ダーウィンも「HSP」だった! “敏感すぎる人”に必要な習慣4選

日本人の5人に1人が該当すると話題の「HSP」。“敏感すぎる人”とか“繊細さん”とも呼ばれています。その性質ゆえに「そわそわ」と心が落ち着かず、生きづらさを感じる人が多いそうです。そこで、HSPの人が少しでも毎日を過ごしやすくする方法について、著述家の植西聰先生にご教示いただきました。

「敏感すぎる人」は人間関係で疲れることが多い

心理学に、「HSP(ハイ・センシティブ・パーソン)」という言葉があります。これは、アメリカの心理カウンセラーであるエレイン・アーロンが考えた言葉で、日本語では、「敏感すぎる人」「繊細すぎる人」などと訳されています。

この「敏感」「繊細」なタイプは、普段の人間関係や、ちょっとした出来事、また、騒音やライトの光といったものに過敏に反応してしまいがちです。ただし、パニック障害といった病気ではなく、ある種の心理的な特性だと考えられています。

また、この「ちょっとしたことに過敏に反応してしまう」という人は決して少なくはない、ということも知られています。

身近な人が何の気なしに発した一言にも非常に強く反応してしまうことがあります。

たとえば、一緒にいた友人が、ふと「なんか、つまんないなあ。面白いことないかなぁ」という一言を発したとします。決して、こちらに対して不平を言ったわけではないのです。

それにもかかわらず、この敏感すぎるタイプの人は、「私と一緒にいてもつまらないって言ってるんだ。私と話をしていても面白くないんだ」と、ネガティブに受け取ってしまいがちです。

そのために、このタイプの人は、人と一緒にいるとそわそわしてきて落ち着かず、人間関係でグッタリと疲れ切ってしまうのです。

従って、このタイプの人は、人間関係で疲れ切ってしまった時は、まずはゆっくりと休養を取ることが大切です。そうしないと、疲労感だけが一方的に増していくことになります。

ダーウィンは「一人の時間」を大切にしていた

「進化論」の提唱者として有名なイギリスの自然科学者、チャールズ・ダーウィン(19世紀)も、「敏感すぎる」という性格の持ち主だったようです。

彼は人間関係が苦手で、会合やパーティなどに出席すると、周りの人たちに気を遣いすぎてドッと疲れてしまうのです。また、家族ならともかく、あまりよく知らない人と一緒にいると、そわそわして落ち着きません。このそわそわ感も、人間関係で疲れる原因の一つになっていました。

そんなダーウィンが大切にしたのは「一人の時間」だったのです。自宅にこもって一人きりになり、趣味を楽しんだり、本を読んだり、ゆったりとリラックスする時間を作っていました。

一人の時間は、彼にとって、人間関係でたまった疲労感を癒す時間だったのです。また、精神の健康を保持していくための、とても貴重な時間でした。

そういう意味で言えば、

「人と一緒にいるだけでそわそわして、気持ちが落ち着かなくなることがある」
「人づきあいで気を遣いすぎて、精神的に疲れやすい」

そのような自覚があるタイプの人は、ダーウィンのように「一人になる時間」を大切にすればいいと思います。

一人の時間を作って、趣味を楽しんだり、本を読んだり、教養を高めるための勉強をしたりするのです。そんな一人の時間が、心の癒しになることでしょう。

他人の「そわそわ感」から影響を受けない

「性格的に敏感すぎる」という人は、「他人が今、どういう気持ちでいるか」ということについて敏感です。それが他人を思いやる、やさしい気持ちにも結びつきます。

ただし一方で、この性格には困った点もあります。

身近に、そわそわしている人がいたとします。たとえば、会社で、隣で働いている同僚の女性が、何かそわそわしています。その女性は会議で重要な発表をすることになっているのですが、会議のことが気にかかるらしく、数日前からそわそわして落ち着かない様子なのです。

その様子を見ながら、自分までそわそわしてくることがよくあるのが、この「敏感すぎる」というタイプの人の特徴の一つです。他人のそわそわ感にまで、いわば「同調」してしまうのです。そのために自分まで、やらなければならない仕事に集中できなくなることもあります。

