嫉妬心を抱きやすい人は損してる!? 自分の“妬み”を克服する極意

能力や見た目、学歴、収入などで自分と他人を比較して、ねたんだりうらやんだりしてしまうこと、ありませんか? その気持ちがあまりに強くなると、どんどんつらくなってきてしまいます。このやっかいな「嫉妬心」から自由になるヒントを、ベストセラー作家の植西聰先生に教えていただきました。

他人を羨むと「醜い姿」になっていく

「嫉妬心が強い」というタイプの人がいます。「他人と自分とを見比べて、他人を羨み、妬みを抱きやすい」という人です。

このタイプは、気持ちが落ち着くことがありません。「他人が気になる」からです。他人の社会的な地位、仕事がうまくいっているか、収入はどのくらいか、プライベートはうまくいっているのか、などです。自分と比較して、始終そわそわしているのです。

「羨む」の「羨」という文字は、「羊」の下に「氵」と「欠」を書きます。次のような語源があると言われています。

この文字が作られたのは古代中国ですが、当時の中国では「羊」が大変なご馳走ちそうでした。「羨」という文字の「羊」は、「羊の肉を料理したご馳走」を表しています。また、その下にある「欠」は「人の口」を表しています。そして、「氵」は「水」を意味し、ここでは「人の口から流れ落ちるヨダレ」を表しています。

つまり「羨」という文字は、「羊の肉を料理したご馳走を見て、『私も食べたい』と羨み、口からヨダレを流している人の姿」を表しているのです。

このように「ヨダレを流している人の姿」を想像した時、人はどう思うでしょうか? 「醜い」と思うのではないでしょうか。

つまり「羨」という文字は、言い換えれば、「人の醜い姿」を暗示しているわけです。他人を羨み、そわそわと落ち着かない人の姿とは「醜い」ものなのです。

さらに言えば、「自分自身がそんな醜い姿になりたくなかったら、他人を羨まないほうがいい」ということを、この文字は教えてくれているのです。

人を気にするより「自分のこと」を考えるのが得策

嫉妬心が強いタイプの人が注意しなければならないのは、他人のことばかり気にしている一方で、「自分のこと」がおろそかになっていないだろうかということです。

「自分が人間的にもっと成長するには、どうすればいいか」
「自分の夢は何なのか。その夢を達成するにはどうすればいいか」

と「自分のこと」について真剣に考える時間をちゃんと取れているだろうか、という点なのです。

自分の人生にとってもっとも重要なのは、言うまでもなく「自分のこと」です。「他人がどうか」ではありません。

しかし、嫉妬心が強いと、往々にして「他人のこと」ばかり気にしてそわそわし、肝心の「自分のこと」が疎かになります。

従って、意識の方向性を「他人のこと」から「自分のこと」へと移していくように心がけるのが良いと思います。

自分のことを真剣に考える時間を増やしていけば、自然と、他人のことを気にしてそわそわすることもなくなります。

劣等感を「前向きな気持ち」に変えていこう

自分の性格に劣等感を持っているタイプの人は、往々にして、その「劣っている」と自分が感じているものを、周りの人たちから気づかれないように隠したがるものです。しかし、それが原因で、「気持ちのそわそわが止まらない」という事態にもなりかねないのです。

たとえば、「職場の同僚はみんな一流大学を出ているのに、自分一人だけ無名の大学」ということに劣等感を抱いている人がいたとします。この人はきっと、周りの人たちに対して「自分はどういう大学を出たか」ということを隠したがるでしょう。

そして、一方で、「学歴が低いことでバカにされないだろうか」「一流大学を出ていないことで、不当な扱いをされないだろうか」と不安になることがよくあるのです。

このようなそわそわ感をなくすためには「発想の転換」が必要です。たとえば、「確かに私は学歴が低いかもしれない。しかしそれだけ、優秀な大学を出た人には負けない斬新な発想ができる。バイタリティあふれる行動力がある」といったように、前向きな発想をするよう心がけるのです。

