書き間違いが多い言葉
以下の言葉について、どこが間違えているか指摘することができるでしょうか?
僧侶の説教
「説経」は、仏教の経文の内容を説くこと。一方、「説教」は、人に厳しく意見するという意味のほか、キリスト教の神父や牧師が教えを説くことにも使う。
→○説経
オーケストラの定期講演
世の中には、定期的に開かれている講演会もあるだろうが、それを定期講演とは呼ばない。「定期公演」が正しい書き方で、定期的に観客の前で〝公に演じられる〟ことを意味する。
→○定期公演
大統領の信書
大統領など、国のトップが書いた手紙や文書は「親書」と書く。一方、「信書」は、単に手紙のこと。
→○親書
稲の成育状況
「成育」は「子供の成育」など、人や動物に使う言葉。一方、「生育」は植物が対象。なお、同様に、「成長」は人や動物、「生長」は植物に使う。
→○生育状況
万事窮す
もはや、なすすべがない状態。「きゅうす」と打つと、「窮す」と変換されることが多いので、誤変換に注意。「窮する」状態であることが盲点になって、あとで校正しても、意外にそのまま残してしまいやすい間違い。
→○万事休す
冬期オリンピック
「冬季」が正しいと知っていても、「とうき」は変換候補の言葉が多いため、なかなか「冬季」と出てこない。それもあって、つい「冬期」と誤って変換しがちなので、要注意。
→○冬季オリンピック
先立つ不幸
親に先立つのは不幸なことではあるが、親より先に死ぬ逆縁ほどの親不孝はないという意味であり、「先立つ不孝」と書く。「先立つ不孝をお許しください」など。
→○先立つ不孝
海草サラダ
植物学的には、ワカメやコンブなど、サラダに使われている海中植物は、「海草」ではなく、「海藻」に分類される。だから、厳密には「海藻サラダ」と書くのが正しい。サラダ以外の言葉でも、「ワカメなどの海草」はNG。
→○海藻サラダ
子どもの日
「国民の祝日に関する法律」の表記にしたがい、「こどもの日」と書くのが正しい。むろん、「子供の日」も×。
→○こどもの日
夏目漱石の「坊ちゃん」
少年を「ぼっちゃん」と呼ぶときは「坊ちゃん」と書くのが普通。ただし、漱石の作品名は『坊っちゃん』。固有名詞なので、勝手に「っ」を削ってはいけない。また、『吾輩は猫である』は「吾輩」と書く。「我輩」や「吾が輩」と書いてはいけない。
→○「坊っちゃん」
墨田川
川の名は「隅田川」、区名は「墨田区」。「すみだがわ」「すみだく」とすべて打ってから変換キーを押すと、正しく変換されるが、「すみだ・がわ」「すみだ・く」と分けて打つと、混同しやすいので注意。
→○隅田川
現状回復
もとの状態に戻すことなので、「原状」を使う。「原」には「もと」という訓読みもある。なお、「現状維持」は、いまの状態を維持することなので、「現状」を使う。
→○原状回復
過小申告
税金などの「カショウ申告」には「過少」を使う。一方、「評価」の前につく場合は「過小評価」と書く。
→○過少申告
決戦投票
決定するための選挙なので「決選」と書く。「決選」を使う言葉は、この四字熟語以外にはほぼ存在しないため、「けっせん」までで区切って変換すると、「決戦」と出ることが多く、間違いやすくなる。
→○決選投票
綱紀粛清
組織の規律をきびしく正すという意。ルールを守れなくても殺すわけではないので、「粛清」と書かないように。
→○綱紀粛正
棒高飛び
「ぼうたかとび」と続けて打って変換すると、正しく表示されるが、「ぼう・たかとび」と分けて打つと、間違いやすいので注意。
→○棒高跳び
炭坑労働者
炭鉱で働くので、後者のように書く。なお、有名な民謡は「炭坑節」と書く。
→○炭鉱労働者
定期講読
字面が似ているので、プロの書き手も、うっかりしやすい言葉。本や雑誌を買って読むのは「購読」。お金がからむので、貝偏の「購」を使う。一方、「講読」は文章の意味を解き明かしながら読むこと。「講読会」はこちら。
→○定期購読
混成合唱団
「混声」は、男女双方の声を合わせること。いろいろな合唱団を混じり合わせるわけではないので、「混成」とは書かない。
→○混声合唱団
少額紙幣
金額の単位が〝小さい〟という意味なので、「小額」を使う。
→○小額紙幣
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