このように、良い意味でも悪い意味でも、身近にいる人の心境を敏感に感じ取り、影響を受けやすいのです。

従ってこのタイプの人は、悪い意味で他人から影響を受けないように注意しておくほうがいいと思います。

身近にそわそわしている人がいたら、自分までそわそわして集中力を失わないように、その相手から少し距離を置くように心がける必要があります

ここでいう「距離」とは、「精神的な意味での距離」です。

もちろん無理に冷たい態度を取ることはありませんが、精神的に少し離れた場所からその相手のことを見るように心がけるのです。精神的な距離を置くことで、他人のそわそわに、悪い意味で影響を受けずにすむと思います。

直感に素直に従うほうがうまくいく

アメリカの牧師であり、成功哲学の著述家だったジョセフ・マーフィーは、

自分の良いところを、いつも思い浮かべていることが大切だ。自分の悪い点を直そうとするよりも、良い点を伸ばすほうが、その人にとってはずっと有益だ(意訳)」

と述べました。

この言葉は、「敏感すぎる性格」のために「人と一緒にいるだけで、そわそわしてしまう」と悩んでいる人にとって参考になると思います。

「性格的に敏感すぎる」というタイプにも「良いところ」が数多くあります。たとえば、「直感力にすぐれている」というのも、その一つです。

このタイプの人は、自分の心の奥から聞こえてくる声にも、とても敏感です。その「心の声」とは、いわゆる「直感」と呼ばれているものです。そして、その直感に機敏に反応して素直に実践するところも、このタイプの人が持つ良い点の一つだと思います。

あれこれ迷った挙句に決断するよりも、直感に素直に従って行動するほうが驚くような成功につながることが、人生にはよくあります。「敏感すぎる人」は、このような直感力がとてもすぐれています。

ですから「人間関係が苦手」といった悪い点を無理して直そうとするよりも、この「直感力にすぐれている」という良い点を伸ばすことを考えるほうが得策だと思います。そのほうが前向きに生きていけるでしょう。

また、周りの人たちとも前向きな気持ちでつきあっていくことができ、その結果、そわそわ感がやわらぐと思います。

「表現する」と自信が生まれる

また、「感性が豊かで、表現力に富んでいる」というのも、このタイプの人によく見られるポジティブな面の一つだと思います。

実際に芸能人やミュージシャン、芸術家などには、このタイプの人が多いと言われています。そういう意味では、この長所を生かして、「表現する」ということを何かの趣味にして、日々の楽しみにするのも良いと思います。

たとえば、「和歌や俳句を作る」「油絵を描く」「ギターなどの楽器を演奏する」といった趣味です。「感性が豊かで、表現力に富んでいる」という長所を生かして、すばらしい成果を上げることができるのではないでしょうか。

ですから、本人にとっても、その趣味が一層「日々の楽しみ」になっていくと思います。

「日々の楽しみ」を持つことは、とても大切です。それが心の癒しになり、そわそわ感をやわらげてくれるからです。

同じ趣味を持つ人たちが集まるサークルなどに参加してもいいでしょう。趣味を通して、そこに集まる人たちと楽しく交流することで、人間関係の苦手意識も薄れていくと思います。

そして、そこで良い俳句ができたり、上手に絵を描くことができれば、それは自信になります。人と一緒にいる時に、いつもそわそわしてしまうのをやわらげることに、つながります。

そんな自信を持つことで、人間関係の苦手意識を克服できます。

 

PROFILE
植西 聰

東京都出身。著述家。学習院高等科・同大学卒業後、資生堂に勤務。独立後、人生論の研究に従事。独自の『成心学』理論を確立し、心を元気づける著述活動を開始。
1995年、「産業カウンセラー」(労働大臣認定資格)を取得。著書に『自己肯定感を育てる たった1つの習慣』『前を向く力を取り戻す「折れない心」をつくる たった1つの習慣』(青春新書プレイブックス)などがある。

 
そわそわしない練習 (青春文庫)

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  • 作者:植西 聰
  • 発売日: 2021/02/10
  • メディア: 文庫