そうすることによって劣等感が消えていきます。それにともなって、落ち着いた気持ちで仕事に取り組めるようになります。

「誇れるもの」があれば、強い嫉妬心を抱くことがない

イギリスの哲学者フランシス・ベーコン(16〜17世紀)は、「嫉妬は常に他人との比較から生じる。比較のないところには、嫉妬もない」と指摘しています。

確かに、他人と比較しなければ「嫉妬」は生じないのかもしれません。気持ちが落ち着かなくなることもないでしょう。ですから、むやみに他人と比較しないほうがいいのです。

とはいえ、「ついつい人と自分とを見比べてしまう。そして、他人を羨むこともよくある」という人も少なくはないと思います。

そのような人にとって大切なのは、「自分が誇れるものを持つ」ということだと思います。何か一つでも「誇れるもの」を持つことが大切です。

自分に何か「誇れるもの」がある人は、落ち着いた気持ちで暮らしていくことができます。自分に何か劣等感があるとしても、その劣等感に振り回されて、そわそわと落ち着かなくなる、ということはありません。

将棋の世界で活躍している男性がいます。子供の頃から「自分はイケメンではない」ということに劣等感を抱いていたと言います。そして、容姿がいい人と自分を見比べて、「羨ましい」という思いにとらわれることもあったようです。

そんな彼には得意なことがありました。「将棋が強い」ということです。それは彼にとって「誇れるもの」でした。

努力し腕前を上げていくと、様々なアマチュアの競技大会で活躍し、プロの棋士になりました。それに伴って「イケメンではない」ということも気にかからなくなっていきました。その結果、他人と自分を見比べて、気持ちがそわそわしてくることもなくなった、と言うのです。

「誇れるもの」がある人は、嫉妬心からそわそわと気持ちが乱れるということはありません。そういう意味で、何でもいいですから、自分なりに「誇れるもの」を持つことが重要です。

たとえば、「私は字を上手に書ける」とか「私は人を笑わせることが得意だ」といったように、何でもいいのです。

今すぐできる! 「妬みを消す」簡単な方法とは?

「仲のいい人が、自分よりも先に幸福になっていく」ということがあります。自分よりも先に幸せな結婚をするとか、先に昇進するといったことです。本来であれば、仲のいい相手にそのような喜ばしい出来事があることは、自分自身にとってもうれしいことであるはずです。

しかし、そこに羨望、嫉妬が割り込んでくると、気持ちが騒ぐばかりで、一緒になって素直に喜んであげることができなくなります。それは非常に残念なことです。一緒になって喜んでこそ、これからも良い関係を持続していくことができるからです。

では、どうすればいいかと言えば、「羨望を感謝に変える」ということなのです。

たとえば、「あなたが幸せな結婚をできたことは、私にとって大きな希望になった。ありがとう」「君の昇進が、私に良い刺激になった。『僕ももっとがんばらないといけない』という気持ちになれた。ありがとう」といったように「相手に感謝する」のです。

相手を羨むのではなく、「ありがとう」という気持ちを持つのです。感謝することで、「これからの人生を前向きに生きていこう」という意欲が高まっていきます。それは、将来的に自分自身にとって得になることです。

 

PROFILE
植西 聰

東京都出身。著述家。学習院高等科・同大学卒業後、資生堂に勤務。独立後、人生論の研究に従事。独自の『成心学』理論を確立し、心を元気づける著述活動を開始。
1995年、「産業カウンセラー」(労働大臣認定資格)を取得。著書に『自己肯定感を育てる たった1つの習慣』『前を向く力を取り戻す「折れない心」をつくる たった1つの習慣』(青春新書プレイブックス)などがある。

 
そわそわしない練習 (青春文庫)

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  • 作者:植西 聰
  • 発売日: 2021/02/10
  • メディア: 文庫