあまりこだわりません。また、場合によっては中学受験を途中でやめるという選択肢も最初から持っています。

マラソンでいえば、健康目的で走ったり、「フルマラソンは無理だけど、ハーフくらいなら走れるようになりたい」と考えたりするようなイメージです。自分のペースを大切にします。

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中学受験に臨む3つのスタンス

タイプがわかればやるべきことが見えてくる

このように、ご家庭がどの型に分類されるのかを知っておくと、この先の受験勉強が進めやすくなります。実は、合格実績を誇る大手塾の求める生活は、ほぼすべてアスリート型です。

合格実績で大切なのは、単なる合格者数ではなく「最難関校に何人合格させたか」。つまり、最難関校に合格するには、やはりアスリート型の取り組みでないと厳しいというのも事実なのです。

アスリート型は目標が明確なので、幼いときからその下準備をしてきているご家庭が多く、当然はじめから覚悟も決まっています。アスリート型なら塾で出された宿題は歯を食いしばってでも食らいついていかなければなりません。

その一方、スタンダード型やわが家型の家庭にとって、アスリート型の勉強についていくことは非常に辛いものです。出された宿題に優先順位をつけて、できない宿題は割愛する、塾の先生に相談する、といった方法をとりながら、折り合いをつけていくことになります。

わが家型なら、「今月は発表会があるから、勉強より練習や睡眠を大切にして、そのぶん夏休みのまとまった時間で取り返そう」と柔軟に考えることになります。こうやって、それぞれの家庭で中学受験に向き合う濃度を決めておけば、おのずとやるべきこと、やらなくていいことが見えてくるはずです。

ただし、どのようなスタンスであれ、家族のサポートは必要です。中学受験の勉強は、塾に通っているだけでは完結しません。むしろ、日々の学習管理や理解度の確認、精神的なサポートの方が重要であり、これらは家庭の責任となります。

かつてはそのすべてをお母さんが担うことがほとんどでしたが、今は共働き家庭も増え、お母さん一人に任せられない状況になっています。

お父さんができること、お母さんができること、またはおじいちゃんやおばあちゃんに任せられることなど、誰が何をやるかをきちんと決めておくとスムーズに進めていくことができます。家庭だけではどうしても回らない、力が足りないという場合は、第三者の力を借りることも有効です。そうやってチームをつくって取り組めば、お母さん一人が悩んだり、右往左往したりすることもなくなります。

アスリート型は大手塾の上位クラスへ

最難関・難関校を目指す「アスリート型」の場合は、大手進学塾に通わせるのが正攻法。大手学習塾では毎回の授業で学習する単元が設定されており、その理解度をはかる「復習テスト」「月例テスト」「公開テスト」「合否判定模試」などがタイミング良く行われます。

スケジューリングるに沿って学習をしていけば、もれなく、確実に勉強を進めていけるわけです。また、多くの学校の入試問題の傾向と対策についてのノウハウを蓄積しているのも大きな強みです。

大手進学塾に通うメリットは他にもあります。勝負ごとである受験に勝つには、集団の中で戦える強い精神力や実戦力が必要になります。中学受験をやり通すには、遊びたい盛りの子どもにある程度のガマンをさせ、勉強を進めていかなければなりません。

それには、同じ目標を持つ仲間と一緒に勉強をさせるほうが、切磋琢磨できるという点でも効果は高くなります。

スタンダード型はまわりに流されない意志が必要

「やってもやってもクラスが上がらない」「あの子にできることが、どうしてウチの子にはできないんだろう」「ウチの子は中学受験に向いていないんじゃないか……」

気持ちがもっとも揺れやすいのがスタンダード型のご家庭です。学力は上がるにこしたことはない、やるからには上を目指したいという気持ちから、どうしても上のクラスにいる知り合いとわが子と比較してしまったり、偏差値にため息をついたり……。

そして、合格させた経験者の本やブログから何かマネできることはないかと探し、試し、うまくいかずイライラと不安がつのります。

しかし、ペダルに足の届かない自転車に乗ってもうまくこげないように、アスリート型の塾の進め方についていこうと思っても、家庭が消耗するばかりです。

最難関校に強い大手進学塾の学習環境がわが子にとって完全に容量オーバーである場合、子どもの学力は上がるどころか下がる一方です。学力は、手の内に入る課題にきちんと取り組み、着実に積み上げていくことでしか上がっていきません。

「わが家型」は自由にカスタマイズ

スポーツや楽器など何か熱中しているものを続けながら、中学受験もさせたいというわが家型は、授業日や時間がガチガチに固定されている大手進学塾との両立はかなり難しくなります。個人の融通をきかせてくれる個人塾や、家庭のスケジュールに合わせて予定が入れられる個別指導塾、家庭教師を利用すると無理なく両立できます。

私の教え子にも、ピアノを一生懸命やりながら、算数は私が、国語と理科は個別指導塾が指導して中学受験に臨んだ子がいました。

大きな試合や大会、コンクールなどが終わり、秋、あるいは11月ごろから本腰を入れて勉強する態勢が整うと、今まで練習に取られていた時間がすべて勉強に使えるため、「さぁ!やるぞ!」と燃えます。しかし、その気持ちとは裏腹に、すぐに机に向かわなかったり、机に向かってもボーッとしていたり……。

「ピアノをしていた時の方がよほど集中していたじゃない!」となるわけですが、これはある程度仕方がありません。

子どもは、新しい生活のペースに慣れるのに時間がかかります。今までは週のうちほとんどがピアノの練習だったので、すき間時間で集中して勉強せざるを得ないという状況でした。しかし、時間に余裕があると逆にとりかかるスイッチが入らないのです。

また、長時間机に向かう習慣がついていないので、学習体力が追いつきません。そうした状況が2週間くらい続いて、「そんなんなら受験なんてやめなさい!」と親の堪忍袋の緒が切れると、本人もようやくスイッチが入る……。このようなケースが多いようです。

とはいえ、熱心に打ち込んできたものがあっただけに、一度受験生モードになると集中力が違います。3年間かけてイヤイヤ、だらだら勉強してきた子たちをあっさり追い抜いてしまうのもこのタイプです。

ただし、アスリート型やスタンダード型に比べると実戦力不足は否めません。いくら習いごとで大きな試合や大会を経験していようと、緊張する場面を乗り越えていようと、入試は別ものです。

家で問題が解けても、模試や入試といった外の環境で点数化できるとは限りません。未習分野がたくさんあるとしても、6年生になったら模試を必ず定期的に受けておくようにしましょう。

 

PROFILE
安浪京子

株式会社アートオブエデュケーション代表取締役、算数教育家、中学受験専門カウンセラー。神戸大学発達科学部にて教育について学ぶ。関西、関東の中学受験専門大手進学塾にて算数講師を担当。生徒アンケートでは100%の支持率を誇る。プロ家庭教師歴約20年。中学受験算数プロ家庭教師として、きめ細かい算数指導とメンタルフォローをモットーに、毎年多数の合格者を輩出している。中学受験、算数、メンタルサポートなどに関するセミナーを多数開催、特に家庭で算数力をつける独自のメソッドは多数の親子から支持を得ている。

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